— 30秒でわかる結論 —
Q. 障害福祉計画は、事業者にとってどう役に立ちますか?
自治体が「どのサービスがどれだけ必要か」を公式に数字で書いた文書だからです。障害福祉計画(障害者総合支援法)と障害児福祉計画(児童福祉法)は市町村・都道府県が3年ごとに定め、サービス種別ごとの見込み量、成果目標、圏域ごとの整備状況が載っています。開業や拡大を考えるとき、これ以上に確度の高い需要の一次情報はありません。しかも令和8年度(2026年度)は第8期(令和9〜11年度)の策定年で、国は令和8年3月に基本指針を告示済み。策定年は、担当課に見込み量と充足状況を直接聞ける年であり、パブリックコメントで意見を出せる年です。読むべきは、前期の実績と見込み量の差(実績が見込みを上回り続けている類型は需要が計画を超えている)、成果目標(自治体が増やしたいと書いている領域)、圏域ごとの充足状況。第8期の初年度は報酬改定の年でもあるので、需要と単価を同じ年表に載せて判断してください。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 2027年度以降の開業・拡大を検討している事業者
- 開設地域をどこにするか迷っている方
- 市町村への事前説明で何を話せばよいか分からない方
2026年度は、3年に一度の「自治体が需要を数字で書く年」です
障害福祉計画(障害者総合支援法第88条・第89条)と障害児福祉計画(児童福祉法第33条の20・第33条の22)は、市町村と都道府県が3年ごとに定める計画です。現在の第7期は令和6〜8年度。令和8年度(2026年度)は、次の第8期(令和9〜11年度)を策定する年にあたります。国は令和8年3月に第8期の基本指針を告示しており、各自治体はこれを踏まえて、今年度中に計画を作ります。
事業者にとって、この計画は自治体が「どのサービスがどれだけ必要か」を公式に数字で書いた文書です。開業や拡大を考えるときに、これほど確度の高い需要の一次情報はほかにありません。しかも策定年は、意見を出せる年でもあります。
策定年のスケジュールと、その時々にできること
| 時期 | 起きること | 事業者ができること |
|---|---|---|
| 令和8年3月 | 国が第8期の基本指針を告示 | 基本指針を読み、国が重点を置く領域(地域移行・地域生活支援拠点・地域差の是正など)を把握する |
| 令和8年度前半〜中盤 | 都道府県・市町村が現状分析、サービス見込み量の推計、関係者からの意見聴取 | 自治体の担当課に、開設を検討している類型の見込み量と充足状況を聞く。協議会等で意見を出せる機会があれば参加する |
| 令和8年度後半(冬) | 計画案のパブリックコメント | 案を読み、自事業所の類型の見込み量と方向性を確認する。意見を出す |
| 令和9年3月 | 計画の策定・公表 | 確定した見込み量を、開業計画・拡大計画の根拠に使う |
| 令和9年4月〜 | 第8期計画の期間(令和9〜11年度)開始。令和9年度は報酬改定も同時 | 市町村意見申出制度による事前説明で、計画との整合を説明できるようにする |
とくに令和8年度前半〜中盤の「担当課に聞く」は、いますぐできて効果の大きい行動です。市町村意見申出制度により、令和8年1月以降の指定では指定日の4〜5か月前に市町村への事前説明が必要になっています(千葉県の指定申請スケジュールの変更)。事前説明の場は、計画の見込み量と自事業所の計画がどう整合するかを、自治体と直接すり合わせる機会でもあります。
計画のどこを読むか
| 計画に載っている数字 | 読み方 |
|---|---|
| サービス種別ごとの見込み量(人/人日/か所) | 前期の実績と見込み量の差を見る。実績が見込みを上回り続けている類型は、需要が計画を超えている |
| 成果目標(施設入所者の地域移行、精神障害者の地域移行、地域生活支援拠点の整備など) | 市町村が「増やしたい」と公式に書いている領域。ここに応える事業は自治体との関係を築きやすい |
| 圏域ごとの整備状況 | 同じ県内でも圏域で充足状況が違う。開設地域の選定に直結する |
| 「地域の実情」に関する記述 | 不足していると自治体自身が認めている類型は、公募や補助、意見申出制度での前向きな意見につながりやすい |
第8期の基本指針では、地域差の是正や、共同生活援助について総量規制を含む指定の在り方が論点として示されています。計画に「不足」と書かれている類型と「充足」と書かれている類型では、指定申請の場での自治体の姿勢が変わります。自分の類型が、開設予定地域の計画でどちらに書かれているかを確認せずに開業するのは、地図を見ずに出航するようなものです。
計画と報酬改定を、同じ年表に載せる
もうひとつ押さえていただきたいのは、第8期計画の初年度(令和9年度)は報酬の定期改定の年でもあることです。令和8年6月からの新規事業所への応急的な報酬引下げは、令和9年度改定までの暫定措置とされています。つまり令和9年4月には、計画上の需要の方向性と、報酬上の単価の方向性が同時に確定します。
開業・拡大の判断は、この2つを同じ年表に載せて行う必要があります。需要があっても単価が下がる類型、単価は維持されても計画上「充足」とされる地域——組み合わせで判断が変わります。
「うちの類型は、開設予定地の計画でどう書かれているか」
計画は自治体の公式サイトで公開されていますが、読み慣れていないと、どの表を見ればよいか、見込み量と実績の差をどう解釈すればよいかが分かりにくい文書です。当事務所では、松戸・市川・流山・柏・船橋を中心に、千葉県内の市町村計画の読み方と、意見申出制度での事前説明の進め方をお伝えしています。
60分の無料相談で、開設予定地域の計画のどこを見るべきか、市町村への事前説明で何を確認すべきかを、その場で整理します。ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応です。障害福祉の指定申請サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 障害者総合支援法第87条〜第89条、児童福祉法第33条の19〜第33条の22(基本指針・市町村計画・都道府県計画)
- 厚生労働省 第8期障害福祉計画・障害児福祉計画に係る基本指針(令和8年3月告示)
- 千葉県「障害児通所支援及び障害児入所支援の指定・変更等の手続」(市町村意見申出制度・事前説明の時期。2026年9月11日確認)
- 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(応急的な報酬単価は令和9年度改定までの措置。2026年9月11日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で開設地域を選ぶ方へ
松戸・市川・流山・柏・船橋は隣接していても、圏域の計画上の充足状況は異なります。千葉県の計画は圏域ごとの整備状況を載せており、市町村計画はその市の見込み量を載せています。県と市の両方を読むと、圏域では充足していても特定の市では不足している、という差が見えます。令和8年度中に各市の担当課へ確認し、事前説明の際に計画との整合を説明できる状態にしておくことをおすすめします。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
開業相談で「この地域は需要がありますか」と聞かれると、以前は経験則でお答えしていました。いまは「計画を一緒に読みましょう」とお答えしています。自治体が数字で書いてくれている需要を、読まない手はありません。策定年である今年は、その数字が作られる過程に事業者が関われる年でもあります。読むだけでなく、聞きに行く。意見を出す。事前説明で計画の言葉を使う。同じ地域で同じ事業をするなら、自治体と同じ地図を持っているほうが、話が早い。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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