— 30秒でわかる結論 —

Q. 特定相談支援事業・障害児相談支援事業の指定申請は、どこに出して、何が必要ですか?

どちらも事業所が所在する市町村長が指定権者で、他の障害福祉サービス(都道府県・政令市・中核市)と提出先が分かれます。指定は所在地の市町村1つですが、他の市町村に住む利用者の計画相談も担当できます。特定相談支援は障害者総合支援法に基づく基本相談支援+計画相談支援、障害児相談支援は児童福祉法に基づく障害児支援利用援助+継続障害児支援利用援助で、両方を同時に申請する事業所が一般的です。人員は管理者(常勤・兼務可)と相談支援専門員1人以上(実務経験3〜10年+相談支援従事者初任者研修、5年ごとの現任研修)。設備は事務室とプライバシーが確保された相談室。運営基準では特定の事業者への誘導を禁じる中立・公平性が強く問われ、自法人サービスと併設する場合は選択肢の提示と記録が必要です。定款の目的に「障害者総合支援法に基づく特定相談支援事業」「児童福祉法に基づく障害児相談支援事業」の記載が無いと受理されません。書類は申請書・付表、登記事項証明書・定款、平面図、運営規程、勤務形態一覧表、相談支援専門員の研修修了証と実務経験証明書、誓約書、業務管理体制の届出など。指定は原則毎月1日付で、締切は市町村ごとに異なります。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 相談支援事業所の開設を検討していて、指定申請の全体像を知りたい方
  • 相談支援専門員の要件(実務経験・研修)が自分に当てはまるか確認したい方
  • 放デイやGHを運営していて、計画相談・障害児相談の併設を考えている法人の方

📗 関連の深掘り——相談支援専門員の研修を「前段階」で先に受けておく構成が成立しにくい理由(法人推薦・現任研修5年以内・実務2年)と、雇用から指定までの実際の順番はこちらの記事で扱っています。

相談支援の指定申請だけが、他の類型と違う3つのこと

「障害者総合支援法に基づく特定相談支援事業」と「児童福祉法に基づく障害児相談支援事業」の指定申請は、放課後等デイサービスやグループホームの指定申請と同じ感覚で進めると止まります。違いは3つ。①指定権者が市町村であること(他の障害福祉サービスは都道府県・政令市・中核市)、②相談支援専門員という研修と実務経験の両方が要る資格職が要件の中心であること、③中立・公平性が運営基準で特に強く問われること。この3つを軸に、申請の全体像を整理します。

2つの事業の関係——大人は総合支援法、子どもは児童福祉法

項目特定相談支援事業障害児相談支援事業
根拠法障害者総合支援法(第51条の17〜)児童福祉法(第24条の26〜)
内容基本相談支援(相談・情報提供)+計画相談支援(サービス等利用計画の作成・モニタリング)障害児支援利用援助(障害児支援利用計画の作成)+継続障害児支援利用援助(モニタリング)
対象障害福祉サービス等を利用する障害者・障害児(児童福祉法の通所支援のみ利用する児童を除く)児童発達支援・放課後等デイサービスなど障害児通所支援を利用する児童
指定権者事業所所在地の市町村長事業所所在地の市町村長
典型的な申請の形両方を同時に申請する事業所が多い(大人と子どもの両方に対応するため)。児童のみなら障害児相談支援のみ

実務では、放デイを利用している児童が居宅介護(総合支援法)も使う場合など、両制度にまたがるケースがあるため、両方の指定を同時に取るのが一般的です。申請書は2つの事業で別々の様式になりますが、人員・設備は共通で足ります。

指定権者は「市町村」——ここで提出先を間違えない

特定相談支援・障害児相談支援の指定は、事業所が所在する市町村が行います。千葉県内なら、松戸市に事業所を置けば松戸市、柏市なら柏市です。同じ法人で生活介護や放デイ(千葉県または政令市・中核市の指定)を持っている場合、提出先が2つに分かれます。変更届・業務管理体制の届出も同様です。

もう一つ大事な点。指定は所在地の市町村1つですが、他の市町村に住む利用者の計画相談を担当することはできます(支給決定は利用者の居住市町村が行い、その市町村からの委託ではなく、利用者との契約で担当します)。「隣の市の利用者を受けるには隣の市の指定が要る」という誤解がよくあります。ただし制度上は担当できても、通所系サービス(就労継続支援B型や生活介護など)は本人が通える範囲かどうかが現実の制約になります。遠方の利用者に送迎が必要になれば、事業所側の送迎に半日かかるといったことも起こり得るので、計画相談としては「本人が無理なく通える範囲の事業所」を選択肢に入れる——これも公正中立の実務です。

人員基準——相談支援専門員が要件の中心

職種要件の骨子
管理者常勤1人。支障がなければ相談支援専門員との兼務、同一敷地内の他事業所の職務との兼務が認められる
相談支援専門員1人以上(専従が原則。支障がなければ兼務可の場合あり)。要件は実務経験+研修の両方:①相談支援・直接支援等の実務経験(業務の種類と保有資格により3〜10年)②相談支援従事者初任者研修の修了。修了後は5年ごとの現任研修が必要で、受講しないと専門員として配置できなくなる

相談支援専門員の要件で最も多いつまずきは、実務経験の年数が「業務の種類」で変わることです。相談支援業務か、直接支援業務か、保有する国家資格は何か、で3年・5年・10年と変わります。候補者の経歴を手引きの表に当てはめて、申請前に指定権者に確認してください。研修の開催は都道府県等で年数回に限られるため、研修の受講時期が開業日を決めます

