— 30秒でわかる結論 —

Q. 就労継続支援の開業について、まず何から考えればいいですか?

最初の分岐は「B型かA型か」=雇用契約を結ぶかどうかです。A型は最低賃金以上の賃金を生産活動の収益から賄うのが原則なので、安定した仕事の当てがあるかが事実上の参入条件。当てを育てながら進めたいならB型が現実的です。次に考えるのは「どんな仕事(生産活動)をするか」——就労支援は福祉であると同時に、仕事を作って回す事業だからです。以下の15問で、順に疑問を潰していってください。

就労継続支援の開業相談で、実際に繰り返し聞かれる質問を15問に絞りました。結論から短く——深掘りは各解説記事へつなぎます。

Q1. 資格がなくても開業できますか?

経営者自身の資格は不要です。必要なのは法人格と、サービス管理責任者(サビ管)等の要件を満たす職員の配置。ご自身が要件を満たすなら兼務の設計もあり得ますが、経営との二刀流は負荷が高い点にご注意を(サビ管の要件)。

Q2. B型とA型、どちらで開業すべきですか?

決定的な違いは雇用契約の有無です。A型は雇用契約+最低賃金以上、B型は雇用契約なし+工賃。毎月の賃金総額を賄える仕事の当てが具体的にあるならA型、育てながらならB型が現実的です(A型・B型の違いA型の経営)。

Q3. 就労選択支援とは何ですか?関係ありますか?

2025年10月創設の新サービスで、大いに関係あります。本人に合う働き方を短期間のアセスメントで選ぶ支援で、B型の新規利用は原則としてこれを経ることとされました(A型・就労移行は2027年4月から。一定の例外あり)。開業後の利用者受け入れの流れに直結します(完全ガイドの論点①)。

Q4. 開業までどのくらいかかりますか?

おおむね6か月〜1年です。千葉県は市町村意見申出制度で指定日の4か月前から手続きが始まる形になり、市町村への事前説明も必要です。仕事(生産活動)の当てづくりを含めると、余裕を持った逆算を(最新スケジュール)。

Q5. どんな仕事(生産活動)をすればいいですか?

「集められる仕事」ではなく「続けられて、単価を上げられる仕事」で選びます。下請の軽作業だけでは工賃が伸びにくいのが実情。自社商品、地域企業との直接取引、施設外就労の組み合わせが定石です。食品を扱うなら保健所の営業許可など別の許認可が要る点にも注意(工賃の育て方飲食の許可)。

Q6. 工賃はいくら払えばいいですか?

B型の工賃は生産活動の収益から支払うのが原則で、金額は事業所の稼ぐ力次第です。そして平均工賃月額は基本報酬の評価に関わるため、工賃は支援の質と経営の両方の指標になります。「最低いくら」の発想でなく「どう上げるか」の設計を(平均工賃と報酬)。

Q7. 利用者は集まりますか?

待っていては集まりません。経路は相談支援事業所・特別支援学校・ハローワーク・地域の支援機関。開業前から「どんな仕事ができる事業所か」を伝えて回る活動が、実質的な利用者募集です。B型は就労選択支援を経る流れになった点も踏まえて、関係機関との接点づくりを早めに。

Q8. 職員は何人必要ですか?

サビ管+職業指導員+生活支援員が基本構成で、人数は定員に応じます。大切なのは頭数でなく、仕事を教えられる人(職業指導員)の質が生産活動の収益を左右すること。前職の技能を活かせる採用が効きます(人員基準と人材確保)。

Q9. 収支はどういう構造ですか?

二階建てです。一階=訓練等給付費(報酬)が職員給与・家賃を支え、二階=生産活動収入から利用者の賃金・工賃を払う。財布が違う——ここを混ぜた計画は必ず破綻します(収支構造の解説)。

Q10. 生産活動が赤字だとどうなりますか?

A型は経営改善計画の枠組みで改善を求められます。B型でも赤字では工賃の原資が生まれません。「どの仕事が赤字か」を分けて把握できる会計が第一歩です(A型の三重構造)。

Q11. 施設外就労とは何ですか?

企業の現場など事業所の外で、支援員と共に働く形です。実際の職場環境で働けるため工賃・賃金の単価を上げやすく、一般就労への足がかりにもなります。実施には要件があるため、体制とセットで設計します。

Q12. 定員は何人で始めるべきですか?

「基準の最低ライン」ではなく「生産活動で賄える範囲」から逆算します。特にA型は、受注量→賄える賃金総額→無理のない利用者数、の順。定員を埋める発想が先に立つと賃金支払いに追われます(費用の試算モデル二階建ての設計)。

Q13. 就労継続支援は儲かりますか?

「通所の安定」と「稼げる仕事づくり」の両輪が回れば成り立ちますが、片輪では苦しい事業です。報酬側は通所日数の積み上げ、生産活動側は受注と単価。性質の違う2つの経営を同時に回す覚悟が要ります(収支構造)。

Q14. 千葉県ではどこに申請するのですか?

原則は千葉県、千葉市・船橋市・柏市に置く場合のみ各市です。就労系サービスは我孫子市の事務移譲の対象外なので、我孫子でも県が窓口。市町村への事前説明が必要になった点は共通です(窓口の一覧表)。

Q15. 開業後は何が待っていますか?

毎年度の処遇改善加算のサイクル、生産活動会計の管理、変更届、6年更新、運営指導です。特に処遇改善加算は令和8年6月の期中改定で変わりました。開業時に「回る仕組み」まで作っておくと、毎年が楽になります(令和8年改定運営指導)。

全体像は完全ガイドへ

15問を通すと、就労支援の急所は「仕事の当て」「二階建ての会計」「サビ管」「関係機関との接点」の4つに集約されます。体系的な全体像は就労支援開業の完全ガイドへ。生産活動の構想段階から、お金と人の総合支援とあわせて無料相談でお手伝いします。

📍 千葉県ローカルメモ|就労系は我孫子も県窓口です

千葉県内の就労継続支援・就労移行支援は、千葉市・船橋市・柏市に事業所を置く場合のみ各市、それ以外(我孫子市を含む)は千葉県が窓口です。生産活動の内容によっては保健所の営業許可等が別途必要になるため、仕事の構想段階でご相談いただくと手続きの抜けを防げます。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

就労支援の相談は「福祉の話」で始まり、必ず「商売の話」になります。どちらか片方だけ得意な支援者では途中で話が止まる——行政書士×財務×営業経験という組み合わせが、この分野でいちばん活きると感じています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。

前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。

保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。

プロフィールを見る →