— 30秒でわかる結論 —

Q. 障害者グループホームを開業するには、資金はいくら必要ですか?

定員5〜6名×1〜2棟・既存の戸建てやアパートを借り上げる前提の当事務所の試算で、初期費用がおおむね400〜1,200万円、運転資金が月130〜240万円で、その6か月分を足した必要資金はおおむね1,200〜2,600万円です。家賃・食費は利用者負担で回収できますが、人件費は給付費でしか賄えず、給付費はサービス提供月の約2か月後の入金で、開設直後は入居者が揃いません。初期費用でいちばん幅が出るのは消防設備で、入居者の状態像によってスプリンクラー等の要否が変わり、数百万円単位で動きます。物件を契約する前に消防署の事前相談で必要な設備を確定してください。収支計画には、2026年6月1日以降の新規指定は基本報酬が972/1000になったこと(令和9年度改定までの応急措置)と、第8期障害福祉計画の基本指針で共同生活援助の総量規制を含む指定の在り方が論点とされていることを織り込んでください。組み立ては自己資金2〜3割+公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(限度7,200万円・据置5年以内)+制度融資が基本です。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 障害者グループホームの開業を考えていて、手元にいくら要るのか知りたい方
  • 物件を先に契約しそうになっている方
  • 夜間支援体制を組むかどうかで人件費を迷っている方

📗 関連の深掘り——他の3類型と同じ物差しで並べた開業資金の比較表はこちらの記事で扱っています。

グループホームは「家賃・食費は利用者負担」でも、運転資金が要ります

共同生活援助(グループホーム)の収入は2種類あります。ひとつは訓練等給付費(介護給付費)で、国民健康保険団体連合会を通じてサービス提供月の約2か月後に入金されます。もうひとつは利用者からの家賃・食費・光熱水費の実費負担で、こちらは月々入ります。

「家賃と食費は利用者からもらえるから、放デイより運転資金は少なくて済む」——半分正しく、半分違います。実費負担は費用と相殺されるだけで、人件費は給付費でしか賄えません。給付費の入金が2か月遅れ、しかも開設直後は入居者が揃わない以上、人件費の先行負担は避けられません。

以下は、定員5〜6名×1〜2棟、既存の戸建て・アパートを借り上げる前提での当事務所の試算です。物件の状態と消防設備の要否で大きく変わるため、幅で示しています。

初期費用——おおむね400〜1,200万円

初期費用の費目前提つきの目安注意点
物件の初期費用(戸建て・アパートの借上げ)家賃の6〜10か月分住宅用物件を福祉用途で借りる場合、オーナーの承諾と用途の確認が要る
改修・設備(手すり・段差解消・浴室・トイレ・消防設備)100〜600万円消防設備の要否で幅が大きい。スプリンクラー等の要否は物件と入居者像で変わるため、消防署の事前相談が必須
家具・家電・寝具・厨房備品80〜200万円個室の分だけ必要。中古・リースの活用余地あり
人件費の先行分(開設前1〜2か月)80〜200万円サビ管・世話人・生活支援員は指定日前に確保。夜間支援を組むなら夜勤者の採用が先
法人設立・指定申請・各種手続の費用30〜60万円(実費)+専門家報酬GHの指定申請を依頼する場合の費用を参照
初期費用の合計おおむね400〜1,200万円改修と消防設備で上下する

グループホームで最も幅が出るのが消防設備です。入居者の障害支援区分や避難の困難性によって求められる設備が変わり、スプリンクラーの設置が必要になると数百万円単位で動きます。物件を決める前に消防署の事前相談を済ませ、必要な設備を確定してから契約してください。

運転資金——月130〜240万円 × 6か月

運転資金の費目(月額)前提つきの目安
人件費(サビ管1名兼務+世話人・生活支援員・夜間支援)90〜160万円
家賃(1〜2棟)15〜35万円
食材費・光熱水費(利用者負担で回収する分を含む)15〜30万円
その他(通信・保険・消耗品・車両)5〜15万円
月額の合計おおむね130〜240万円

