— 30秒でわかる結論 —

Q. 児童発達支援の開業で、よくある失敗は何ですか?

相談で繰り返し見るのは7つです。①放デイの指定だけで午前に未就学児を受け入れる(別の指定が必要)。②児童発達支援管理責任者の要件(実務経験と研修)を確認せずに採用し、人員基準欠如になる。③物件を契約してから指導訓練室の面積が足りないと分かる(面積基準は指定権者の条例・手引き、測り方も自治体で異なる)。④定員10人で始めて午前の枠が埋まらない(週1〜2回利用が中心で稼働率の立ち上がりが遅い。収支は稼働率50%程度で組む)。⑤送迎を放デイと同じで設計し、車両が動かない(保護者送迎が多い)。⑥保護者支援の時間を運営に組み込まず、記録が残らない。⑦支援プログラムの公表義務で、5領域とのつながりを示せていない。防ぐ順番は、類型の決定→児発管の要件確認→物件の図面相談→定員と稼働率の現実的な収支→送迎の要否→保護者支援の時間設計→支援プログラムの整備です。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 児童発達支援の開業を計画中で、先に落とし穴を知っておきたい方
  • 放デイを運営していて、午前の時間帯で未就学児の受け入れを考えている方
  • 開業1年目で、稼働率や保護者対応に悩んでいる管理者の方

児童発達支援でよくある失敗は、放デイと少し違う

放課後等デイサービスの開業と設備基準はほぼ同じなのに、児童発達支援は利用者が未就学児であることから、つまずくポイントが変わります。相談で繰り返し見てきた7つを、起きる時期の順に並べます。

①「放デイの午前を空けておけばいい」と考えて、指定を取っていない

放デイの指定だけでは未就学児を受け入れられません。児童発達支援は別の指定が必要で、多機能型として同時に申請するか、後から追加します。「午前が空いているから」で受け入れると無指定のサービス提供になります。

②児発管の要件を確認せずに採用した

児童発達支援管理責任者は、実務経験(相談支援・直接支援などの年数)と研修(基礎研修→実践研修)の両方が必要で、要件を満たしていない人を児発管として配置すると人員基準欠如になります。採用前に、経歴と研修修了証で要件を確認してください(児発管の要件と確保)。

③物件を契約してから「指導訓練室の面積が足りない」

指導訓練室の面積基準は指定権者の条例・手引きで定められており、1人あたり◯㎡という基準を置く自治体があります。内法(有効面積)か壁芯かの測り方でも変わります。契約前に図面を持って指定権者に確認してください(物件の3大落とし穴)。

④定員10人で始めて、午前の枠が埋まらない

未就学児は保育所・幼稚園との併行通園が多く、「週1〜2回だけ」の利用が中心です。定員10人でも、1日の実利用が3〜4人という立ち上がりは珍しくありません。収支計画は稼働率50%程度で組み、運転資金を厚くしてください。

⑤送迎を「放デイと同じ」で設計した

放デイは学校→事業所→自宅の送迎が前提ですが、児童発達支援は保護者の送迎が多く、送迎車を2台入れたが動かない、ということが起きます。地域の保護者の動き(自家用車か、公共交通か)を先に聞いてから、送迎の有無を決めてください。

⑥保護者支援の時間を運営に組み込んでいない

未就学児の支援では、保護者との面談・相談が支援計画の柱です。面談の時間を職員の勤務に組み込まず、支援時間の合間に済ませようとすると、記録が残らず運営指導で指摘されます。週の中に面談枠を作ってください(保護者面談の設計)。

⑦「5領域」との対応を示せていない

支援プログラムの公表義務があり、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性の5領域とのつながりを示す必要があります。開業時に整えておかないと、公表義務の未実施として減算の対象になり得ます(支援プログラムの公表義務)。

失敗を防ぐ順番

類型の決定(児発単独か多機能型か)→児発管の要件確認→物件の図面相談→定員と稼働率の現実的な収支→送迎の要否→保護者支援の時間設計→支援プログラムの整備。この順で進めれば、7つのうち6つは開業前に潰せます。

要確認:人員・設備・運営の基準と加算・減算の要件は、児童福祉法にもとづく基準省令と指定権者の条例・手引き、報酬告示で定められ、報酬改定で変わります。児発管の要件(実務経験の年数・研修の区分)は制度改正により変更されることがあります。本記事は2026年9月3日時点の一般的な整理で、開業予定地の指定権者の最新の手引きで確認してください。

📘 物件を契約する前の確認は「児童発達支援の物件選定——法的・利便性・安全性の3つの目」にまとめています。

当事務所の関わり方

指定申請サポート(税込220,000円〜)では、この7つを開業前のチェック項目として一緒に潰します。開業後の運営指導・処遇改善加算・変更届までを一つの窓口で(児童発達支援の開業——放デイとの違い)。

参考にした一次資料

  • 児童福祉法にもとづく指定通所支援の基準省令・解釈通知
  • 障害福祉サービス等報酬告示(支援プログラムの公表・減算)
  • 当事務所「障害福祉・障害児支援の指定申請 完全実務ガイド」「運営指導 完全実務ガイド」(2026年8月版)

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の指導訓練室の面積

指導訓練室の面積基準は、千葉県と千葉市・船橋市・柏市で運用が異なる場合があります。内法(有効面積)で測るか壁芯かも指定権者で違うため、物件契約前に図面を持って該当する指定権者に相談してください。「放デイと同じ物件だから大丈夫」と思い込むのは危険です。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

児童発達支援の失敗で、私がいちばん悔しいのは①です。放デイの午前が空いているから、と善意で未就学児を受け入れてしまう。制度を知らなかっただけで、事業所も家族も傷つく。開業前に「別の指定が要る」と一言伝えるのが、私の仕事だと思っています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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