— 30秒でわかる結論 —
Q. 専門的支援体制加算と専門的支援実施加算の違いは何ですか?
令和6年度改定で2段構えに整理されました。専門的支援体制加算は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・保育士(一定の経験年数)等の専門職を、基準の人員(児発管・児童指導員/保育士)に加えて常勤換算で配置している体制を評価する加算です。専門的支援実施加算は、その専門職が対象児童ごとに専門的支援実施計画を作成し、集中的・個別的な支援を実施した場合に、月の上限回数の範囲で算定する加算です。両方を算定するには、配置(資格証・勤務形態一覧表で基準の人員と別枠であること)と実施(計画・いつ誰がどの児童に何を何分の記録)の両方が必要です。専門職を基準の人員としてカウントしたまま体制加算を算定する、実施計画がない、集団活動を専門的支援として記録する、回数の上限を超える、といった場合は否認されます。
この記事は制度の解説です。運営中の事業所の顧問・相談窓口は、料金と流れを専用のページでご案内しています。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- PT・OT・ST・心理職を配置している(したい)放デイ・児発の法人の方
- 専門的支援の加算が令和6年度改定でどう変わったか確認したい管理者の方
- 専門性を打ち出して差別化したい事業所の方
ご相談いただくと、こう進みます
- 最初の30分の無料相談で、専門職の契約の形と勤務の実績、基準の人員との兼務の状況を一緒に見ます
- ご依頼後は、配置の設計と勤務形態一覧表の整理、専門的支援実施計画と実施記録の様式づくり、体制届まで進めます
- その後は、専門職の採用や退職があったときや運営指導の前に、配置と記録を同じ点検表で見直します
📖 この記事は「加算・減算辞典」シリーズの1本です。加算1つにつき1記事で、要件の骨子/必要な体制と書類/算定できなくなる典型/体制届のタイミングを同じ形で整理しています。一覧は加算・報酬ナビへ。
📗 関連の深掘り——心理職の側から見た「加算の要員として雇用される」道と、独立の3本柱(雇用・公費ポスト・自費)は公認心理師・心理士が独立して障害福祉で収入の柱を作るにはで扱っています。
【2026年9月14日 追記】外部の専門職を「業務委託」「週1回の訪問」で入れても算定できません
誤解されやすい点を先に書きます。「近くの心理士さんに業務委託で週1回来てもらえば、専門的支援の加算が取れる」——取れません。
| 入れ方 | 算定 | 根拠 |
|---|---|---|
| 他法人・個人事業の心理士やOTと業務委託契約を結び、週1回来てもらう | 不可 | Q&A VOL.3 問9(令和6年5月2日):配置すべき従業者は「事業者と雇用契約を締結して事業所に配置されている者等」。外部から派遣された者による支援では算定できない |
| 自法人と雇用契約(非常勤・パート可)を結んだ専門職が、実施加算の要件を満たす支援をする | 可(実施加算) | 実施加算は常勤換算の配置要件なし。ただし30分以上の支援・実施計画・保護者の同意・記録が必要 |
| 雇用した専門職を常勤換算1.0以上配置する | 可(体制加算) | 体制加算は常勤換算1.0以上の配置が要件。週1回の勤務では該当しない(こども家庭庁 事務連絡 令和6年4月1日) |
| 複数の事業所で同じ専門職を分け合う | 事業所ごとに判定 | 実施加算の月の上限回数は事業所間で通算せず、事業所ごとに数える(Q&A VOL.5 問4) |
つまり、外部の専門職に来てもらう形(業務委託・他法人からの派遣・訪問)は、体制加算にも実施加算にも当たりません。専門職側から見れば、「独立して複数の事業所と業務委託で回る」設計では加算の要員になれないということです。非常勤でも雇用契約を結び、その事業所の従業者として配置されることが前提になります。
心理担当職員の「専門職」要件
