— 30秒でわかる結論 —
Q. 専門的支援体制加算と専門的支援実施加算の違いは何ですか?
令和6年度改定で2段構えに整理されました。専門的支援体制加算は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・保育士(一定の経験年数)等の専門職を、基準の人員(児発管・児童指導員/保育士)に加えて常勤換算で配置している体制を評価する加算です。専門的支援実施加算は、その専門職が対象児童ごとに専門的支援実施計画を作成し、集中的・個別的な支援を実施した場合に、月の上限回数の範囲で算定する加算です。両方を算定するには、配置(資格証・勤務形態一覧表で基準の人員と別枠であること)と実施(計画・いつ誰がどの児童に何を何分の記録)の両方が必要です。専門職を基準の人員としてカウントしたまま体制加算を算定する、実施計画がない、集団活動を専門的支援として記録する、回数の上限を超える、といった場合は否認されます。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- PT・OT・ST・心理職を配置している(したい)放デイ・児発の法人の方
- 専門的支援の加算が令和6年度改定でどう変わったか確認したい管理者の方
- 専門性を打ち出して差別化したい事業所の方
📖 この記事は「加算・減算辞典」シリーズの1本です。加算1つにつき1記事で、要件の骨子/必要な体制と書類/算定できなくなる典型/体制届のタイミングを同じ形で整理しています。一覧は加算・報酬ナビへ。
📗 関連の深掘り——心理職の側から見た「加算の要員として雇用される」道と、独立の3本柱(雇用・公費ポスト・自費)はこちらの記事で扱っています。
【2026年9月14日 追記】外部の専門職を「業務委託」「週1回の訪問」で入れても算定できません
ご相談で最も多い誤解を先に書きます。「近くの心理士さんに業務委託で週1回来てもらえば、専門的支援の加算が取れる」——取れません。
| よくある入れ方 | 算定 | 根拠 |
|---|---|---|
| 他法人・個人事業の心理士やOTと業務委託契約を結び、週1回来てもらう | 不可 | Q&A VOL.3 問9(令和6年5月2日):配置すべき従業者は「事業者と雇用契約を締結して事業所に配置されている者等」。外部から派遣された者による支援では算定できない |
| 自法人と雇用契約(非常勤・パート可)を結んだ専門職が、実施加算の要件を満たす支援をする | 可(実施加算) | 実施加算は常勤換算の配置要件なし。ただし30分以上の支援・実施計画・保護者の同意・記録が必要 |
| 雇用した専門職を常勤換算1.0以上配置する | 可(体制加算) | 体制加算は常勤換算1.0以上の配置が要件。週1回の勤務では該当しない(こども家庭庁 事務連絡 令和6年4月1日) |
| 複数の事業所で同じ専門職を分け合う | 事業所ごとに判定 | 実施加算の月の上限回数は事業所間で通算せず、事業所ごとに数える(Q&A VOL.5 問4) |
つまり、外部の専門職に来てもらう形(業務委託・他法人からの派遣・訪問)は、体制加算にも実施加算にも当たりません。専門職側から見れば、「独立して複数の事業所と業務委託で回る」設計では加算の要員になれないということです。非常勤でも雇用契約を結び、その事業所の従業者として配置されることが前提になります。
心理担当職員の「専門職」要件
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のような国家資格と並んで、心理担当職員は「大学・大学院で心理学を専修して卒業し、心理療法の技術を有する者、または同等以上」とされています(告示第270号)。公認心理師で心理学専攻卒の方は該当します。また保育士については、児童福祉事業に5年以上従事した場合に専門職として扱われ、その従事期間には幼稚園での勤務も含まれます(Q&A VOL.1 問15、令和6年3月29日)。
誰が「専門職」に当たるかは、採用前に指定権者へ確認してください。資格名だけで判断すると、配置したあとに算定できないことが分かります。出典はいずれもこども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A」(2026年9月14日確認)です。
専門的支援体制加算・専門的支援実施加算とは——「専門職の配置」と「専門的な支援の実施」を分けて評価
令和6年度の報酬改定で、放課後等デイサービス・児童発達支援の「専門的支援」に関する加算は、専門職を配置する体制を評価する加算と、個別に専門的な支援を計画・実施したことを評価する加算の2段構えに整理されました。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・保育士(一定の経験)などの専門職を活かす事業所にとって、差別化の中心になる加算です。
2つの加算の骨子
| 加算 | 要件の骨子 |
|---|---|
| 専門的支援体制加算 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・保育士(一定の経験年数)等の専門職を、基準の人員に加えて常勤換算で配置している体制を評価。配置の要件(常勤換算1以上など)は告示で確認 |
| 専門的支援実施加算 | 専門職が、個別に専門的支援の計画(専門的支援実施計画)を作成し、集中的・個別的な支援を実施した場合に算定。実施回数の上限(月◯回)と、計画・記録の要件がある |
体制加算は「専門職がいる」ことへの評価、実施加算は「その専門職が個別支援を実施した」ことへの評価です。両方を算定するには、配置と実施の両方の記録が必要になります。
必要な体制と書類
- 専門職の資格証・勤務形態一覧表——基準の人員(児発管・児童指導員/保育士)とは別枠で配置していることが分かる形に。兼務していると「加配」と認められない場合があります。
- 専門的支援実施計画——対象児童ごとに、目標・内容・回数・評価を記載。個別支援計画との関係を明確に。
- 実施記録——いつ・誰が・どの児童に・何を・何分。集団活動の中での関わりは「専門的支援の実施」と認められないことがあります。
- 体制届——加算の区分を届出。
算定できなくなる典型
- 専門職が基準の人員としてカウントされている——保育士を基準の配置に入れたまま体制加算を算定。
- 実施計画がない/個別支援計画と整合しない——実施加算を算定しているのに計画が無い。
- 集団活動を「専門的支援」として記録——個別的・集中的な支援でないと否認される。
- 回数の上限超え——月の上限を超えて請求し返戻。
体制届のタイミング
体制加算は算定開始月の前月15日までに体制届(通例)。専門職の退職で配置要件を外れたら速やかに届出し、該当月から算定を止めます。実施加算は計画と記録が要件なので、計画の作成日と実施日の管理を(支援プログラムの公表とあわせて)。
当事務所の関わり方
専門職の配置設計、実施計画・記録の様式、体制届をお受けしています。専門性を打ち出す放デイ・児発の開業設計は児童発達支援の開業の流れもご覧ください。
参考にした一次資料
- 障害福祉サービス等報酬告示および留意事項通知・Q&A(令和6年度報酬改定)
- 当事務所「介護・障害福祉の運営指導 完全実務ガイド」(2026年8月版)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の事業所の方へ
運営指導では、専門職が基準の人員と別枠で配置されているか(勤務形態一覧表)、実施計画と実施記録の整合が確認されます。専門職の退職で配置要件を外れた場合の体制届の変更も忘れずに。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
専門的支援の加算は、放デイ・児発が「預かり」から「療育」へ軸足を移すときの、制度側の後押しだと思っています。専門職を雇うのはコストですが、体制と実施の両方を評価する仕組みができた今、その投資は回収できる設計になっています。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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