設備基準——事務室と、プライバシーが確保された相談室

  • 事務室——事業の運営に必要な広さ。他の事業所と同一敷地の場合、区分が明確であること。
  • 相談室——プライバシーが確保されていること。利用者・家族の相談内容が外に聞こえない構造(間仕切り・別室)。カーテンのみでは不可とする指定権者があります。
  • 設備・備品——鍵のかかる書庫(記録の保管)、電話、パソコン等。

訪問が中心のサービスですが、来所相談を受ける場所は必要です。自宅の一室を事務所にする場合、生活空間との区分と相談室の確保を指定権者に確認してください。

運営基準で特に問われる「中立・公平」

相談支援事業所は、利用者にサービスを紹介する立場です。運営基準(省令)は、指定計画相談支援が特定の障害福祉サービス事業者等に不当に偏ることのないよう公正中立に行われることを求め、事業者からの利益供与の授受を禁じています。自法人でグループホームや就労B型を運営している場合、自法人のサービスへ誘導していると見られない仕組み——複数の選択肢の提示と、その記録——が運営指導で確認されます。併設は認められていますが、中立性の記録が無いと指摘の対象になります。

ここで整理しておきたいのが、介護保険との違いです。介護保険の居宅介護支援には、自法人(特定の事業所)へのサービス集中が一定割合を超えると報酬が減る「特定事業所集中減算」がありますが、障害福祉の計画相談支援にはこの種の報酬上の減算はありません。だから「自法人の利用者ばかりの計画」がそれ自体で即違反・即減算になるわけではない。ただし、公正中立は運営基準上の義務なので、本人の意向と、複数の選択肢を提示した記録があって、その結果として自法人を選んだ——と説明できることが要ります。説明できない偏りは、運営指導で「不当に偏している」と評価され、改善指導、悪質なら指定の効力停止・取消しの対象になり得ます。「減算がないからOK」ではなく「減算はないが、義務はある」が正確な整理です。

指定申請の流れと書類

段階内容注意
①事前相談市町村の障害福祉担当へ。事業計画・人員の見込み(相談支援専門員の要件)・事務所の図面を持参市町村によっては地域の相談支援体制の状況を踏まえた協議がある
②法人・定款定款の目的に「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく特定相談支援事業」「児童福祉法に基づく障害児相談支援事業」の記載記載が無いと受理されない。定款変更は認証・登記に時間
③申請書類の作成指定申請書・付表/登記事項証明書・定款/事務所の平面図・写真/運営規程/勤務形態一覧表/相談支援専門員の研修修了証・実務経験証明書/管理者の経歴/誓約書/協力医療機関等(求める市町村あり)/業務管理体制の届出(法人単位)実務経験証明書は前勤務先に依頼するため2〜4週間
④提出・審査市町村の受付期間内に提出。補正対応締切は市町村ごとに異なる(指定希望月の前月中旬など)
⑤指定原則毎月1日付。指定通知後に国保連への請求準備、市町村への周知指定日以降に契約・計画作成が可能

共通の必要書類の考え方は必要書類チェックリスト、定款の書き方は定款の目的はどう書くか、業務管理体制は法人単位の義務をご覧ください。

令和6年度改定で押さえておく「機能強化型」

相談支援の基本報酬には、機能強化型の区分があり、常勤・専従の相談支援専門員を複数配置し、24時間の連絡体制や地域の協議会・基幹相談支援センターとの協働などの要件を満たすと、基本報酬が上がります。開業時に1人体制で始める事業所が多いですが、採算の分岐点は機能強化型を取れるかにあります。人員計画の段階で、2人目・3人目の配置をいつ目指すかを決めておいてください(相談支援の収支の構造)。

要確認:人員・設備・運営の基準は、障害者総合支援法・児童福祉法にもとづく指定計画相談支援・指定障害児相談支援の基準(省令)と、指定権者である市町村の条例・手引きで定められています。相談支援専門員の実務経験年数の区分、研修の実施主体・日程、申請書類の様式・締切、協力医療機関の要否、機能強化型の要件は、市町村・年度・報酬改定で異なります。本記事は2026年9月6日時点の一般的な整理で、申請前に必ず所在地市町村の最新の手引きで確認してください。

当事務所の関わり方

特定相談支援・障害児相談支援の指定申請(税込220,000円〜。両方同時の場合は合わせてお見積り)を、相談支援専門員の要件確認、定款目的の設計、市町村への事前相談の同席、書類作成、指定後の業務管理体制の届出までお受けしています。既存の障害福祉サービス(県指定)と併設する場合の提出先の整理と中立性の記録の型づくりも。まず相談支援事業所を開業するで全体像を、そのうえで指定申請サポートへ。

参考にした一次資料

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(第51条の17以下・指定特定相談支援事業者)
  • 児童福祉法(第24条の26以下・指定障害児相談支援事業者)
  • 指定計画相談支援・指定障害児相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(省令)および各市町村の条例・指定申請の手引き
  • 障害福祉サービス等報酬告示(計画相談支援・障害児相談支援の基本報酬・機能強化型)
  • 当事務所「障害福祉・障害児支援の指定申請 完全実務ガイド」(2026年8月版)

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の申請先

松戸市・柏市・流山市・市川市・船橋市・千葉市など、事業所の所在市町村の障害福祉担当が申請先です。同じ法人で生活介護や放デイを持つ場合、それらは千葉県(千葉市・船橋市・柏市はその市)が指定権者なので、提出先が2つになります。相談支援従事者初任者研修・現任研修は千葉県が実施しており、開催回数と定員に限りがあるため、開業を決めたら研修の日程を最初に確認してください。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

相談支援の指定申請で、私が最初に確認するのは相談支援専門員の候補者の経歴です。実務経験の年数が業務の種類で変わるので、「10年やってきました」でも当てはまらないことがある。ここで止まる相談が本当に多い。研修のカレンダーと経歴の突合、この2つが最初の仕事です。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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