— 30秒でわかる結論 —

Q. 障害者グループホームを開業したいのですが、何から始めればいいですか?

順番は①どの類型でやるかを決める → ②サビ管の当てをつける → ③物件を探す(契約前に消防・用途変更を確認)です。①類型は介護サービス包括型・外部サービス利用型・日中サービス支援型の3つがあり、入居者にどこまでの支援を提供するかで選びます。②サービス管理責任者(サビ管)は実務経験+研修が必要な希少人材で、確保の時期が開業日を事実上決めます。③物件は「広さ」より消防設備と用途変更の可否が壁になりやすく、契約後に発覚すると取り返しがつきません。申請窓口は千葉県内なら原則千葉県(千葉市・船橋市・柏市のみ各市)。全体像は本文の10論点でご案内します。

障害者グループホームの開業相談は、当事務所でもとくに多いテーマです。この記事は、当ブログのグループホーム関連記事を束ねる完全ガイド——ここを起点にすれば、必要な情報にすべてたどり着けるよう10の論点に整理しました。

論点①:そもそも「グループホーム」とは

障害者グループホームの制度上の名称は共同生活援助といい、障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスです。障害のある方が地域の住宅で共同生活を送りながら、日常生活の相談・入浴・排せつ・食事の介護などの支援を受ける——「施設」ではなく「住まい」である点が、この事業の性格を決めています。なお高齢者向けの「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」は介護保険の別サービスで、指定権者も市町村になります。まずここを混同しないことが出発点です。

論点②:3つの類型——どこまで自分たちで支えるか

共同生活援助には3つの類型があり、選択によって人員配置も報酬も変わります。

介護サービス包括型は、事業所の職員が生活支援も介護も担う、もっとも一般的な形。外部サービス利用型は、介護の部分を外部の居宅介護事業所に委託する形で、自事業所は日常生活の支援に集中します。日中サービス支援型は、重度の方などを想定し、日中を含めた常時の支援体制を持つ類型です(詳しくは日中サービス支援型とは)。「どの入居者を支えたいか」から類型を決める——ここが最初の設計判断になります(業態の選び方)。

論点③:申請窓口は「県か、3市か」

千葉県内でグループホームを開業する場合、指定申請の窓口は原則として千葉県。ただし千葉市・船橋市・柏市に事業所を置く場合は各市が窓口です。松戸・流山・市川・野田・鎌ヶ谷などは県への申請になります。さらに我孫子市は事務移譲により、グループホーム(共同生活援助)については我孫子市が窓口です(2026年7月29日、千葉県公式サイトで確認)。窓口が違えば手引きも受付スケジュールも変わるため、開業地が決まった時点で確定させてください窓口ガイド)。

論点④:物件——消防と用途変更が最大の壁

グループホームで最も多い手戻りが物件です。「広くて安い一軒家を見つけた」と契約してから、消防設備の設置費用が想定を超える建築基準法上の用途変更が必要だったと判明する——このパターンを何度も見てきました。必ず契約前に消防・建築の確認を(物件選びの落とし穴物件と設備基準)。あわせて、近隣への説明をどう進めるかも早い段階で考えておきたいところです。

論点⑤:人員——サビ管・世話人・生活支援員

人員の中核はサービス管理責任者(サビ管)で、個別支援計画に責任を持ちます。実務経験+段階制の研修が必要な希少人材で、確保時期が開業日を決めるのが実情です。加えて世話人(家事援助・生活支援。資格要件なし)と生活支援員(介護等)を配置します。要件と確保の実務はサビ管と世話人の記事、採用と定着は世話人の採用・定着人員基準と人材確保へ。

論点⑥:夜間をどう支えるか——夜勤か、宿直か

グループホームは住まいですから、夜があります。夜勤(通常の労働時間としての勤務)と宿直(労働基準監督署の許可が必要な待機的勤務)は制度上まったく別物で、実態とのズレは労務リスクになります。制度側には夜間支援等体制加算があり、体制の裏づけになります(夜間支援体制の設計)。

論点⑦:お金——報酬と家賃は「別会計」

収支で必ず押さえるべき構造があります。基本報酬は障害支援区分と世話人配置の手厚さで決まる一方、家賃・食材費・光熱水費は利用者負担(家賃には要件を満たす方への補足給付の仕組みがあります)。つまり物件の賃料は報酬で回収するのではなく、入居者が払える家賃設定でバランスさせる設計です。この2つを混ぜた計画は実態とズレます(GHの収支構造開業費用の試算モデル加算・報酬の考え方)。

論点⑧:入居者を迎える——見学から体験利用、そして契約

指定が取れても、入居者が来なければ始まりません。相談支援事業所・特別支援学校・病院との関係づくりが入口になり、実務は見学 → 体験利用 → 受給者証の支給決定 → 重要事項説明・契約 → 入居と進みます。体験利用は「お試し」ではなく制度上のサービス提供で、記録と請求が伴います(体験利用から入居契約まで)。

