— 30秒でわかる結論 —

Q. 医療的ケア児を受け入れる児童発達支援・放課後等デイサービスを開業するには、何が必要ですか?

医療的ケア児支援法(2021年9月施行)により国・自治体に支援の責務が課されましたが、受け入れられる事業所は地域によってまだ少なく、家族が預け先を見つけられない状況が続いています。令和3年度の報酬改定で、児童発達支援・放課後等デイサービスには医療的ケア判定スコア(人工呼吸器・気管切開・経管栄養・吸引などの内容と見守りの必要度で点数化)に応じた基本報酬区分が設けられ、スコアが高い児童ほど手厚い報酬になります。人員は通常の児発管・児童指導員/保育士に加えて看護職員の配置が必要で、スコアと受入れ人数に応じた配置数が求められます。設備は医療的ケアのスペース・衛生設備・機器の保管、運営は主治医の指示書・実施記録・緊急時対応マニュアル、喀痰吸引等を行う職員の研修と登録。開業前に確認するのは、看護職員の確保、主治医・医療機関との連携、看護職員同乗が必要な送迎の設計、市町村の医療的ケア児支援センター等で把握する地域の需要の4つです。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 児童発達支援・放課後等デイサービスを運営していて、医療的ケア児の受入れを検討している法人の方
  • 看護師の資格を活かして障害児支援の事業を始めたい方
  • 「預け先がない」家族の声を地域で聞いている相談支援・医療関係の方

📈 この記事は「これから需要が伸びる障害福祉」シリーズです。制度の追い風があり、対応できる事業所がまだ少ない分野を、開業・運営の実務の目で整理しています。

医療的ケア児は増えている。受け皿はまだ足りない

人工呼吸器・気管切開・経管栄養・たんの吸引など、日常的に医療的ケアを必要とする子ども(医療的ケア児)は、医療の進歩とともに増えています。2021年9月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)が施行され、国・自治体には支援の責務が、保育所・学校には受入れの努力が求められるようになりました。一方で、医療的ケア児を受け入れられる児童発達支援・放課後等デイサービスは、地域によっては数えるほどです。家族は預け先がなく、就労を諦めていることも珍しくありません。

ここに、事業所側の「差別化」があります。受入れには看護職員の配置と体制づくりが必要で、参入のハードルは高い。だからこそ、対応できる事業所には地域の相談支援事業所・医療機関から紹介が集まります。

報酬の仕組み——「医療的ケアスコア」で基本報酬が変わる

令和3年度の報酬改定で、医療的ケア児を受け入れる児童発達支援・放課後等デイサービスには、医療的ケアの判定スコアに応じた基本報酬区分が設けられました。スコアは医療的ケアの内容(人工呼吸器、気管切開、経管栄養、吸引など)と見守りの必要度で点数化され、スコアが高い児童ほど手厚い報酬になります。看護職員の配置数と受け入れる児童のスコアの組み合わせで、算定できる区分が決まります。

項目骨子
対象主治医の判断により医療的ケアを必要とする障害児。医療的ケア判定スコアで区分
人員通常の児発管・児童指導員/保育士に加えて、看護職員(看護師・准看護師等)の配置。スコアと受入れ人数に応じた配置数
設備医療的ケアを行うスペース、衛生設備、医療機器の保管。緊急時の医療機関との連携体制
運営主治医の指示書、医療的ケアの実施記録、緊急時対応マニュアル、保護者との情報共有。喀痰吸引等を行う職員は研修と登録が必要
よくある併設児童発達支援+放課後等デイサービスの多機能型に、医療的ケア対応の枠を設ける

開業前に確認する4つ

  • 看護職員の確保——最大の壁です。医療機関・訪問看護ステーションとの関係、非常勤での確保、複数名でのシフト。看護職員が1人辞めると受入れが止まります。
  • 主治医・医療機関との連携——指示書、緊急時の受入れ先、定期的な情報共有。地域の小児科・こども病院の地域連携室に、開業前に相談してください。
  • 送迎——医療的ケア児の送迎には看護職員等の同乗が必要な場合があり、送迎加算にも上乗せ区分があります。車両と人員の設計が変わります。
  • 地域の需要——市町村の医療的ケア児支援センター、相談支援事業所、特別支援学校に「預け先がなくて困っている家庭がどのくらいあるか」を聞いてください。数字で答えが返ってくる分野です。
要確認:人員・設備・運営の基準、対象者の要件、加算の算定要件は、障害者総合支援法・児童福祉法にもとづく基準省令・報酬告示・留意事項通知・Q&A、各指定権者の条例・手引きで定められ、報酬改定や制度改正で変わります。本記事は2026年9月4日時点の一般的な整理で、開業・算定の前に必ず当該年度の原典と指定権者の最新の手引きで確認してください。 医療的ケア判定スコアの内容・基本報酬区分・看護職員の配置数、喀痰吸引等の研修・登録の要件は報酬告示・留意事項通知と社会福祉士及び介護福祉士法の規定によります。医療行為の範囲は医師法との関係で定められており、実施には主治医の指示と職員の研修・登録が必要です。

当事務所の関わり方

医療的ケア児対応の児童発達支援・放課後等デイサービスの指定申請(税込220,000円〜)、看護職員配置に関する体制届、医療機関との連携体制の文書化をお受けしています。児童系の開業の流れはこちら、送迎の記録は送迎加算を。

参考にした一次資料

  • 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和3年9月施行)
  • 障害福祉サービス等報酬告示・留意事項通知(医療的ケア児の基本報酬区分・看護職員配置)
  • 社会福祉士及び介護福祉士法(喀痰吸引等の研修・登録)
  • 当事務所「障害福祉・障害児支援の指定申請 完全実務ガイド」(2026年8月版)

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の事業者の方へ

千葉県内では、県の医療的ケア児等支援センターや各市町村の障害福祉担当が、医療的ケア児の状況と受入れ先の情報を持っています。開業を検討する際は、指定権者への事前相談と並行して、これらの窓口で地域の需要を確認してください。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

医療的ケア児の受入れは、事業所にとっては覚悟の要る分野です。でも、家族が「預けられる場所ができた」と言う瞬間を、私は何度か見ました。ハードルが高いからこそ、越えた事業所は地域に必要とされ続けます。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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