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のような国家資格と並んで、心理担当職員は「大学・大学院で心理学を専修して卒業し、心理療法の技術を有する者、または同等以上」とされています(告示第270号)。公認心理師で心理学専攻卒の方は該当します。また保育士については、児童福祉事業に5年以上従事した場合に専門職として扱われ、その従事期間には幼稚園での勤務も含まれます(Q&A VOL.1 問15、令和6年3月29日)。配置している専門職員が病気で欠勤したり有休を取ったりしたときの扱い(欠勤等が1月以上続くと配置要件を満たさない)は、専門職員が休むときの配置要件と千葉県の体制届にまとめています。
誰が「専門職」に当たるかは、採用前に指定権者へ確認してください。資格名だけで判断すると、配置したあとに算定できないことが分かります。出典はいずれもこども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A」(2026年9月14日確認)です。
専門的支援体制加算・専門的支援実施加算とは——「専門職の配置」と「専門的な支援の実施」を分けて評価
令和6年度の報酬改定で、放課後等デイサービス・児童発達支援の「専門的支援」に関する加算は、専門職を配置する体制を評価する加算と、個別に専門的な支援を計画・実施したことを評価する加算の2段構えに整理されました。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・保育士(一定の経験)などの専門職を活かす事業所にとって、差別化の中心になる加算です。
— この段階でご相談いただく理由 —
雇用契約・常勤換算・30分以上・計画と記録——どれか1つ欠けると、算定した分がまとめて返還になります。専門職の契約形態と勤務実績を拝見して、算定できているか・遡って戻る額はいくらかを先に見ます。
2つの加算の骨子
| 加算 | 要件の骨子 |
|---|---|
| 専門的支援体制加算 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・保育士(一定の経験年数)等の専門職を、基準の人員に加えて常勤換算で配置している体制を評価。配置の要件(常勤換算1以上など)は告示で確認 |
| 専門的支援実施加算 | 専門職が、個別に専門的支援の計画(専門的支援実施計画)を作成し、集中的・個別的な支援を実施した場合に算定。実施回数の上限(回数は算定告示で確認)と、計画・記録の要件がある |
体制加算は「専門職がいる」ことへの評価、実施加算は「その専門職が個別支援を実施した」ことへの評価です。両方を算定するには、配置と実施の両方の記録が必要になります。
必要な体制と書類
- 専門職の資格証・勤務形態一覧表——基準の人員(児発管・児童指導員/保育士)とは別枠で配置していることが分かる形に。兼務していると「加配」と認められない場合があります。
- 専門的支援実施計画——対象児童ごとに、目標・内容・回数・評価を記載。個別支援計画との関係を明確に。
- 実施記録——いつ・誰が・どの児童に・何を・何分。計画に基づかない集団活動の中での関わりは「専門的支援の実施」と認められないことがあります。一方で、個別での実施を基本としつつ、小集団(5名程度まで)による実施や、別の職員を配置した上での小集団の組み合わせ(2の小集団まで)も可能で、提供時間は少なくとも30分以上とされています(こども家庭庁 令和6年度報酬改定(障害児支援)Q&A VOL.1 問17)。専門職が1人の事業所での組み方と千葉県の別紙70は千葉県で専門的支援実施加算は1対1でないと算定できないかにまとめています。
- 体制届——加算の区分を届出。
算定できなくなる典型
- 専門職が基準の人員としてカウントされている——保育士を基準の配置に入れたまま体制加算を算定。
- 実施計画がない/個別支援計画と整合しない——実施加算を算定しているのに計画が無い。
- 集団活動を「専門的支援」として記録——個別的・集中的な支援でないと否認される。
- 回数の上限超え——月の上限を超えて請求し返戻。
体制届のタイミング
体制加算は算定開始月の前月15日までに体制届(通例)。専門職の退職で配置要件を外れたら速やかに届出し、該当月から算定を止めます。実施加算は計画と記録が要件なので、計画の作成日と実施日の管理を(支援プログラムの公表とあわせて)。
当事務所の関わり方
専門職の配置設計、実施計画・記録の様式、体制届をお受けしています。専門性を打ち出す放デイ・児発の開業設計は児童発達支援の開業の流れもご覧ください。