論点⑨:開業後——変更届・6年更新・運営指導

指定は取って終わりではありません。体制や住居を変えれば変更届6年ごとに指定更新、そして運営指導があります。重要事項説明書や運営規程を古いまま使っているのは典型的な指摘事項です(変更届・更新運営指導)。

論点⑩:スケジュールと、進め方

準備開始から開業まで、おおむね6か月〜1年。なお千葉県は市町村意見申出制度の導入で申請スケジュールが変わり、市町村への事前説明を含めて指定日の4か月前から動くのが新しい標準です(最新スケジュールの整理)。サビ管の採用開始 → 類型の決定 → 物件(契約前に消防・用途変更の確認)→ 資金計画 → 事前協議 → 指定申請 → 指定・入居準備、という順が現実的です(開業ロードマップ経営視点での開業と指定)。

当事務所は指定申請の代行に加えて、財務コンサルタントとして資金計画と融資を、国家資格キャリアコンサルタントとしてサビ管・世話人の採用と定着を、一体でお手伝いできます(お金と人の総合支援グループホームの開業支援)。構想段階からどうぞご相談ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の窓口と確認先

千葉県内でも、千葉市・船橋市・柏市に開設する場合は各市、松戸・流山・市川・野田などは県が窓口です。我孫子市はグループホームについて市が窓口なのでご注意ください。物件の消防設備については所轄の消防署、用途変更については建築部局と、確認先が分かれます。当事務所は松戸を拠点に、県・各市それぞれの窓口運用に沿った準備に対応しています。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

指定権者別・窓口と受付時期の実際(2026年8月29日に各公式ページで確認)

制度の骨格は全国共通ですが、「いつまでに・どこへ・どの順番で」は指定権者ごとに違います。千葉県と、県内で指定権限を持つ千葉市・船橋市・柏市の公表情報を、2026年8月29日時点で確認して整理しました。逆算すると、開業希望月の3か月前には物件の目処と定款の目的規定が固まっている必要があります。

指定権者窓口・受付時期・運用の実際
千葉県
松戸・流山・市川・我孫子・野田・鎌ヶ谷ほか
健康福祉部障害福祉事業課(県庁本庁舎12階)障害者福祉サービス事業指定班(043-223-2308)。市町村への事前説明が開設予定月の4〜5か月前、県への事業相談シートの提出(ちば電子申請サービス)が4か月前の月末、その補正が3か月前の25日、指定(更新)申請書類の提出が2か月前の月末、指定日は毎月1日(2026年9月10日確認)。申請書類は提出時に対面で確認するため、来庁の予約が必要です。定款の目的に「児童福祉法に基づく障害児通所支援事業」「障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業」等の法的根拠を明記し、定款変更を終えてから申請(未了は不受理)。初めて指定を受ける事業者は業務管理体制の届出も同時に
千葉市(政令市)障害福祉サービス課(市役所高層棟9階・043-245-5227)。障害児通所は「事前相談=指定の2か月半前まで/指定申請=前々月末まで」と公表されており、障害福祉サービス(生活介護・就労・GH等)も同課が窓口。日中系・居住系の締切と事前相談の運用は同課の「日中系・居住系」ページで要確認
船橋市(中核市)福祉サービス部指導監査課 指導監査第一係 障害福祉担当(市役所別館2階・047-436-2425)。通所系・入所系は消防法令適合状況確認申請を前々月15日までに提出→書類提出の最終締切は前月15日(閉庁日なら直前の開庁日)→サビ管・児発管との面談→審査→前月末頃に現地確認→指定通知。要予約、初回受付は1〜1.5時間、書類の修正のやり取りは平均2〜3回。申請時は法人担当者・行政書士のほか管理者・責任者の同席を求められます。開設前の近隣・自治会への挨拶も要請
柏市(中核市)福祉部指導監査課 障害事業者担当(本庁舎別館4階)。事前相談が必須(電話予約)、申請書類は窓口持参のみ・郵送不可(更新は郵送可)。事前相談から指定までおおむね2〜3か月。就労継続支援は生産活動内容の精査のため、さらに長くかかることがあります。令和8年7月以降の指定に係る事前相談は、法人代表者・役員または事業所の管理者・管理責任者からのみ受け付け(行政書士だけでの事前相談は不可。同席・書類作成は可)
要確認:締切日が閉庁日にあたる場合の繰上げ、事前協議・事前相談の要否と持参物、現地確認の有無は年度や運用で変わります。申請の前に必ず各指定権者の最新ページと「指定申請の手引き」を確認してください。障害児通所支援は、指定権者への申請とは別に、事業所所在地の市町村への事前相談を求められることがあります。

この4つに東京都を加えて比較し、共通する「開業3か月前ルール」を導いた記事はこちら

この表の出典(一次資料)

💬 目加多のひとこと

グループホームの相談で私が最初に聞くのは「どんな暮らしをつくりたいですか」です。類型も人員も物件も、そこから逆算で決まっていく。制度の話から入ると、かえって遠回りになることが多いと感じています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。

前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。

保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。

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