— 30秒でわかる結論 —

Q. 指定申請を代行してもらえば、開業後もうまくいきますか?

指定の取得と、事業が続くことは別の問題です。指定申請は「開業の許可を得る手続き」であって、利用者が集まるか・人が採用できるか・資金が回るかとは切り離された話です。指定を取った日から始まるのは三つの現実——①利用者獲得(紹介経路の構築)②人員の確保と定着(要件職の欠員は減算に直結)③資金繰り(給付費の入金は約2か月後のため運転資金が要る)。だから依頼先を選ぶときは「申請を代行できるか」だけでなく、「開業後の三つの現実に伴走できるか」を確かめてください。書類が通ることをゴールに置く支援と、事業が続くことをゴールに置く支援では、提案の中身がまったく違います。

ご相談いただくと、こう進みます

  1. 最初の30分の無料相談で、指定申請の段取りと、融資の実行日や支払日を並べた資金の見通しを一緒に見ます。
  2. ご依頼後は、手続き・お金・人をまとめた工程表を作り、指定申請の書類の提出と創業融資の準備を進めます。
  3. その後は、開業後に資金繰りや職員の確保、加算の取得で迷ったときに、同じ工程表で見直します。

今日は、自分が属する業界——行政書士という商売の、都合の悪い話をします。

「指定申請、代行します」の、その先

放課後等デイサービス、障がい者グループホーム、B型作業所(就労継続支援B型)。介護や障害福祉の事業を開設しようとネットを検索すると、私たち行政書士の広告がずらりと並びます。「指定申請、丸投げOK」「面倒な書類はお任せください」。

たしかに、指定申請の書類は複雑です。人員基準、設備基準、運営規程、勤務形態一覧表。慣れない人が一人でやれば、何度も窓口に突き返されます。だから代行には価値がある。それは本当です。

でも、私はここに、業界の構造的な問題があると思っています。

指定が下りた瞬間に、支援が終わる。

書類が受理され、指定通知書が届き、報酬をいただいて、「おめでとうございます。あとは頑張ってください」。——ここで関係が切れることも多いのではないでしょうか。その後、その事業所がどうなったのか。半年後に資金が尽きていないか。人が採れているか。そこまで追いかけている専門家は、少ないのではないでしょうか。

開設は「ゴール」ではなく、「一番危ない瞬間」

考えてみてください。指定が下りた日は、こういう日です。

家賃も、人件費も、すでに発生している。でも売上(給付費)が入るのは、サービス提供の約2か月後。利用者さんは、初日から定員が埋まるわけではない。手元の現金は、この瞬間から最も速く減っていきます。

つまり、指定が下りた日というのは、その事業所の経営にとって一番、資金的に危ない日なんです。放課後等デイサービスでも、グループホームでも、B型作業所でも、この構造は同じです。

その一番危ない日に、専門家が「では、これで」と去っていく。私はこの構造が、ずっと引っかかっています。

「専門外ですから」は、誰のための線引きか

もちろん、反論は分かります。「資金繰りは行政書士の仕事じゃない」「専門外のことに口を出すべきではない」。

たしかに、税務は税理士、労務は社労士、登記は司法書士。士業には法律で決まった線引きがあり、それは守らなければなりません。私も守っています。

でも——「専門外だから」と、何も言わずに見送ることまで、その線引きは求めているでしょうか。

目の前の人が、運転資金を3か月分しか持たずに開業しようとしている。給付費が2か月後にしか入らないことを、知らないまま突っ走ろうとしている。それを分かっていて、「書類は完璧です」とだけ言って送り出す。これは、法律を守っているだけで、人を守ってはいないと思うのです。

「専門外」という言葉は、時として、専門家が自分を守るための便利な盾になります。線引きを守ることと、見て見ぬふりをすることは、違います。

悪いのは、個々の専門家ではない。構造です

念のため言えば、これは同業者への個人攻撃ではありません。誠実に、丁寧に仕事をしている先生をたくさん知っています。

問題は構造です。指定申請の報酬は、申請という「作業」に対して支払われます。だから、作業が終われば報酬も終わり、関係も終わる。開業後にどうなろうと、報酬には影響しない。その後を見届けるインセンティブが、報酬体系のどこにも組み込まれていない。

だから、悪意がなくても、みんなが「指定まで」で手を離す。合理的だからです。構造がそうなっている以上、個人の善意に期待しても変わりません。変えるべきは、仕事の設計そのものです。

