— 30秒でわかる結論 —
Q. 令和8年度の処遇改善加算の改定で、うちの事業所は何をすればいいですか?
やるべきことは3段階です。①現在地の確認——自事業所がどの区分を算定していて、新設された上位区分・引き上げ後の加算率に対して「取れるのに取っていない」状態になっていないかを点検します。②誓約内容の棚卸し——令和8年度は多くの要件が「年度中の対応の誓約」で算定可能とされていますが、誓約した取組(生産性向上の取組、賃金改善の配分など)は年度内に実行が必要です。計画書で何を誓約したかを一覧化し、実行スケジュールに落とし込んでください。③月次の対照記録——加算収入と賃金改善の対応を月次で記録する仕組みがあれば、年度末の実績報告は転記作業になります。この3つの点検は当事務所でも代行しています。
鮮度が命のテーマなので、最初に時点を明記します——本記事は2026年7月時点の情報にもとづきます。障害福祉サービスの処遇改善加算が、令和8年6月から大きく変わりました。この改定、実は「いつもの改定」ではありません。
この記事の対象——障害福祉サービスの全類型に共通です
放課後等デイサービス/児童発達支援/グループホーム(共同生活援助)/就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労移行支援・就労定着支援/生活介護/同行援護/行動援護/短期入所/自立訓練/保育所等訪問支援/相談支援(その他類型の依頼ガイド)——いずれにも対応しています。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 令和8年度の改定内容をまだ確認していない方
- 現在の加算区分のままでよいか判断したい方
- 期中改定という異例の対応に戸惑っている方
📗 関連の深掘り——これから開業する方が指定申請の準備中に処遇改善加算を知った場合の順番(開業前に決める4つ・新設事業所でも上位区分を狙える誓約の扱い・3つの期限)はこちらの記事で扱っています。
📗 関連の深掘り——同じ期中改定で導入された、新規指定事業所への応急的な報酬引下げと配慮措置(これから開業する方向け)はこちらの記事で扱っています。
何が異例か——3年周期を待たない「期中改定」
障害福祉サービスの報酬改定は通常3年に1度で、前回は令和6年度。本来なら次は令和9年度のはずでした。ところが今回、周期を待たずに期中(臨時)改定という形で処遇改善部分が前倒しで拡充され、令和8年6月から適用されています。取扱いの詳細は、令和8年3月31日付の厚生労働省障害福祉課長・こども家庭庁障害児支援課長の通知(事務処理手順・様式例)で示され、Q&A(第1版)も公表されています。「前回の改定で対応したから当分大丈夫」と思っていた事業所ほど、今回の変更を見落としやすい——まずこの構図を押さえてください。
ここは必ず確認を——改定は「自動では反映されない」
制度が変わっても、事業所が届出をしなければ新しい区分は算定できません。改定の内容を知ることと、自事業所の届出を更新することは別の作業です。最新の様式と提出期限を指定権者の案内で必ず確認してください。
要点①:対象サービスの拡大——相談支援3類型が仲間入り
令和8年6月から、計画相談支援・地域相談支援・障害児相談支援が新たに処遇改善加算の対象になりました。これまで対象外だった相談支援事業所にとっては、職員の処遇改善原資を確保できる大きな変化です。相談支援を併設している事業所は、本体側と別に届出が必要になるため、算定漏れがないか確認してください。
要点②③:対象職員の拡大と、区分・加算率の見直し
対象となる職員の範囲も、福祉・介護職員中心の従来の枠から、より幅広い職種を含める方向で見直されています。あわせて上乗せの区分が新設され、加算率も引き上げられました。ここで実務上大事なのは、「自事業所は改定前の区分のままでいいのか」という点検です。取れる区分が上がったのに旧区分のまま——これは単純な取りこぼしであり、職員に還元できたはずの原資を逃していることになります(区分ごとの率・要件の詳細はサービス類型で異なるため、最新の通知・Q&Aでの確認から当事務所が代行します)。
要点④:要件の強化——「もらう」ためには「変わる」ことが要る
拡充の裏で、要件も強化されています。柱は2つ——生産性向上などの職場環境改善の取組(業務の見える化、ICT・業務支援ツールの導入、役割分担の見直しなど、具体的な取組メニューから実施するもの)と、賃金改善の配分に関する要件(月給への充当割合の考え方など)です。「加算はほしいが職場は変えたくない」は通らない設計になってきており、これは制度の意図——処遇改善を一時金でなく構造的な賃上げと働きやすさにつなげる——の表れだと感じています。
最重要:「誓約」特例の正しい理解——後払いの約束は、履行される前提
今回の改定で実務上いちばん誤解が怖いのが、「令和8年度中の対応の誓約」で算定を認める特例です。期中改定で準備期間が短いことへの配慮として、一部の要件は「年度内に対応します」と誓約すれば算定開始できる扱いになっています。ただし——誓約は免除ではありません。誓約した取組は年度内に実行し、実績報告の段階で確認されるのが前提です。「とりあえず誓約して算定を始めた」事業所は、いま手元の計画書を開いて、何を誓約したかを一覧化してください。下半期の実行管理こそが、来年度の返還リスクを防ぐ本丸です。
いまやるべき3つの実務
まとめます。①区分の再点検(新区分・新率に対する取りこぼしの確認)、②誓約の棚卸しと実行計画化、③月次の対照記録の仕組み化——毎年度のサイクルの回し方は処遇改善加算の実務ガイドで詳しく書きました。そして処遇改善は突き詰めると賃金制度と職場づくりです。当事務所は計画書・実績報告の作成支援に加え、財務コンサルタントとして加算収入と人件費の設計を、国家資格キャリアコンサルタントとして生産性向上の取組(業務の見える化・役割分担)や定着の仕組みづくりを、一体でお手伝いしています(お金と人の総合支援)。制度は全国共通、オンラインで全国対応です——「うちの誓約、大丈夫かな」の点検から、どうぞ。
参考にした一次資料
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(老発0313第6号・令和8年3月13日)
- 厚生労働省「福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(障害福祉分野)
- 厚生労働省「介護職員の働く環境改善について」
- 各都道府県・指定権者が公表する処遇改善加算の届出案内および様式
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・通知および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|届出先ごとの最新案内を確認
千葉県内の事業所は、届出先(千葉県または千葉市・船橋市・柏市等の指定権者)ごとに提出方法・期限の案内が出ています。期中改定に伴う計画書の差し替え・変更届の要否は指定権者の最新案内での確認が必要です——この確認と提出まで当事務所が代行します。県外の事業者さまもオンラインでご相談いただけます。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
期中改定の情報を追いかけていると、「制度は現場より速く変わる」と痛感します。だからこそ、変化を翻訳して届けるのが私たちの仕事。この記事も、改定の全体像をつかむ入口として使っていただければ嬉しいです。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。
前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。
保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。