— 30秒でわかる結論 —

Q. 将来、相談支援事業所を作りたいので、先に相談支援専門員の研修だけ受けておけますか?

制度上、成立しにくい構成です。理由は3つ。①初任者研修の申込みは所属法人の推薦が原則で、定員超過時は県内の相談支援事業所等の所属者が優先される県が多い ②初任者研修の修了後5年以内に現任研修を修了しないと相談支援専門員の要件を失う ③その現任研修を受けるには過去5年間に2年以上の相談支援の実務経験が必要。つまり「研修だけ先に取る」と、実務に就かないまま5年の時計が動き、最も価値のある修了が最も早く期限切れになります。実際の順番は、相談支援事業所に雇用される→所属法人の推薦で初任者研修→2年以上の実務→5年以内に現任研修→法人設立と指定申請、です。実務経験の該当判定(どの職歴が相談支援業務に当たるか。厚生労働省告示第227号)は都道府県が行うので、雇用の前に職歴を照会しておくと見通しが立ちます。相談支援の指定が「本当にやりたいことの前段階」なら、指定を取らずに届く道(児発・放デイの雇用、市町村の巡回相談)も先に確認してください。研修の要件と日程は都道府県の募集要項で毎年度確認が必要です(2026年9月14日時点)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 将来、相談支援事業所を開設したいと考えている方
  • 今の仕事を続けながら研修だけ先に受けておこうとしている方
  • 自分の職歴が相談支援の実務経験に当たるか分からない方

「まず相談支援専門員の研修だけ受けておく」が、うまくいかない理由

相談支援事業所を将来つくりたい方から、「今の仕事を続けながら、先に相談支援専門員の研修だけ受けておきたい」というご相談をいただきます。堅実な考えに見えます。ただ、制度の作りを見ると、この構成は成立しにくいのです。

理由は3つあります。研修の申込みが所属法人の推薦を原則とする県が多いこと、初任者研修の修了後5年以内に現任研修を受けないと要件を失うこと、そしてその現任研修を受けるには過去5年に2年以上の実務が要ること。「研修だけ先に取る」と、実務に就かないまま5年の時計が動き、要件を失う——これが構造です。

要件を並べると、順番が見えます

要件内容落とし穴
初任者研修都道府県(または指定機関)が実施。申込みは所属法人の推薦が原則で、定員超過時は県内の相談支援事業所等の所属者が優先される県が多い個人で「先に研修だけ」は申し込めない、または選考で外れる
現任研修初任者研修修了後、5年以内に現任研修を修了しないと相談支援専門員の要件を失う前段階で取っておくと、5年の時計が動き始める
現任研修の受講要件過去5年間に2年以上の相談支援の実務経験が必要(研修実施要綱)実務に就いていないと現任研修を受けられず、要件を失う
実務経験相談支援業務・直接支援業務・国家資格等の組み合わせで3〜10年(厚生労働省告示第227号)どの職歴が「相談支援業務」に当たるかは都道府県の判定
現場実習初任者研修に、相談支援事業所等での実習が組み込まれている所属先がないと実習先の確保が難しい

とくに2行目と3行目の組み合わせが効きます。初任者研修を修了した瞬間から5年の期限が始まり、その間に相談支援の実務を2年以上積まなければ、現任研修を受けられず、要件を失います。前段階で研修だけ取ると、最も価値のある「修了」が、最も早く期限切れになるのです。

だから、順番はこうなります

順番内容
相談支援事業所(一般相談・特定相談・基幹相談支援センター)に雇用される。相談支援業務の実務経験が積み上がり、法人推薦も得られる
所属法人の推薦で初任者研修を受講。現場実習は所属先で
相談支援専門員として2年以上の実務を積む
5年以内に現任研修を修了。ここで初めて「独立して指定を取る」道が現実になる
法人を設立し、市町村に特定相談支援(障害児は障害児相談支援)の指定申請

遠回りに見えますが、これが制度の想定している順番です。①の段階で「将来は独立して事業所を持ちたい」と所属先に伝えておくと、②の法人推薦が自然に得られます。実務経験の判定(どの職歴が相談支援業務に当たるか)は都道府県が行うため、①の前に自分の職歴を県に照会しておくと、必要年数の見通しが立ちます。

「指定を取る」以外の道も、先に確認する

ご相談を伺うと、相談支援の指定は本当にやりたいことの前段階として考えている方が多いです。心理支援をしたい、発達障害のある方の相談に乗りたい、経済的に厳しい家庭にも届けたい。それが目的なら、指定を取る前に成立する道があります。

  • 児発・放デイに雇用されて専門的支援の要員になる(心理職・保育士等)
  • 市町村の発達支援センター等の巡回相談・発達相談(会計年度任用職員)
  • 相談支援事業所に雇用され、相談支援専門員として実務を積む(上の①)

心理職の方向けの整理は心理職が障害福祉で収入の柱を作る3本立てにまとめています。指定申請そのものの要件は特定相談支援・障害児相談支援の指定申請をご覧ください。

要確認:相談支援従事者研修の申込要件(法人推薦の要否・選考基準)、日程、受講料は都道府県または指定機関の募集要項で毎年度確認してください。現任研修の受講要件と5年の期限は研修実施要綱によります。実務経験の該当判定は都道府県が行います。本記事は2026年9月14日時点の整理です。

「自分の職歴で、いつ研修を受けられるか」を一緒に数えます

相談支援専門員への道は、資格の組み合わせと職歴の種別で必要年数が変わり、しかも判定は都道府県です。「相談支援業務」に当たるかどうかで迷う職歴(困窮者支援、就労相談、児童相談所など)は珍しくありません。当事務所では60分の無料相談で、職歴を告示の区分に当てはめ、いつ研修を受けられそうか、どの順番で動くかを整理します。指定申請が現実になった段階では指定申請サポートでお受けします。ご依頼にならなくて構いません。オンラインで全国対応です。お問い合わせフォームからどうぞ。

参考にした一次資料

  • 厚生労働省告示第227号「指定計画相談支援の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの」(相談支援専門員の実務経験の区分)
  • 厚生労働省「相談支援従事者研修事業の実施について」(初任者研修・現任研修の受講要件、現任研修の5年ごとの受講)
  • 各都道府県の令和8年度相談支援従事者初任者研修 募集要項(法人推薦・選考基準・日程・受講料は都道府県ごとに異なる。2026年9月14日確認)
  • 当事務所の相談実務(複数のご相談を合成。個人が特定される情報は含めていません)

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県で相談支援専門員を目指す方へ

千葉県の相談支援従事者研修は、年度ごとに募集要項が出ます。申込要件(法人推薦の要否)・選考基準・日程・受講料は毎年度確認してください。特定相談支援・障害児相談支援の指定権者は市町村(松戸市・市川市・流山市など各市)で、指定申請の前に相談支援専門員の確保が必要です。職歴が実務経験に当たるかの照会は千葉県の担当課に行います。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「先に研修だけ」というご相談に、私はいつも「その修了証、5年後に効いていますか」と伺います。堅実に見える準備が、制度の時計の中では一番早く期限切れになる。これは制度の意地悪ではなく、相談支援専門員が実務の中で育つ職種だという設計思想の表れです。順番を制度に合わせると、遠回りに見えて、いちばん確実に届きます。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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