たとえば、こんな場面で迷っていませんか
開業して2年目の児童発達支援・放課後等デイサービスの代表者の方。療育の色を強めたいと考え、知り合いの心理士に業務委託で定期的に来てもらう話を進めています。
来てもらえば専門的支援の加算が取れるはずだと考え、体制届の準備にも手を付け始めました。
ところが、加算の要件を読み返すと「雇用契約」「常勤換算」「実施計画」といった言葉が並んでいて、委託の形で足りるのか、雇用にするなら非常勤でもよいのか、すでにいる保育士を数えてよいのかが分からなくなりました。
契約を結んでから算定できないと分かると、払った委託料が加算で回収できないうえ、算定した分を返すことになりかねません。
この場面なら、まず外部の専門職を業務委託で入れる形が算定の対象になるかを確かめ、次に体制加算と実施加算それぞれの配置・計画・記録を見ます。本文では、その順に説明しました。
当事務所にご相談いただいた場合の進め方
- 1. ご相談の前に手元に用意していただくもの
専門職の資格証の写し、雇用契約書(または業務委託契約書)、勤務形態一覧表、出勤の記録、専門的支援実施計画と実施記録(あれば)、個別支援計画、直近の体制届の控えをお手元にご用意ください。 - 2. 初回30分の無料相談で一緒に確認すること
専門職が雇用契約でその事業所に配置されているか、基準の人員と別枠になっているか、実施計画と記録がそろっているかを一緒に確かめます。体制加算と実施加算のどちらが算定の対象になりうるか、専門職に当たるかの判断が分かれる方は指定権者への確認が必要なものとして、その場で整理します。 - 3. ご依頼後の進め方当事務所がやること:専門職の配置の設計と勤務形態一覧表の点検、専門的支援実施計画・実施記録の様式づくり、体制届の作成と提出をお手伝いします。すでに算定した分に心配がある場合は、書類点検として配置と記録を一緒に洗い出します。お客様にお願いすること:専門職の採用と雇用契約の締結、対象となる子どもの保護者への説明と同意の取得、日々の実施記録はお客様の事業所で行っていただきます。専門職の退職や勤務時間の変更があったときは早めにお知らせください。
- 4. その後
専門職の入れ替わりや勤務時間の変更のとき、報酬改定やQ&Aの追加があったとき、運営指導の前に、同じ点検表で配置と記録を見直します。毎月の人員基準のチェックや加算届まで任せたい場合は、福祉顧問 サポートプラン・トータルプランでもお受けしています。
料金は料金表と料金シミュレーションでご確認いただけます。
参考にした一次資料
- 障害福祉サービス等報酬告示および留意事項通知・Q&A(令和6年度報酬改定)
- 当事務所「介護・障害福祉の運営指導 完全実務ガイド」(2026年8月版)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の事業所の方へ
運営指導では、専門職が基準の人員と別枠で配置されているか(勤務形態一覧表)、実施計画と実施記録の整合が確認されます。専門職の退職で配置要件を外れた場合の体制届の変更も忘れずに。
※2026年9月19日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
専門的支援の加算は、放デイ・児発が「預かり」から「療育」へ軸足を移すときの、制度側の後押しだと思っています。専門職を雇うのはコストですが、体制と実施の両方を評価する仕組みができた今、その投資は回収できる設計になっています。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/2級FP技能士(AFP)/国家資格キャリアコンサルタント。
障害福祉・障害児支援とNPO法人を専門にしています。放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援A型・B型・グループホーム(共同生活援助)などの指定申請、処遇改善加算・変更届・指定更新・運営指導(実地指導)への対応を支援します。NPO法人は、設立認証から事業報告書・役員変更などの運営まで支援します。
企業人事15年の経験を土台に、児発管・サビ管の採用・定着、融資・補助金や資金繰りまで、「書類・人・お金」を一体で支えます。