— 30秒でわかる結論 —

Q. 放課後等デイサービスや児童発達支援を開業するには、資金はいくら必要ですか?

初期費用だけでなく、運転資金6か月分を足して見てください。報酬(障害児通所給付費)は提供月の約2か月後に入金され、開業直後は定員が埋まらず満額入りません。定員10名・賃貸テナント・送迎車2台を前提にした当事務所の試算では、初期費用(物件・内装・車両・備品・人件費の先行分・手続費用)がおおむね500〜1,200万円、運転資金が月160〜260万円で、その6か月分を足した必要資金はおおむね1,500〜2,800万円です。組み立ては、自己資金2〜3割(公庫の現行制度に要件はないが審査で見られる)、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(融資限度額7,200万円、設備20年以内・運転10年以内、据置5年以内。2026年9月12日公庫サイトで確認)、自治体の制度融資の併用が基本です。2026年6月1日以降の新規指定は基本報酬が既存より低く始まる(放デイ982/1000、児発988/1000)ため、配慮措置に該当しない計画はその分を運転資金の月額に織り込んでください。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 放デイ・児発の開業を考えていて、手元にいくら要るのか知りたい方
  • 「開業費用1,000万円」という情報だけで計画を立てている方
  • 融資の申込額をいくらにするか迷っている方

📗 関連の深掘り——生活介護・グループホーム・就労B型と同じ物差し(初期費用+運転資金6か月)で並べた4類型の比較表はこちらの記事で扱っています。

「費用」と「資金」は別のものです

「放デイの開業費用は1,000万円くらい」という情報を見て、1,000万円を用意して開業した方が、開業4か月目に給与が払えなくなる——これは珍しい話ではありません。理由は簡単で、開業費用(初期費用)と開業資金(手元に要るお金)は別のものだからです。

放課後等デイサービス・児童発達支援の報酬(障害児通所給付費)は、国民健康保険団体連合会を通じてサービス提供月の約2か月後に入金されます。4月に開業しても、4月分の報酬が入るのは6月末頃。しかも開業直後は定員が埋まらず、報酬は満額入りません。この期間の人件費・家賃・送迎費は、手元の資金で払い続けることになります。

だから必要な資金は、初期費用+運転資金6か月分で見ます。以下は定員10名・賃貸テナント・送迎車2台を前提にした当事務所の試算です。地域・物件・人員構成で大きく変わるため、幅で示しています。

初期費用——おおむね500〜1,200万円

初期費用の費目前提つきの目安注意点
物件の初期費用(敷金・礼金・保証金・仲介手数料)家賃の6〜10か月分事業用物件は保証金が高い。テナントの用途変更の可否を先に確認
内装工事・設備(間仕切り・トイレ・手洗い・避難経路・消防設備)100〜400万円既存の造作を活かせるかで大きく変わる。消防の事前相談は必須
送迎車両(2台程度)購入なら200〜400万円/リースなら初期費用は小さい購入とリースで初期費用も月々の固定費も変わる
備品・教材・什器・ICT(記録・請求システム)50〜150万円中古・リースの活用余地が大きい
人件費の先行分(開設前1〜2か月の採用・研修)100〜250万円児発管と職員は指定日前に確保する必要があり、給与は指定日前から発生
法人設立・指定申請・各種手続の費用30〜60万円(自分で行う場合の実費)+専門家報酬指定申請の費用相場を参照
初期費用の合計おおむね500〜1,200万円物件の条件と車両の持ち方でこの幅の中を動く

いちばん幅が出るのは物件と車両です。居抜きに近い物件で造作を活かせれば内装は下限に寄り、スケルトンからの工事なら上限を超えることもあります。車両はリースにすると初期費用が小さくなる代わりに月々の固定費が増えるので、次の運転資金とセットで考えてください。

運転資金——月160〜260万円 × 6か月

運転資金の費目(月額)前提つきの目安
人件費(管理者兼児発管1名+児童指導員・保育士等3〜4名)120〜180万円
家賃15〜35万円
送迎(燃料・保険・駐車場・リース料)10〜25万円
光熱費・通信・消耗品・保険10〜20万円
月額の合計おおむね160〜260万円

人件費が7割前後を占めます。人員基準(児発管1名、児童指導員または保育士を定員に応じて配置)を満たすために、利用児童がまだ少ない開業直後も人件費は満額かかります。ここが「軌道に乗るまでの資金」の正体です。