夜間支援体制を組むかどうかで人件費は大きく変わります。夜間支援等体制加算を取る設計にすると単価は上がりますが、夜勤者の確保と労務の設計が先に要ります(夜間支援体制の設計)。

結論:必要資金はおおむね1,200〜2,600万円

計算概算
①初期費用上の表の合計400〜1,200万円
②運転資金月130〜240万円 × 6か月780〜1,440万円
必要資金①+②おおむね1,200〜2,600万円

入居者が定員に達するまでの期間は、放デイより長くなりがちです。相談支援専門員・施設・病院との関係づくりに時間がかかり、体験入居を経て契約に至るためです。入居者ゼロで開設し、3〜4か月かけて埋めていく前提で、運転資金6か月分を見てください。

令和8年6月から、新規のグループホームは単価が下がっています

収支計画に織り込んでいただきたい変更が2つあります。ひとつは、2026年6月1日以降に新規指定を受ける共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)は基本報酬が972/1000になったこと(令和9年度改定までの応急措置。厚生労働省資料・2026年9月13日確認)。減額の対象外になる配慮措置(重度対応・医療的ケア・自治体の公募や補助による設置など)はこちらで整理しています。

もうひとつは、第8期障害福祉計画(令和9〜11年度)の基本指針で、共同生活援助について総量規制を含む指定の在り方が論点とされていること。開設予定地域の計画で「充足」と書かれていれば、指定申請の場での自治体の姿勢が変わります。

資金の組み立て

  • 自己資金——必要資金の2〜3割が目安。公庫の現行制度に要件はないが審査で見られる
  • 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」——融資限度額7,200万円、設備20年以内・運転10年以内(据置5年以内)。創業期は原則無担保・無保証人(公庫サイト・2026年9月13日確認)
  • 自治体の制度融資——公庫との協調融資も可能
  • 改修費への補助——自治体によってはグループホームの整備に補助制度がある。ただし多くは後払いで、運転資金には使えない
要確認:この記事の金額は、定員5〜6名×1〜2棟・既存物件の借上げ・夜間支援ありを前提にした当事務所の試算です。消防設備の要否、物件の状態、人員構成、地域の家賃相場で大きく変わります。消防設備は所轄の消防署、指定基準は指定権者にご確認ください。本記事は2026年9月13日時点の整理です。

物件・消防・融資・指定申請の順番を間違えないために

グループホームの開業でいちばん多い失敗は、物件を先に契約してから消防設備の要否がわかり、想定外の改修費で資金計画が崩れることです。順番は、物件の候補→消防の事前相談→改修見積→融資申込→物件契約→指定申請。この順番と、指定日からの逆算線表を、当事務所では60分の無料相談でその場にお出しします。ご依頼にならなくても構いません。指定申請サポート(220,000円〜/税込)と創業融資サポート(着手金33,000円+成功報酬3.5%)を1本の線表でお受けしています。オンラインで全国対応です。お問い合わせフォームからどうぞ。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県でグループホームを開設する方へ

共同生活援助は障害福祉サービス(障害者向け)なので、千葉県では障害者福祉サービス事業指定班(043-223-2308)が窓口です。市町村への事前説明(4〜5か月前)→事業相談シート(4か月前の月末)→補正(3か月前の25日)→申請書類(2か月前の月末)→毎月1日の指定という流れで、申請書類は提出時に対面で確認されるため来庁の予約が必要です(2026年9月13日確認)。千葉市・柏市・船橋市と、我孫子市(短期入所・共同生活援助のみ)は市が指定権者です。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

グループホームの開業相談で、物件の話が先に来るのは自然なことです。「いい家が見つかったんです」から始まります。私はその次に必ず「消防署には行きましたか」と伺います。ここで止まる方が多い。消防設備の要否は、物件の良し悪しとは別の軸で決まり、数百万円を動かします。いい家を見つけた気持ちを大事にしつつ、契約の前に消防に行く。この順番だけは、譲らないようにしています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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