— 30秒でわかる結論 —

Q. 職員が資格を取ったのですが、加算には関係ありますか?

関係する場合が多いです。有資格者の割合や配置を要件とする加算は、職員の資格取得でその日から要件を満たすことがあります。研修の修了、非常勤から常勤への切替えも同様です。ところが人事の情報が請求担当まで届いていないために、要件を満たしたことに誰も気づかず、届け出ていないことがあります。加算は届け出た月からしか算定できず、遡って取り直せないため、気づくのが遅れた分はそのまま取りこぼしになります。おすすめしているのは、自事業所で算定し得る加算の要件を1枚にまとめ、人事の出来事が決まった日にその表を見る運用です。注意点は、加算によって常勤換算で数えるものと常勤の人数で数えるものがあること。福祉専門職員配置等加算のように常勤の頭数で割る加算では、常勤への切替えが分母と分子の両方を動かします。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 職員の資格や研修修了状況を、請求担当が把握していない事業所
  • 加算の届出を「思い出したとき」に出している方
  • 処遇改善のキャリアパスと加算要件を連動させたい方

ご相談いただくと、こう進みます

  1. 最初の30分の無料相談で、職員名簿と体制等状況一覧表の控えを並べ、届け出ていない加算や要件が外れそうな加算がないかを一緒に見ます。
  2. ご依頼後は、加算の要件をまとめたチェック表を事業所の類型に合わせて作り、必要な体制届を指定権者の締切に合わせて作成・提出します。
  3. その後は、採用・資格取得・研修修了・退職が決まったときに、同じチェック表で届出の要否を見直します。

📗 関連の深掘り——配置加算で増えた収入を本人の処遇にどう返すか(処遇改善加算の配分ルール/資格手当の2経路)、行動で測る評価、上向きフィードバックまでの人事制度の3本柱は障害福祉の人事制度は、一般企業の型を持ち込むと壊れるで扱っています。

加算の取りこぼしは、事務の問題ではなく「人事と請求がつながっていない」問題です

「職員が資格を取っていたのに、誰も加算に結びつけていなかった」ということが起こりえます。責められる話ではありません。人事の出来事と請求の要件が、組織の中で別々に管理されているのが普通だからです。

企業の人事を15年やってきた立場から見ると、障害福祉事業所の加算は人事の異動情報がそのまま売上に変わるという、他の業界にはない構造を持っています。職員が資格を取る、研修を修了する、常勤に切り替わる——このひとつひとつが、加算の要件を満たしたり外れたりする出来事です。ところが、それを請求担当まで届ける仕組みが無いと、要件の変化に気づくのが遅れることがあります。

人事の出来事と、加算・減算の対応表

人事で起きること加算・減算との関係確認すること
職員が資格を取得した(社会福祉士・介護福祉士・保育士など)有資格者の割合や配置を要件とする加算に直結割合の計算方法(常勤換算か常勤の人数か)と、届出の要否
研修を修了した(強度行動障害支援者養成研修、喀痰吸引等研修など)研修修了者の配置を要件とする加算に直結修了証の保管と、配置する事業所・時間帯
非常勤から常勤に切り替わった「常勤の人数」で割る加算の分母・分子が動く常勤の定義(就業規則上の所定労働時間)との整合
職員が退職した人員基準の充足、加算要件の喪失、体制の変更届翌月末までに補充できるか。減算の猶予との関係
管理者・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が交代した変更届(10日以内)と、体制届の見直し後任の要件充足を事前に確認
職員の勤務時間・シフトを変えた常勤換算の人数が動き、人員配置体制加算の区分が変わることがある月ごとの常勤換算の再計算

とくに気をつけていただきたいのは3点目の「常勤の人数」です。加算によって、常勤換算で数えるものと、常勤の頭数で数えるものがあります。たとえば福祉専門職員配置等加算は常勤換算ではなく常勤の人数で割ります。非常勤から常勤への切替えは、この種の加算では分母と分子の両方を動かします。

