— 30秒でわかる結論 —

Q. 強度行動障害のある方を受け入れる事業所になるには、何が必要ですか?

強度行動障害は自傷・他害・こだわり・多動などの行動が高頻度で起こる状態で、支援の専門性が必要なため受け入れられる事業所が限られています。国は令和6年度の報酬改定で強度行動障害への対応を評価する加算を見直し、中核的人材養成研修を創設して、専門性のある事業所を増やす方向を示しました。関係する加算は、グループホーム・生活介護・施設入所支援の重度障害者支援加算(強度行動障害支援者養成研修の修了者を配置し支援計画に基づく支援を行う。中核的人材養成研修修了者の配置で上乗せ区分)、放課後等デイサービス・児童発達支援の強度行動障害児支援加算、短期入所の受入れ加算、行動援護の従業者要件などで、いずれも「研修を修了した職員の配置と計画に基づく支援」が共通の要件です。実務では、研修の受講計画を開業前から立てる、刺激を減らす個室や構造化された環境を物件段階で設計する、行動記録・支援計画シート・身体拘束適正化委員会を整える、相談支援事業所に受入れ可能と伝える、の4点が差別化になります。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • グループホームや生活介護で、強度行動障害のある方の受入れを断らざるを得ないことに悩んでいる法人の方
  • 行動援護や放デイで、専門性を高めて地域に必要とされる事業所になりたい方
  • 重度障害者支援加算の要件と研修の位置づけを整理したい管理者の方

📈 この記事は「これから需要が伸びる障害福祉」シリーズです。制度の追い風があり、対応できる事業所がまだ少ない分野を、開業・運営の実務の目で整理しています。

強度行動障害は「受け入れ先がない」分野——だから制度が後押ししている

強度行動障害とは、自傷・他害・こだわり・多動など、本人や周囲の生活に著しい困難をもたらす行動が高い頻度で起こる状態を指します。知的障害や自閉スペクトラム症のある方に見られることが多く、支援の専門性が必要なため、受け入れられる事業所が限られています。グループホームに入れない、生活介護で断られる、行動援護の事業所が地域にない——家族と相談支援事業所が最も困っている領域の一つです。

国はこの領域に報酬と研修で手当てをしてきました。令和6年度の報酬改定では、強度行動障害への対応を評価する加算の見直しと、中核的人材養成研修の創設が行われ、専門性のある事業所を増やす方向が明確になっています。「対応できる事業所が少なく、制度が後押ししている」——これが需要が伸びる理由です。

関係する加算と人材要件(骨子)

類型関係する加算・要件
グループホーム(共同生活援助)重度障害者支援加算——強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)の修了者を配置し、支援計画シート等に基づく支援を行う。中核的人材養成研修修了者の配置で上乗せされる区分がある
生活介護・施設入所支援重度障害者支援加算(同上)。行動関連項目の点数が一定以上の利用者が対象
行動援護従業者・サ責に行動援護従業者養成研修の修了と実務経験。強度行動障害のある方の外出支援そのもの(要件の解説
放課後等デイサービス・児童発達支援強度行動障害のある児童への支援を評価する加算(強度行動障害児支援加算)。研修修了者の配置と支援計画
短期入所強度行動障害のある方の受入れを評価する加算区分

共通しているのは、「研修を修了した職員を配置し、計画に基づく支援を行う」という要件です。つまり、この分野の参入は人材投資から始まります。

差別化の実務——「受け入れる」と言える事業所になる

  • 研修の受講計画——強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)は都道府県等が実施し、開催は年数回。中核的人材養成研修はさらに定員が限られます。開業前から受講の計画を立てておくことが、加算の算定と受入れ可否を分けます。
  • 環境の設計——刺激を減らす個室、構造化された動線、破損しにくい設備。物件選びの段階で、支援の方針と設備が一致しているかを確認します。
  • 記録の体制——行動の記録(頻度・きっかけ・対応)、支援計画シート、虐待防止・身体拘束の適正化。強度行動障害の支援は、身体拘束の適正化と表裏一体です。委員会・記録・研修がないと、支援そのものが減算や指導の対象になります(4つの未実施減算)。
  • 相談支援事業所との関係——「強度行動障害の方を受け入れられる」と伝えるだけで、地域の相談支援専門員からの相談が来ます。それだけ受け皿が足りていません。
要確認:人員・設備・運営の基準、対象者の要件、加算の算定要件は、障害者総合支援法・児童福祉法にもとづく基準省令・報酬告示・留意事項通知・Q&A、各指定権者の条例・手引きで定められ、報酬改定や制度改正で変わります。本記事は2026年9月4日時点の一般的な整理で、開業・算定の前に必ず当該年度の原典と指定権者の最新の手引きで確認してください。 重度障害者支援加算・強度行動障害児支援加算の算定要件(研修の区分・配置人数・対象者の行動関連項目の点数)と、中核的人材養成研修の位置づけは、令和6年度報酬改定の告示・留意事項通知で確認してください。研修の名称・実施主体は都道府県により異なります。

当事務所の関わり方

強度行動障害への対応を軸にしたグループホーム・生活介護・行動援護の指定申請(税込220,000円〜)、重度障害者支援加算等の体制届、身体拘束適正化委員会・記録の整備をお受けしています。グループホーム全体の設計はこちら

参考にした一次資料

  • 障害福祉サービス等報酬告示・留意事項通知(令和6年度報酬改定:重度障害者支援加算・強度行動障害児支援加算)
  • 厚生労働省 強度行動障害支援者養成研修・中核的人材養成研修に関する通知
  • 当事務所「介護・障害福祉の運営指導 完全実務ガイド」(2026年8月版)

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の事業者の方へ

千葉県では強度行動障害支援者養成研修を県が実施しており、開催回数と定員に限りがあります。千葉市・船橋市・柏市に事業所を置く場合も研修は県の案内を確認してください。地域の自立支援協議会で「受け皿が足りない」と議題になっている領域です。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

相談支援専門員の方と話すと、必ず出るのが「強度行動障害の方の行き先がない」という言葉です。受け入れる事業所は大変です。でも、その大変さを引き受ける事業所には、地域からの信頼と紹介が集まります。制度も、そこに報酬をつけています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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