— 30秒でわかる結論 —
Q. 処遇改善加算の年間の締切はいつですか?何をいつまでにやれば返還になりませんか?
動かせない締切は2つです。①処遇改善計画書(別紙様式2)と体制届の提出——新たに算定する月の前々月末まで(継続算定は年度当初の指定権者の一斉受付期限)。②実績報告書(別紙様式3)の提出——最終の加算支払月の翌々月末で、通常年度は翌年7月31日(令和8年度分は2027年7月31日)。その間は、毎月の国保連の決定額と賃金改善額を管理表で突合し(30分)、9月に中間点検、12月に着地試算、3月に調整一時金で過不足を埋めれば、実績報告は管理表からの転記で終わります。改善不足・実績報告の不提出・要件の形骸化・不正受給が返還の4典型です。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 処遇改善加算を算定しているが、実績報告を毎年7月にバタバタで作っている事業所の管理者・事務担当の方
- 計画書は出したのに加算が請求に反映されず、体制届の存在をいま知った方
- 介護保険と障害福祉の両方を運営し、期限と様式を制度ごとに管理したい法人の方
締切は、実は2つしかない
処遇改善加算の書類は名前が長く、様式も多いのですが、1年のサイクルに落とすと動かせない締切は2つです。①計画書(別紙様式2)+体制届の提出——新たに算定を始める月の前々月末まで(継続して算定する事業所は、年度当初に指定権者が設ける一斉受付期限)。②実績報告書(別紙様式3)の提出——最終の加算支払月の翌々月末で、4月〜3月のフル年度なら翌年7月31日(令和8年度分は2027年7月31日)。この間にあるのは、毎月の賃金支給・請求・記録と、年度末の過不足調整です。
「約束して(計画書)、毎月配って(手当と管理表)、証明する(実績報告)」——制度の実体はこの一本道で、難しい制度ではなく手間のかかる制度です。逆に言えば、締切を落としたときのダメージが極端に大きい。計画書と体制届の出し忘れは「その月から算定できない」、実績報告の未提出は「年度の加算の全額返還」に直結します。
年間カレンダー(1枚)
| 時期 | やること | 備考 |
|---|---|---|
| 2月 | 翌年度の配分設計・区分の見直し/職場環境等要件の取組計画 | 改定情報(告示案・新様式)の確認もここで |
| 3月 | 計画書(別紙様式2)+体制届の作成→提出/職員への配分方針説明 | 継続算定は指定権者の一斉受付期限を厳守。就業規則変更があれば届出 |
| 4〜5月 | 新年度の支給開始/管理表の新設 | 給与明細の項目名(処遇改善手当)を確認 |
| 毎月 | 国保連の支払決定額を管理表に転記・賃金改善額と突合・根拠を保存 | 所要30分。請求額ではなく決定額で管理 |
| 9月 | 中間点検:累計差の確認/職場環境等要件の実施状況の棚卸し | 未実施の取組はここで着手 |
| 12月 | 年度末の着地試算/一時金原資の見込みを確定 | 不足が見えたら支給計画を修正 |
| 3月 | 調整一時金の支給/規程・取組の証拠フォルダ整理 | 年度フォルダを閉じる |
| 4〜6月 | 実績報告書(別紙様式3)の作成 | 当年度版の様式を必ずダウンロードし直す |
| 7月 | 実績報告書の提出(7月31日)/社内版実績報告の掲示 | 提出控えを保存 |
このカレンダーの肝は「毎月30分」と「9月・12月の2回の点検」です。実績報告が7月に苦しくなる事業所のほとんどは、年度中に数字を突合していません。逆に、毎月の決定額を転記していれば、実績報告書の作成は管理表からの転記2時間で終わります。
毎月30分の「管理表」——実績報告を2時間で終わらせる仕組み
管理表は難しいものではなく、列が5つあるだけの表です。
- A:加算の決定額——国保連の支払決定通知から、月ごとの処遇改善加算の額を転記します。請求額ではなく決定額で管理するのがポイントです(返戻・過誤で差が出ます)。
- B・C:毎月の賃金改善額——給与ソフトの支給項目「処遇改善手当」「ベースアップ分」の月次集計を転記。項目名を独立させておくと、ここが一瞬で終わります。
- D:一時金——年度末の調整一時金など。
- E:法定福利費の事業主負担増加分——月次は概算(B+C+Dの15%程度)で管理し、実績報告時に実額へ置き換えます。
- 累計差=(B+C+D+E)の累計 − Aの累計——これが常にプラスなら、年度末に慌てることはありません。