「加算要件チェック表」を人事の稟議に貼る

仕組みは複雑にしないほうが続きます。おすすめしているのは、自事業所の類型で算定し得る加算の要件を1枚にまとめ、人事の出来事が起きたときにその表を見るという運用です。

タイミングやること担当
採用・資格取得・研修修了・退職・勤務形態変更が決まった日「加算要件チェック表」に該当欄があるか確認する人事担当(管理者)
確認の結果、加算要件に影響があるとき請求担当に共有し、体制等状況一覧表の変更が必要かを判定する人事担当→請求担当
届出が必要なとき指定権者の締切(例:毎月15日必着)から逆算して提出する請求担当
毎月の請求前当月の常勤換算・有資格者割合を再計算し、届出内容と一致しているか確認する請求担当
年1回在籍職員全員の資格・研修修了状況を棚卸しし、届け出ていない加算がないか点検する管理者

ポイントは「決まった日」に動くことです。加算は届け出た月からしか算定できず、遡って取り直せません。資格取得の日から届出までの空白が、そのまま取りこぼしになります。逆に退職の場合は、人員欠如減算に翌月末までの猶予があるため、決まった日に動けば減算を免れる余地があります。

人事側で先に整えておくと楽になるもの

  • 資格・研修の台帳——職員ごとに、資格の種類・取得日・修了証の所在を一覧化する。加算の届出には修了証の写しが要る場合がある
  • 常勤の定義の明文化——就業規則の所定労働時間と、指定基準上の常勤の考え方を突き合わせておく。ここがずれていると常勤換算の計算がずれる
  • 研修の年間計画——加算要件になる研修(強度行動障害支援者養成研修など)は受講枠が限られる。採用計画と一緒に組む。加算の要件になる専門職を採用できても、早く辞めて加算の要件を満たさなくなれば、また体制届が要ります。入社後の最初の3か月に短い面談を区切って置く方法は早期離職は「入社後90日」で決まる——15分×6回の面談にまとめています
  • 処遇改善加算との連動——資格取得や研修修了をキャリアパス要件の昇給ルールに組み込むと、加算の要件充足と職員の定着が同じ動きになる。令和8年6月からは配分の対象が障害福祉従事者に広がり、上乗せ区分も新設されている(令和8年度の処遇改善加算の改正点)
要確認:各加算の算定要件(有資格者の割合の計算方法、常勤の定義、研修の種類)は、告示・留意事項通知および指定権者の解釈によります。人員欠如減算の猶予の扱いも指定権者の運用で確認してください。就業規則の作成・変更や労務管理の判断は社会保険労務士の業務であり、当事務所は行いません。本記事は2026年9月11日時点の整理です。

人事の側で「経験年数」を確かめる書類を早めに集めておくと、加算の届出が止まりにくくなります。前の職場が廃業していて実務経験証明書が出ない職員がいるときは、雇用契約書・給与明細書・勤務表で確かめる道があります。その手順は前の職場が廃業して実務経験証明書が出ないときの児童指導員等加配加算にまとめました。資格を働きながら取る職員を支える仕組みは資格取得支援制度の作り方に書いています(当事務所の見解)。

まず、いまの職員名簿と体制届を突き合わせてみてください

この記事の運用を始める前に、一度だけやっていただきたいことがあります。在籍職員の資格・研修修了状況の一覧と、いま出している体制等状況一覧表の控えを並べることです。要件を満たしているのに届け出ていない加算は、この2枚を並べるだけで大半が見えます。

当事務所では30分の無料相談をお受けしています。その時間内で、加算・減算の取りこぼし診断、運営指導の事前チェック、届出状況の棚卸しの3つの無料診断ができます。診断だけで終わっても構いません。顧問契約は不要で、開業を他所で行った事業所の途中からのご依頼も歓迎です。オンラインで全国対応しています。ご相談は運営中の介護・障害福祉事業所さまへのページ、またはお問い合わせフォームからどうぞ。