結論:必要資金はおおむね1,500〜2,800万円

計算概算
①初期費用上の表の合計500〜1,200万円
②運転資金月160〜260万円 × 6か月960〜1,560万円
必要資金①+②おおむね1,500〜2,800万円

この数字を見て「多い」と感じた方ほど、開業後に安全に運営できます。逆に「初期費用だけで開業できる」と考えると、給付費が入るまでの3〜4か月で行き詰まります。

その資金を、どう組み立てるか

  • 自己資金——必要資金の2〜3割が目安。日本政策金融公庫の現行制度に自己資金の要件はありませんが、審査では自己資金の額と貯まり方が見られます(自己資金の目安と見せ金
  • 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」——新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方。融資限度額7,200万円、設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)。原則として担保・保証人は相談、経営者保証免除特例制度の併用可(公庫サイト・2026年9月12日確認)
  • 自治体の制度融資——千葉県・松戸市などの創業支援資金。公庫との併用(協調融資)も可能
  • 補助金——障害福祉分野の設備・ICT導入に使える制度があるが、多くは後払いのため運転資金には使えない

介護・障害福祉に特化した資金設計の考え方は介護・障害福祉の創業融資【完全ガイド】にまとめています。

資金を減らす3つの現実的な手

  • 車両をリースにする——初期費用200〜400万円を月々の固定費に変える。稼働率が読めない開業初期には現実的
  • ICTは記録・請求一体型を最初から——後から入れ替えるコストのほうが高い。令和8年6月からは生産性向上の取組が処遇改善加算の上乗せ区分にもつながる
  • 指定日を「4月」に固定しない——年度初めは物件・採用の競争が激しい。千葉県は毎月1日が指定日なので、物件と人が揃う月に合わせるほうが初期費用を抑えられる

令和8年6月からの新規指定は、単価が既存より低く始まります

もうひとつ、収支計画に織り込んでいただきたい変更があります。2026年6月1日以降に新規指定を受ける放課後等デイサービス(982/1000)・児童発達支援(988/1000)は、既存事業所より低い基本報酬から始まります。医療的ケア・強度行動障害等への対応体制や自治体の公募・補助による設置は減額の対象外です。減額を免れる「配慮措置」と開業設計を先に読んでから、運転資金の月額を置いてください。

要確認:この記事の金額は、定員10名・賃貸テナント・送迎車2台を前提にした当事務所の試算です。地域の家賃相場、物件の状態、人員構成、車両の持ち方で大きく変わります。実際の資金計画は見積書と採用計画にもとづいて個別に作成してください。公庫の融資制度の内容は日本政策金融公庫の案内でご確認ください。本記事は2026年9月12日時点の整理です。

資金計画は「指定日」から逆算します

放デイ・児発の開業では、物件契約・融資申込・指定申請の順番を間違えると、資金があっても指定日に間に合いません。千葉県の障害児通所支援は指定申請書類の提出が指定希望月の2か月前の月末(厳守)、その前に事業相談シート(4か月前の月末)と市町村への事前説明(4〜5か月前)があります。融資の実行はこの線表の中に置く必要があります。

当事務所では、指定申請(220,000円〜/税込)と創業融資サポート(着手金33,000円+成功報酬3.5%)を1本の線表でお受けしています。60分の無料相談で、ご自身の前提(定員・物件・車両・人員)に置き換えた資金の概算と、指定日から逆算した線表をその場でお出しします。ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応です。お問い合わせフォームからどうぞ。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県で開業する方へ——資金と指定日の線表

千葉県の障害児通所支援は、市町村への事前説明(4〜5か月前)→事業相談シート(4か月前の月末)→第1回事前相談の来庁(2か月前の15日頃まで)→申請書類(2か月前の月末・厳守)→毎月1日の指定、という流れです(2026年9月12日に県ページで確認)。融資の実行は、物件契約と人員確保の間に置く必要があります。松戸・市川・流山は県指定、千葉市・船橋市・柏市は各市が指定権者で、締切が異なります。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

開業資金の相談で、私がまず伺うのは「いくらありますか」ではなく「開業4か月目の給与日に、口座にいくら残っていますか」です。この問いに数字で答えられる計画は、だいたい通ります。答えられない計画は、費用と資金を混同しています。運転資金6か月分は、私が財務コンサルタントとして譲らない一線です。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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