だから私は、「順番」と「その後」まで引き受けます

私が福祉の開設・経営支援でやろうとしているのは、こうです。

開業の「前」に、お金の話をする。物件を契約する前に、資金の見通しを立てる。融資の実行日と、保証金や工事代金の支払日を、カレンダーの上で突き合わせる。運転資金が足りないなら、規模を縮小するか、時期を後ろにずらす——「今は開業すべきではない」と言うことも含めて。

開業の「後」も、離れない。人が採れているか、資金は回っているか、加算は取れているか。人材育成と財務改善の顧問として、経営に伴走を続ける。

正直に申し上げれば、これは私にとって「都合のいい話」でもあります。顧問契約につながる設計なのですから、そこは隠しません。でも、それでいいと思っています。専門家がその後も食べていける形にしないと、その後を見届ける人は現れない。善意ではなく、仕組みで解決したいのです。

開業を考えている方へ——専門家を選ぶ、たった一つの質問

もし今、放課後等デイサービスやグループホーム、B型作業所の開設を考えていて、専門家を探しているなら。見積書の金額を比べる前に、こう聞いてみてください。

「開業して半年後、資金が尽きそうになったら、相談に乗ってもらえますか?」

この質問に、きちんと答えられる専門家を選んでください。それが私でなくても、構いません。あなたの事業が、指定が下りた「その先」まで続くことのほうが、ずっと大事だからです。

たとえば、こんな場面で迷っていませんか

障がい者グループホームの開設を考えている法人の代表者の方。指定申請を行政書士に頼もうと、いくつかの事務所に見積りを依頼しています。

どの事務所も書類の作成と提出は任せられると言いますが、指定が下りたあとのことはあまり話題に出ませんでした。

融資を申し込むつもりではあるものの、実行される日と、保証金や改修工事の支払日がいつになるのかは並べて確かめていません。給付費が入るのはサービスを始めてしばらく後だと聞き、それまでの家賃や人件費をどうまかなうのかも気になっています。

このまま書類のことだけを決めて開業すると、指定が下りたあとに手元の資金が足りなくなり、慌てて相談先を探すことになりかねません。

この場面なら、まず指定申請の段取りと、融資の実行日・支払日・給付費の入金までの資金の流れを、同じ表に並べて確かめます。本文では、その考え方を説明しました。

当事務所にご相談いただいた場合の進め方

  1. 1. ご相談の前に手元に用意していただくもの
    開業を予定しているサービスと所在地が分かるメモ、候補物件の図面と賃貸条件の資料、法人の定款、資金計画のメモ(自己資金・借入の予定)、管理者・サービス管理責任者の候補の方の経歴が分かる書類をお手元にご用意ください。
  2. 2. 初回30分の無料相談で一緒に確認すること
    指定申請の締切と、融資の実行日・保証金や工事代金の支払日・給付費の入金の時期を並べて、資金が足りなくなる時期がないかを一緒に確かめます。規模や開業時期を見直したほうがよい場合は、その場で率直にお伝えします。
  3. 3. ご依頼後の進め方当事務所がやること:指定権者の事前相談に同席し、指定申請の書類を作って提出します。創業融資に向けた事業計画の作成もお手伝いします(融資のあっせん・仲介は行いません)。開業後の変更届・加算の届出・処遇改善加算、資格者の採用・定着のご相談にも対応します。お客様にお願いすること:物件の契約と改修、職員の確保、金融機関への融資の申込みと面談は、お客様にお願いします。税務は連携する税理士、労務は提携の社会保険労務士が担当します。
  4. 4. その後
    開業後は、資金繰りや人の確保、加算の取得を、開業前に作った工程表に照らして見ていきます。開業1年目は福祉顧問 スタートプランで随時のご相談をお受けし、その後は福祉顧問 相談プラン・サポートプラン・トータルプランからお選びいただけます。

料金は料金表と料金シミュレーションでご確認いただけます。

💬 目加多のひとこと

「まだ物件も決めていない」——その段階が、いちばん良いご相談のタイミングです。開業の手続きと、お金と、人。まとめて工程表にするところから、一緒に始めましょう。営業電話や売り込みは一切しません。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)

障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。

前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。

保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。

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※本記事は業界の構造についての私見です。指定申請の代行を専門とすることを否定するものではありません。融資の実行を保証するものではなく、当事務所は融資のあっせん・仲介は行わず、事業計画の作成支援等のコンサルティングとして支援します。税務は税理士、労務・就業規則は社会保険労務士、登記は司法書士におつなぎします。松戸・柏・流山・船橋・市川・三郷・千葉市・東京23区・埼玉東部・茨城県南部を含む首都圏で活動しています(オンラインで全国対応も可)。本記事はnoteに掲載したコラムをもとにしています。