職員名簿(資格と勤務形態がわかるもの)と体制等状況一覧表の控えをお手元にご用意いただけると、60分でかなりのところまで見えます。

たとえば、こんな場面で迷っていませんか

開業して3年目の放課後等デイサービスの管理者の方。非常勤で働いていた職員が保育士の資格を取り、来月から常勤に切り替わることになりました。

資格取得のお祝いと、雇用契約の書き換えは済ませましたが、請求を担当している職員にはまだ伝えていません。

そのうち、別の職員から「資格が増えると取れる加算があるのでは」と言われ、気になり始めました。いま届け出ている体制のままでよいのか、届け出るならいつまでなのか、常勤への切替えで計算が変わる加算があるのかが分かりません。

このまま請求担当に伝わらないと、要件を満たしているのに届出が遅れ、届け出るまでの月の分を取りこぼすことになりかねません。

この場面なら、まず職員名簿と今の体制の届出の控えを並べ、資格取得と常勤への切替えで動く加算がないかを確認します。本文では、その順に説明しました。

当事務所にご相談いただいた場合の進め方

  1. 1. ご相談の前に手元に用意していただくもの
    職員名簿(資格と勤務形態が分かるもの)、資格証や研修の修了証の写し、直近の体制等状況一覧表と体制届の控え、勤務形態一覧表、これから決まっている採用・退職・勤務の切替えの予定をお手元にご用意ください。
  2. 2. 初回30分の無料相談で一緒に確認すること
    職員名簿と体制等状況一覧表を突き合わせ、要件を満たしているのに届け出ていない加算、要件が外れそうな加算がないかを一緒に確かめます。常勤換算で数える加算か、常勤の人数で数える加算かも、その場でお伝えします。
  3. 3. ご依頼後の進め方当事務所がやること:事業所の類型に合わせた加算の要件のチェック表を作り、必要な体制届・加算届を作成して指定権者へ提出します。資格・研修の台帳の様式づくりもお手伝いします。就業規則の作成・変更は提携の社会保険労務士が担当します。お客様にお願いすること:職員の採用・資格取得・研修の受講・勤務形態の決定と、その情報を請求担当に伝えること、修了証の写しの保管は、事業所で行っていただきます。人の動きが決まったら早めにお知らせください。
  4. 4. その後
    人の動きがあるたびに同じチェック表で見直し、年に一度は在籍職員の資格と研修の状況を棚卸しします。届出をまとめてお任せいただく場合は、変更届・加算届を含む福祉顧問 サポートプラン・トータルプランもあります。

料金は料金表と料金シミュレーションでご確認いただけます。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の事業所さまへ——届出の締切から逆算する

千葉県の障害児通所支援では、加算の算定に関する体制等状況一覧表は毎月15日必着で翌月1日から適用、16日以降は翌々月1日からです(2026年9月11日に県ページで確認)。資格取得や研修修了が月の前半に分かれば、その月の15日までに届け出て翌月から算定できます。後半に分かった場合は翌々月からになるので、決まった日に動くことが1か月分の差になります。障害福祉サービス側や市が指定権者の場合は運用が異なります。

※2026年9月18日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

企業の人事にいたころ、異動の辞令が出ると、給与・社会保険・システム権限が一斉に動く仕組みがありました。障害福祉の事業所で同じ景色を見たとき、辞令の先に「加算」が入っていないことに気づきました。資格を取った、研修を修了した、常勤になった。それは職員の成長であると同時に、制度が値段を付けている出来事です。人事の動きを加算につなぐ仕組みは、事務の効率化ではなく、職員の成長をきちんと収入に変える仕組みだと思っています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/2級FP技能士(AFP)/国家資格キャリアコンサルタント。
障害福祉・障害児支援とNPO法人を専門にしています。放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援A型・B型・グループホーム(共同生活援助)などの指定申請、処遇改善加算・変更届・指定更新・運営指導(実地指導)への対応を支援します。NPO法人は、設立認証から事業報告書・役員変更などの運営まで支援します。
企業人事15年の経験を土台に、児発管・サビ管の採用・定着、融資・補助金や資金繰りまで、「書類・人・お金」を一体で支えます。

プロフィールを見る →