— 30秒でわかる結論 —
Q. 支援プログラムの公表って、うちもやらないといけないのですか?
児童発達支援・放課後等デイサービスを運営しているなら、対象です。2024年度の報酬改定で、5領域の視点を含む支援プログラムの作成・公表が運営基準上の義務になりました。そして未公表の場合は所定単位数の15%の減算(支援プログラム未公表減算)が2025年4月から適用されています(2026年7月時点)。「作ってはいるが公表していない」も減算対象になり得ます。ホームページ等での公表と、自治体への届出の運用まで含めて、早急に整えることをおすすめします。
「減算の通知が来て初めて知りました」——支援プログラムの公表義務は、そんな事態が実際に起こり得るテーマです。2024年度改定で入った新しい義務のため、開業時に教わっていない事業者さんも少なくありません。制度の趣旨から実務の手順まで、まとめて整理します。
なぜ義務になったのか——「預かり」から「発達支援」へ
背景にあるのは、児童発達支援・放課後等デイサービスの支援の質への問題意識です。テレビを見せるだけ、ゲームをさせるだけ——そんな「単なる預かり」との批判に応える形で、2024年度改定ではすべての事業所が、5領域すべての視点を含めた総合的な支援を行うことが明確化されました。5領域とは、①健康・生活、②運動・感覚、③認知・行動、④言語・コミュニケーション、⑤人間関係・社会性。そして、自分の事業所の支援がこの5領域とどうつながっているのかを「支援プログラム」として作成し、公表することが運営基準に位置づけられました。支援の中身を社会に開く——これは制度からの強いメッセージだと受け止めています。
未公表のペナルティ——15%減算という重さ
公表していない場合、支援プログラム未公表減算として所定単位数の15%が減算されます(2025年4月から適用。2026年7月時点の内容で、率・要件は今後の改定で変わり得ます)。15%は経営に直撃する水準です。仮に月の報酬が300万円の事業所なら、単純計算で月45万円規模——人ひとり分の人件費が消える計算になりかねません。自己評価結果等の公表義務と並んで、「公表系の義務」は放デイ・児発の運営で最優先の確認事項になったと言えるのではないでしょうか。
支援プログラムには何を書くか
支援プログラムは、事業所全体としての支援方針・支援内容を、5領域とのつながりで示す文書です。イメージとしては、①事業所の支援方針、②営業時間・標準的な1日の流れ、③5領域それぞれについて、どんな支援を・どんなねらいで行うか、④家族支援・移行支援・地域連携の取り組み——といった構成で、こども家庭庁から様式例も示されています。大切なのは、ゼロから理想を書き上げることではなく、実際にやっている支援を5領域の言葉で棚卸しすること。「集団遊び」は人間関係・社会性、「おやつ作り」は健康・生活と認知・行動——普段の活動は、たいてい既に複数領域にまたがっています。それを言語化して見せるのがこの文書の役割です。
個別支援計画との関係——「土台」と「個別化」
支援プログラム(事業所全体の方針)を土台に、一人ひとりの個別支援計画で個別化する——この二層構造が改定後の設計思想です。個別支援計画の側も、5領域とのつながりを明確にした作成が求められています。つまり支援プログラムがしっかりしていると、個別支援計画の作成もぶれなくなる。逆に土台がないまま個別計画だけ書いていると、アセスメントと支援内容の整合が問われる実地指導・運営指導の場面で説明に苦労します。両者をセットで整備するのが効率的です。
公表と届出の実務——「作った」で止めない
公表方法は、自事業所のホームページへの掲載が基本形です(ホームページがない場合の代替方法や、指定権者への届出の要否・様式は自治体ごとの運用があるため、指定権者の案内をご確認ください)。ここで意外と多いのが、「ワードで作ってフォルダに保存したまま」のケース——公表して初めて義務を満たす制度です。作成→公表→届出(必要な場合)→年度ごとの見直し、までをワンセットの年間業務として運営カレンダーに載せてしまいましょう。当事務所では放デイ・児発の開業支援から、公表物・運営書類の整備まで一貫してお手伝いしています。
参考にした一次資料
- 厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」「児童発達支援ガイドライン」
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」
- 各指定権者が公表する変更届・体制届の様式および提出期限の案内
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・通知および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|支援プログラム、届出はどこに確認する?
千葉県内の放デイ・児発の指定・運営指導の窓口は、千葉市・船橋市・柏市の事業所なら各市、松戸市・流山市・市川市などそれ以外の市町村なら千葉県です。支援プログラムの届出方法や公表の確認運用は指定権者によって案内が異なることがあるため、公表とあわせて自分の指定権者の最新の通知を確認しておくと安心です。当所では公表物の整備と届出確認までセットで対応しています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
公表義務を「面倒な宿題」と捉えるか、「うちの支援を言語化する機会」と捉えるか。私は後者をおすすめしています。5領域で棚卸しをすると、現場が無意識にやっていた良い支援に名前がつく。それは保護者への説明にも、職員の誇りにも、採用にも効く資産になります。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。
前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。
保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。