— 30秒でわかる結論 —
Q. 介護・障害福祉で開業したいのですが、会社を辞める前に何を決めておくべきですか?
順番に5つです。①開業希望月(指定は原則毎月1日付・相談から4〜6か月が目安のため、仮置きしないと何も逆算できません)②使っていい金額(手持ちと退職金を、事業に入れる額・生活防衛費・残す予備に仕分け。全額投下は厳禁)③類型のあたり(資金と人のあてから2択まで絞る)④人のあて(サビ管・児発管候補など「声をかける順番」リストを在職中の人脈が豊かなうちに)⑤辞める日(①〜④が固まった後に、計画の結論として決める)。決める系の準備はほぼすべて在職中にでき、退職後でないとできないのは登記・申請・契約といった「契約する系」だけです。
「辞めてから考えます」が、いちばん高くつく
介護・障害福祉での開業を志す会社員の方から、よくこう伺います。「まず退職して、それから本格的に準備しようと思って」。お気持ちは分かりますが、順番が逆です。退職した瞬間から、あなたは収入ゼロで家賃と生活費だけが出ていく時計の中で準備をすることになります。焦りは判断を歪めます——物件を妥協し、人を妥協し、計画を妥協する。
逆に言えば、給料をもらいながら決められることを全部決めてから辞めるのが、脱サラ開業のいちばん安全な設計です。この記事では、在職中に「決めておく5つ」を順番に整理します。
この記事の対象——介護・障害福祉の全サービス類型に共通です
放課後等デイサービス/児童発達支援/グループホーム(共同生活援助)/就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労移行支援・就労定着支援/生活介護/同行援護/行動援護/短期入所/自立訓練/保育所等訪問支援/相談支援(その他類型の依頼ガイド)——いずれにも対応しています(指定申請サポート トップ)。
決めておく5つのこと(この順番で)
① 開業希望月——すべての逆算の起点
指定は原則毎月1日付で、相談〜指定までの目安は4〜6か月(タイミングの記事)。まず「いつ開けたいか」を仮置きしないと、退職日も資金計画も決まりません。仮でいいのです。あとで動かせます。動かせないのは、決めないまま流れる時間だけです。
② 使っていい金額——退職金の「仕分け」を先に
手持ちと退職金の見込みを、事業に入れる額/生活防衛費(当面の生活費)/それでも残す予備の3つに仕分けます。全額投下は厳禁——給付費の入金は約2か月遅れ、開業後も先行出費が続くからです。手持ち別の戦い方は300万・500万・1,000万円の3パターン試算で確認できます。仕分けが決まれば、借入で作るべき額も自動的に決まります。
③ 類型のあたり——2つまで絞る
②の資金と、後述④の人のあてから、現実的な類型は自然に絞られます(4類型の横断比較/開業する人の6類型)。在職中は情報収集に最適の期間です——見学、業界セミナー、地域の障害福祉計画の確認。決め切らなくても、2択まで絞れれば十分です。
④ 人のあて——「声をかける順番」のリストを作る
開業最大の壁はサビ管・児発管・サ責など資格者の確保です。そして人脈がいちばん豊かなのは、在職中の今。前職・現職の同僚、研修で出会った人、知人の紹介——「開業したら一緒に働いてほしい人」「相談したい人」の順番付きリストを作っておきます。声をかけるのはまだ先でも、リストがあるだけで③の類型判断の精度が上がります(採用の実務は25項目チェックリスト)。
⑤ 辞める日——最後に決める。そして「計画の結論」として決める
退職日は感情で決めず、①〜④が固まった後に計画の結論として決めます。実務感覚では、在職中の安定収入は融資の相談でもあなたの計画性の裏付けとして働きます(審査は個別判断です)。賞与や社会保険の切り替え、有休の消化も含め、辞め方はお金の設計の一部。円満退職は、開業後の紹介・応援という見えない資産にもなります。
在職中にできること・退職後でないとできないこと(当事務所の独自整理)
| 在職中にできる(今日から) | 退職後・法人設立後になるもの |
|---|---|
| 開業希望月の仮決め/資金の仕分け/類型の絞り込み/人のあてリスト/地域ニーズの調査/事業計画の下書き/専門家への無料相談/貯蓄の積み増し(=融資審査での計画性の証明) | 法人設立の登記/指定申請の提出/物件の賃貸借契約(法人契約の場合)/職員の雇用契約/融資の実行 |
見ての通り、「決める系」はほぼ全部、在職中にできます。退職後にしかできないのは「契約する系」だけ。だから、辞める前に決め切るのが合理的なのです。
在職中の準備で、気をつけたい3つ
① 就業規則の確認——副業・競業に関する定めは会社ごとに違います。特に同業(現職が福祉法人等)からの独立は、競業避止や利用者・職員の引き抜きと受け取られる行動に慎重さが要ります。② 会社の資源を使わない——会社のPC・時間・情報で開業準備をしない。円満退職の最低条件です。③ 公言のタイミング——退職の意思表示は、①〜④が固まってから。早すぎる公言は、社内での立場と準備の自由度を同時に失いがちです。
手続き・資金・人材を、ひとつの窓口で。当事務所は障害福祉・障害児支援の指定申請に加えて、日本政策金融公庫等の創業融資・資金繰りの支援と、国家資格キャリアコンサルタントによる資格者の採用・定着支援までワンストップで対応します。財務コンサルタントの資格と、人事15年(採用・定着・評価)×国家資格キャリアコンサルタントの専門性を併せ持つ行政書士だからできる伴走です。初回60分無料・オンライン全国対応。
「まだ在職中ですが相談できますか」——もちろんです。むしろ在職中のご相談を歓迎しています。平日夜・土日・オンラインで対応し、①〜⑤を一緒に決める工程表をお渡しします(指定申請は税込220,000円〜・初回60分無料)。
📍 千葉県ローカルメモ|東葛エリアの「通勤しながら準備する」方へ
松戸・柏・流山など東葛エリアは都内通勤の会社員の方が多く、当事務所の開業相談でも「在職中・平日は動けない」という方が目立ちます。だからこそ当事務所は平日夜・土日・オンラインでの相談に対応し、役所対応が必要な工程は行政書士が平日に代行する分業を標準にしています。通勤電車の中でこの記事を読んでいるあなたのための体制です。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
私自身、会社員を18年やってから独立した人間です。だから「辞めてから考えたい」気持ちも、「決めてから辞めたい」慎重さも、両方わかります。振り返って思うのは、在職中の準備期間は「まだ辞められない停滞の時間」ではなく、「給料という安全網の上で試行錯誤できる、人生で一番贅沢な準備期間」だったということ。焦らなくていい。でも、止まらないでください。仮でいいから、開業希望月を決めるところから。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。
前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。
保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。