— 30秒でわかる結論 —
Q. 児発管は自社で育てられますか?それとも採用するしかないですか?
両方あり得ますが、時間軸がまったく違います。自前育成は「実務経験+基礎研修+OJT+実践研修」で年単位——OJT短縮特例(6か月)を使えても、実務経験要件を満たした人材が前提で、研修の受講枠も都道府県ごとに限られます。これから開業する事業所には現実的に間に合わないことが多く、開業時は有資格者の採用、並行して2人目を社内育成という二段構えが定石です。児発管が1名しかいない体制は退職リスクがそのまま事業リスクになるため、「育成の仕組みがある事業所」であること自体が採用市場での強みにもなります。
放デイ・児童発達支援の開業相談で、私が最初に必ず聞く質問があります。「児発管の当てはありますか?」——この答えで、開業までの道のりの長さがほぼ決まるからです。今日は、児発管という資格の仕組みと、事業者としての確保戦略を整理します。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 児発管の候補者を探している事業所の方
- 要件を満たすか判断できず困っている方
- 児発管の育成を社内で考えている方
📗 関連の深掘り——千葉県の事前相談で行われる児発管の面談では何が見られているか(資格ではなく、個別支援計画とアセスメントを自分の言葉で説明できるか)はこちらの記事で扱っています。
児発管になるまでの道筋——段階制の全体像
児発管の要件は「5年の実務経験」と一言で語られがちですが、実際は段階制です。①実務経験(相談支援業務・直接支援業務で3〜8年。介護福祉士・保育士などの資格や従事した業務の内容によって必要年数が変わります)→②基礎研修の受講→③OJT(原則2年以上)→④実践研修の修了——ここまで来て、初めて児発管として配置できます。さらに配置後も5年ごとの更新研修が必要です。実務経験の細かい算定(どの職場のどの業務が何年分カウントされるか)は複雑なので、候補者がいる場合は経歴書をもとに指定権者へ確認するのが確実です。
ここは必ず確認を——実務経験の「分野」に注意
児発管の実務経験は、障害児支援の分野での経験かどうかが問われる部分があります。介護分野での長い経験があっても、児童分野の要件を満たさないことがあります。経歴書を見る段階で分野を確認してください。
2023年改正——OJTが「6か月」に短縮できる場合
朗報もあります。2023年(令和5年)の告示改正で、次の3つの要件をすべて満たす場合、OJT期間を原則2年から6か月以上に短縮できるようになりました(2026年7月時点)。①基礎研修の受講開始時点で、既に児発管配置に必要な実務経験を満たしていること、②個別支援計画の作成に関する一連の業務に従事すること、③事前に指定権者へ届出を行うこと。とくに③の届出を忘れると短縮が認められないため、該当しそうな職員がいる事業所は、基礎研修の申込み段階から計画的に動いてください。
研修は「申し込めば受けられる」ものではない
もうひとつの現実が、研修の受講枠です。基礎研修・実践研修は都道府県(またはその指定機関)ごとの実施で、申込多数の場合は選考になります。「今年度の研修に乗れなかったので育成計画が1年ずれる」——これは珍しい話ではありません。育成を考えるなら、研修スケジュールの把握と申込み準備を年間計画に組み込むことが必要です。
事業者の確保戦略——採用が先、育成は並行
ここからは経営の話です。これから開業する事業所にとって、自前育成は時間軸が合いません。現実的な定石は「開業時は有資格者を採用し、並行して2人目を社内で育てる」二段構えです。そして児発管の採用は、給与額だけの勝負ではありません。有資格者が事業所を選ぶとき見ているのは、支援方針への共感、個別支援計画に集中できる体制(送迎や事務に忙殺されないか)、そして学び続けられる環境——求人票でここを具体的に語れるかが分かれ目です(求人票の作り方は人員基準と人材確保で詳しく)。
退職リスクにも備える——みなし配置という緊急避難
児発管が急に退職した場合、やむを得ない事由であれば、一定の要件を満たす職員をみなし配置として認める取扱いがあります(期間・要件は指定権者へ要確認)。ただしこれはあくまで緊急避難。1名体制の限界を前提に、変更届の備えと2人目の育成を平時から進めておくことが、本当の備えだと思います。当事務所は指定申請だけでなく、キャリアコンサルタントとして児発管の採用・定着そのものをお手伝いしています。放デイ開業の完全ガイドとあわせてご覧ください。
参考にした一次資料
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)
- 厚生労働省「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者研修制度の見直しについて」
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」
- 各都道府県・指定権者が公表する指定申請の手引きおよび様式
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・通知および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県での児発管要件の確認
千葉県で開業する場合、児発管の研修(基礎・実践)は千葉県の実施スケジュールと受講要件の確認が起点になります。実務経験の算定に迷うケース(複数職場・複数業務の合算など)は、申請前に指定権者へ経歴を示して確認するのが安全です。当事務所では経歴の整理と確認のお手伝いもしています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
児発管の採用相談を受けるたびに思うのは、これは「求人」ではなく「口説き」だということです。有資格者は選ぶ側。自社の支援方針を語れない求人票は、読まれもしません。人事15年の経験がいちばん活きる場面かもしれません。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。
前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。
保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。