— 30秒でわかる結論 —
Q. グループホームは何人定員なら黒字になりますか?
定員数だけでは決まりません。GHの損益は「単価(入居者の区分と世話人配置区分で決まる)×稼働率」と「人件費(夜間体制を含む)+物件コスト」の差で決まるため、同じ定員でも、入居者の構成・体制の組み方・家賃設定で結果はまったく変わります。確実に言えるのは、空室が最大の敵だということ——住まい系サービスは日割の積み上げなので、1室の長期空室が固定費に直撃します。開業計画では満室前提ではなく、立ち上がり期の空室と入金約2か月遅れを織り込んだ資金繰りを組んでください。
放デイの収支構造に続く「構造で読む収支」シリーズ、今回はグループホームです。数値は改定で変わるので書きません——でも、この骨格は変わりません。
売上の骨格——「誰が住むか」と「どれだけ支えるか」で単価が決まる
GHの基本報酬は、ざっくり言えば入居者の障害支援区分と世話人配置の手厚さ(利用者何人に世話人1人か、という区分)の組み合わせで単価が決まり、それが入居日数分積み上がります。つまり「定員6名のGH」の売上は一つではなく、誰が入居し、どの体制区分を取るかで変わる——開業計画の売上欄は、想定する入居者像とセットでなければ絵に描いた餅です。
夜間の体制——加算であり、人件費でもある
夜勤や宿直を置く夜間支援等の体制は加算の対象ですが、同時に大きな人件費でもあります。「加算が取れるから夜勤を置く」のではなく、入居者の支援に夜間体制が必要か→必要ならその原資として加算を確実に取る、という順番で考えるのが健全です。体制加算は毎月満たし続けるもの——シフトが崩れた月の算定は返還リスクに直結します。
家賃・食費は「別会計」——住まいのコストは利用者負担で設計する
GH特有の構造が、家賃・食材費・光熱水費は利用者負担だという点です(家賃には要件を満たす方への補足給付の仕組みあり)。つまり物件の賃料は報酬で回収するのではなく、利用者負担の家賃設定でバランスさせる設計——ここを混ぜて計画すると、収支が実態とズレます。物件選びの段階から、基準適合と「入居者が払える家賃か」の両にらみが必要です。
費用の主役は人件費——定着が収支レバーになる
費用側はサビ管・世話人・生活支援員の人件費が中心。世話人の離職は、採用費・教育コスト・体制加算の不安定化という三重の損失です。放デイ編と同じ結論になりますが、定着は福利厚生ではなく収支のレバー——ここにお金と人を一体で見る意味があります。
「盛らない」GH計画の型
まとめ——①売上は入居者像×体制区分で具体的に、②空室期間と入金2か月遅れを織り込む、③夜間体制は支援ニーズから決めて加算で原資化、④家賃は利用者負担で別建て設計。この型で作った計画は融資審査でも強い。数字を入れた個別の試算は、最新の報酬告示×地域区分で当事務所がご一緒します(GH開業の全体像もどうぞ)。
📍 千葉県ローカルメモ|単価は地域区分で変わります
千葉県内のGHは、指定窓口(県か千葉市・船橋市・柏市か)だけでなく、報酬の地域区分も所在地で異なります。収支計画の単価は必ず開業予定地の地域区分で引いてください——この試算の枠組みづくりからお手伝いしています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
GHの収支相談で「何室なら儲かりますか」と聞かれるたび、「誰の暮らしを支えたいですか」から聞き返しています。答えが先に数字になっている計画は、だいたい長続きしません。暮らしが先、数字は後から整える——順番の問題です。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。
前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。
保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。