9月の中間点検で累計差がマイナスなら配分の上積みを、12月の着地試算で不足が見えたら年度末一時金の原資を確定します。年度末一時金は「調整弁」として設計しておくのが、返還を避ける最も確実な方法です。
返還が起きる4つの典型
- ①改善不足——加算収入に対して賃金改善額が届かなかった。年度末一時金での調整を怠ったケースが大半で、不足分(場合により加算全体)の返還と翌年度の算定への影響につながります。
- ②実績報告の不提出——督促を放置し、年度の加算全額の返還に発展。最も不毛な返還です。7月31日は全社カレンダーに、6月中の着手を標準に。
- ③要件の形骸化——規程はあるが周知していない、研修計画はあるが実施していない、職場環境等要件はチェックだけで未実施。改善指導→改善報告で済むことも多い一方、悪質・反復と判断されれば監査・返還・公表に進みます。
- ④不正受給——架空の賃金改善など。返還に加えて最大4割の加算金が上乗せされます。
返還が指示されたときの実務の流れ(自主点検→過誤調整→返還)は、報酬の自主点検・過誤調整・返還の流れにまとめています。
見落としやすい3つの「別物」
- 計画書と体制届は別物——国保連の請求システムは体制届の登録内容で加算の可否を判定します。計画書を3月に出したのに体制届を忘れ、4月分から算定できなかった、という事例は多発しています。区分変更(例:ⅠイからⅠロ)のときも、処遇改善側の書類と体制届の変更の両方が必要です。変更届(別紙様式4)の期日は、居宅系サービスでは変更後の加算を算定する月の前月15日と通知で定められています。
- 介護保険と障害福祉は別物——名称も(介護職員等処遇改善加算/福祉・介護職員等処遇改善加算)、窓口も様式も期限も制度ごとに別です。両方の事業所を持つ法人が片方の体制届だけ出して片方を失念する事故が起きます。
- 様式は毎年別物——前年のファイルの使い回しは差戻しの典型原因です。令和8年度は実績報告書の様式が7月14日に差し替えられています。毎年度、必ず当年度版をダウンロードし直してください。
当事務所の関わり方
処遇改善加算の届出(計画書・実績報告)は税込55,000円〜で代行しています(処遇改善加算の届出を行政書士に依頼する報酬)。ただ、この記事の管理表とカレンダーが回っている事業所は、実績報告をご自身で2時間で終えられます。当事務所に頼むべきなのは、区分を上げるときの要件整備、賃金改善の配分設計、複数制度・複数事業所の按分、そして「去年の実績報告に不安がある」ときの点検です。まずは運営中の事業所さま向けの窓口から、現在の管理状況をお聞かせください。
参考にした一次資料
- 厚生労働省「介護職員の処遇改善」(TOP・制度概要)
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和8年3月13日 老発0313第6号)
- 厚生労働省「令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」(令和8年3月13日 事務連絡)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(別紙様式2〜5の掲載ページ。実績報告書様式は令和8年7月14日差替え)
- 当事務所「介護・障害福祉の処遇改善加算 完全実務ガイド」(2026年8月版・第10章/第14章/第21〜23章)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の提出先(処遇改善加算)
提出先は指定権者と同じです。千葉市・船橋市・柏市の事業所はその市、松戸・流山・市川など県指定の事業所は千葉県へ。提出方法(電子申請届出システム・メール・郵送)と年度当初の一斉受付期限は指定権者ごとに案内が出るので、毎年2〜3月に必ず確認してください。介護保険と障害福祉で窓口の課が異なります。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
処遇改善加算の相談で最も多いのは、実は「7月に実績報告を作り始めて数字が合わない」というものです。原因はほぼ例外なく、年度中に一度も突合していないこと。管理表は列が5つあるだけの表で、毎月30分です。この30分が、返還と職員への説明責任の両方を守ってくれます。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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