— 30秒でわかる結論 —

Q. 相談支援事業所は儲かりますか?収支はどうなっていますか?

収益性だけを見れば厳しい事業です。収入はサービス利用支援費(計画作成月に算定)、継続サービス利用支援費(モニタリング期間に応じて算定)、各種加算(機能強化型など)の3本で、担当件数と単価で頭打ちになります。一方、費用は相談支援専門員の人件費がほぼすべてなので、1人あたりの担当件数と加算の取得状況で黒字か赤字かが決まります。赤字を最小化する設計は3つ——①常勤専従の相談支援専門員を複数配置し機能強化型の加算を取りに行く、②生活介護や就労支援等と併設して法人全体で見る(自法人サービスへの誘導と見られない中立性の確保が前提)、③モニタリング期間の分布を見て業務を平準化する。指定申請では、相談支援専門員1人以上(専従が原則・研修修了と実務経験が必要)、事務室とプライバシーが確保された相談室が必要で、指定権者は他の障害福祉サービスと違い市町村です。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 相談支援事業所の開設を検討していて、収支の現実を知りたい方
  • すでに他の障害福祉サービスを運営していて、相談支援の併設を考えている法人の方
  • 相談支援は赤字と聞いて、踏み切れずにいる方

「儲からない」と言われる相談支援を、なぜ開くのか

相談支援事業(計画相談支援・障害児相談支援)は、収益性だけを見れば厳しい事業です。相談支援専門員1人が担当できる件数には限りがあり、報酬も1件あたりの単価×件数で決まります。それでも開設する法人があるのは、地域の中で「要(かなめ)」の位置に立てるからです。

この記事は、収支の構造を正直に示したうえで、それでも開く意味と、赤字を最小化する設計を整理します。

収支の構造——「件数×単価」しかない

収入の柱考え方
サービス利用支援費サービス等利用計画を作成した月に算定。毎月発生するわけではないのがポイント
継続サービス利用支援費(モニタリング)モニタリング期間(対象者ごとに市町村が定める)に応じて算定。毎月の人もいれば半年に1回の人もいる
各種加算機能強化型(常勤専従の相談支援専門員の人数・24時間対応等)、初回加算、入院時情報連携加算 など。加算をどれだけ取れるかで採算が変わる

収入が「担当件数×単価」で頭打ちになる一方、費用は相談支援専門員の人件費がほぼすべてです。つまり、1人あたりの担当件数と加算の取得状況で、黒字か赤字かが決まります。件数を追えば質が落ち、質を守れば件数が伸びない——この緊張が、この事業の本質です。

赤字を最小化する3つの設計

  • ①機能強化型の加算を取りに行く——常勤専従の相談支援専門員を複数配置し、24時間の連絡体制や関係機関との会議を整えることで算定できる加算があります。1人体制のままだと、単価の低いところで固定されます。
  • ②他の事業と併設する——生活介護、就労支援、グループホーム等と併設し、法人全体で見る。相談支援単体の赤字を、他事業の収益と地域からの信用で回収する考え方です。ただし、自法人のサービスに誘導していると見られない中立性の確保が前提になります。
  • ③モニタリング期間を把握して業務を平準化する——担当者ごとにモニタリングの月が偏ると、忙しい月と暇な月ができます。受け入れの段階で期間の分布を見て、平準化してください。

指定申請で押さえる点

項目要点
人員相談支援専門員を1人以上(専従が原則)。相談支援従事者初任者研修の修了と、規定の実務経験が必要。管理者は兼務可の場合がある
設備事務室と、プライバシーが確保された相談室。訪問が中心でも相談を受ける場所は必要
指定権者市町村(計画相談支援・障害児相談支援)。他の障害福祉サービスが都道府県・政令市・中核市であるのと違うので、提出先を間違えない
運営秘密保持、苦情解決、虐待防止、業務管理体制。中立・公平性の確保が特に問われる

指定権者が市町村である点は、実務で何度も効いてきます。同じ法人で生活介護(県指定)と計画相談(市指定)を持つと、変更届の提出先が2つになります。平時に「類型ごとの提出先一覧」を作っておいてください。

それでも開く意味

相談支援事業所は、地域の障害のある方とサービスをつなぐ結節点です。ここに立つと、地域に何が足りていないかが見えます。「短期入所が空いていない」「放課後等デイの空きがない」——次にどの事業を作るべきかが、机上の分析ではなく実感として分かる。私が相談支援の開設を勧めるとしたら、収支の理由ではなく、この理由です。

要確認:報酬の単価・加算の要件(機能強化型の類型と算定要件を含む)は報酬改定で変わり、モニタリング期間は市町村が対象者ごとに定めます。人員・設備・運営の基準は基準省令と市町村の条例で定められています。本記事は2026年9月3日時点の一般的な整理であり、具体的な収支は担当件数・地域・加算の取得状況で大きく変わります。開業前に必ず、指定権者である市町村の最新の手引きと報酬告示を確認してください。

📘 指定申請の要件・書類・流れの詳細は「特定相談支援事業・障害児相談支援事業の指定申請」にまとめています。

当事務所の関わり方

計画相談支援・障害児相談支援の指定申請(税込220,000円〜)と、開業後の変更届・体制届をお受けしています。併設を前提に法人全体の収支を組む段階からご相談ください(相談支援事業所を開業する)。

参考にした一次資料

  • 障害者総合支援法・児童福祉法および指定計画相談支援・指定障害児相談支援の基準
  • 障害福祉サービス等報酬告示(単価・加算の要件は報酬改定で変わるため当該年度の告示を確認)
  • 当事務所「障害福祉・障害児支援の指定申請 完全実務ガイド」(2026年8月版)

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の提出先

計画相談支援・障害児相談支援の指定は、事業所の所在市町村(松戸市、柏市、流山市など)が行います。一方、生活介護や就労支援は千葉県(千葉市・船橋市・柏市はその市)です。同一法人で両方を持つと、変更届の提出先が2つになるため、平時に「類型ごとの提出先一覧」を作っておくことをお勧めします。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

相談支援は「儲からない」と言われます。数字の上ではそのとおりです。ただ、この事業を持っている法人は、地域に何が足りないかを肌で知っています。次の事業を決めるときの精度が違う。私はそれを、収支表に載らない収益だと思っています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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