— 30秒でわかる結論 —

Q. これから放デイや児発を開業すると、既存の事業所より報酬が低くなるというのは本当ですか?

本当です。令和8年度の期中改定で、2026年6月1日以降に新規指定を受ける就労継続支援B型(984/1000)、共同生活援助(972/1000)、児童発達支援(988/1000)、放課後等デイサービス(982/1000)は、基本報酬が引き下げられました(厚生労働省資料・2026年9月11日確認)。令和9年度の報酬改定までの応急的な措置です。ただし配慮措置があり、医療的ケア・重症心身障害・強度行動障害・感覚障害・高次脳機能障害への対応体制を持つ事業所や、自治体が公募や補助により必要として設置する事業所は減額されません。配慮措置の該当は指定申請の段階で確認されるため、開業設計は「どの類型か」より先に「どんな利用者を受け入れる体制を組むか」で決まります。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 2026年度中〜2027年度に放デイ・児発・B型・GHの開業を計画している方
  • 看護職員の配置や医療的ケア児の受入れを検討している方
  • 市町村の公募や補助を使った開設を考えている方

令和8年6月1日以降の新規指定は、4類型で基本報酬が下がっています

令和8年度の期中改定で、次の4類型について、2026年6月1日以降に新規指定を受ける事業所に限り、基本報酬が引き下げられました(厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」障害福祉サービス等報酬改定検討チーム・2026年2月18日。2026年9月11日確認)。

類型新規指定事業所の基本報酬
就労継続支援B型所定単位数の984/1000
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)所定単位数の972/1000
児童発達支援所定単位数の988/1000
放課後等デイサービス所定単位数の982/1000

対象になった基準は3つです。年間総費用額の1%以上を占めること、令和6年度の収支差率が5%以上であること、過去3年間の事業所数の伸び率が5%以上であること。この3つを同時に満たした類型が選ばれました。措置は令和9年度の報酬改定までの応急的なものと位置づけられています。

これから開業する方にとって、この話は「同じ事業をやるなら、既存事業所より1〜3%低い単価から始まる」という意味です。ただし、減額の対象から外れる道が制度上はっきりと用意されています。それが配慮措置です。

配慮措置——減額されない新規事業所の条件

同じ資料で、次に該当する事業所には従前の単価(減額前)が適用されると明記されています。

配慮措置の区分該当する例(厚生労働省資料より)開業設計への意味
重度・医療的ケアへの対応医療連携体制加算(Ⅳ)、重度障害者支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)、医療的ケア対応支援加算、医療的ケア区分1〜3、主として重症心身障害児を通わせる事業所看護職員の配置と、医療的ケア児・重症心身障害児の受入れ体制を最初から組む
強度行動障害への対応強度行動障害児支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)研修修了者の配置と支援計画の整備を開設時点で満たす
感覚障害・高次脳機能障害への対応視覚・聴覚・言語機能に重度の障害のある者への支援体制、人工内耳装用児支援加算、高次脳機能障害者支援体制加算専門性を持つ職員の採用計画に直結
離島・中山間地域該当地域に所在する事業所所在地で決まる
自治体が客観的に必要として設置する事業所公募によりサービス不足地域に設置される事業所、自治体から補助等の経済的支援を得て設置される事業所市町村の公募・補助に乗る開業は、減額対象から外れる

この表を裏返して読むと、国が「足りない」と考えている領域がそのまま書かれています。重度・医療的ケア・強度行動障害・感覚障害・高次脳機能障害への対応と、自治体が必要と判断した地域への設置。ここに応える事業所は、増えすぎた類型の中でも減額されません。

大切なのは、配慮措置の該当は指定申請の段階で確認されることです。令和8年度報酬改定に関するQ&A VOL.1の別紙では、配慮措置の適用について指定申請時の確認と伝達の手順が示されています。開設してから「うちも該当するはず」と言っても、その時点までの減額分は戻りません。

開業設計は「どの類型か」の前に「どの体制か」

私が開業前のご相談で最初に伺うようになったのは、類型ではなく「どんな利用者を受け入れる体制を組めますか」です。同じ放課後等デイサービスでも、次の3つの設計で単価が変わります。

  • 看護職員を配置して医療的ケア児を受け入れる設計——医療的ケア区分の対象になれば減額されず、しかも受け皿不足の領域なので稼働率も見込みやすい。看護職員の採用計画と、送迎・設備の対応が前提
  • 強度行動障害の研修修了者を配置する設計——強度行動障害児支援加算の要件を開設時点で満たす。研修の受講は開業前に済ませておく
  • 市町村の公募や補助に応じて設置する設計——市町村がサービス不足地域として公募している、または補助を出している場合は、それ自体が配慮措置の該当理由になる。市町村意見申出制度で指定日の4か月前から市町村への事前説明が必須になっているので、その場で公募・補助の有無を確認できる

逆に、どれにも該当しない「標準的な放デイ」を新規に開くと、既存事業所より1.8%低い単価で、令和9年度改定まで運営することになります。1.8%は小さく見えますが、放デイの収支差率が令和6年度で9.1%だったことを思うと、利益の2割に相当します。

減額を前提にした収支計画と、免れる設計の比較

開業前の収支計画は、減額を織り込んだ数字と、配慮措置に該当した場合の数字の2本を作ってください。差額を見れば、看護職員の配置や研修受講にかける投資が回収できるかが判断できます。多くの場合、配慮措置に該当する体制は、単価の維持だけでなく、受け皿不足領域での稼働率の高さと、自治体との関係づくりにも効きます。

要確認:応急的な報酬単価の対象、配慮措置の該当要件、指定申請時の確認手順は、厚生労働省の告示・Q&Aおよび指定権者の案内でご確認ください。配慮措置の該当は最終的に指定権者が判断します。人員の採用・研修の受講は開設スケジュールから逆算が必要です。本記事は2026年9月11日時点の整理です。

「うちの計画は、どちらに当たるのか」

ここまでの話は、制度の側から見た整理です。実際の開業計画がどちらに当たるかは、受け入れる利用者像・採用できる職員・開設地域の公募状況を突き合わせないと判断できません。

当事務所では、指定申請サポート(障害福祉の指定申請・220,000円〜/税込)の前段として、60分の無料相談で開業設計の相談をお受けしています。減額を織り込んだ収支の見方、配慮措置に該当する体制の組み方、市町村への事前説明で何を確認すべきかまで、その場でお伝えします。ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応です。お問い合わせフォームからどうぞ。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で開業を計画している方へ

市町村意見申出制度により、千葉県内での指定は指定日の4〜5か月前に市町村への事前説明が必要です(2026年9月11日に県ページで確認)。この事前説明の場で、市町村がサービス不足地域として公募や補助を行っているかを確認できます。該当すれば、それ自体が配慮措置の理由になります。松戸・市川・流山など県指定の地域は千葉県の障害児支援事業指定班(043-223-2336)が窓口、千葉市・船橋市・柏市は各市が指定権者です。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

この改定を「新規参入への逆風」と読む方が多いのですが、私は少し違う読み方をしています。配慮措置の一覧は、国が「ここが足りない」と書いた地図です。医療的ケア、強度行動障害、感覚障害、高次脳機能障害。ここに応える事業所は、単価も守られ、受け皿不足で稼働率も見込め、自治体との関係も築きやすい。逆風の中に、いちばん確かな追い風が書いてある。そういう改定だと思っています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

プロフィールを見る →