— 30秒でわかる結論 —
Q. 放デイ・生活介護・グループホーム・就労B型で、開業資金はどのくらい違いますか?
同じ物差し(初期費用+運転資金6か月分)で並べると、当事務所の前提つき試算で、放デイ・児発 約1,500〜2,800万円(定員10名・賃貸・車2台)、生活介護 約1,600〜2,600万円(定員20名・入浴支援・送迎あり)、障害者グループホーム 約1,200〜2,600万円(定員5〜6名×1〜2棟・借上げ)、就労継続支援B型 約800〜1,300万円(定員20名・賃貸。費用記事の月額を6か月に換算)です。幅を決めるのは類型より物件と設備で、放デイは内装と車両、生活介護は入浴設備、グループホームは消防設備(区分4以上が概ね8割超でスプリンクラー)、B型は生産活動の設備です。運転資金の月額はどの類型も100万円を超え、人員基準がある以上、利用者が少なくても人件費は減りません。給付費は提供月の約2か月後の入金で、稼働率は3〜6か月で立ち上がるため6か月分を見ます。2026年6月1日以降の新規指定は、生活介護以外の3類型で基本報酬が低く始まります(放デイ982・児発988・GH972・B型984、/1000)。組み立ては自己資金2〜3割+公庫(限度7,200万円・据置5年以内)+制度融資が基本です(2026年9月15日時点)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- どの類型で開業するか迷っていて、資金の違いを知りたい方
- 「B型は安く始められる」と聞いて検討している方
- 複数の類型を比べたうえで融資額を決めたい方
4類型の開業資金を、同じ物差しで並べます
「放デイとグループホーム、どちらが少ない資金で始められますか」「B型はいくら要りますか」——類型を決める段階のご相談で、いちばん多い質問です。当事務所では類型ごとに開業資金の記事を書いてきましたが、前提と計算の物差しを揃えて1枚に並べたものはありませんでした。この記事はその比較表です。
物差しは1つです。必要資金=初期費用+運転資金6か月分。金額はすべて当事務所の前提つき試算で、地域の家賃・物件の状態・人員構成で大きく変わります。各類型の内訳と前提は、表のリンク先の記事をご覧ください。
比較表(前提つき概算・2026年9月15日時点)
| 類型(前提) | 初期費用 | 運転資金(月額) | 必要資金=初期+運転×6か月 | 最大の変動要因 | 令和8年6月〜の新規指定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 放デイ・児発 定員10名・賃貸・送迎車2台 | 500〜1,200万円 | 160〜260万円 | 約1,500〜2,800万円 | 物件(内装)と車両の持ち方 | 放デイ982/児発988(/1000) |
| 生活介護 定員20名・賃貸・入浴支援あり・送迎あり | 550〜1,100万円 | 180〜250万円 | 約1,600〜2,600万円 | 入浴設備と送迎、人員配置 | 対象外(応急的な減額なし) |
| 障害者グループホーム 定員5〜6名×1〜2棟・既存物件の借上げ | 400〜1,200万円 | 130〜240万円 | 約1,200〜2,600万円 | 消防設備(区分4以上が概ね8割超でスプリンクラー) | 972(/1000) |
| 就労継続支援B型 定員20名・賃貸・小規模製造 | 170〜465万円 | 100〜135万円 | 約800〜1,300万円(費用記事の月額を6か月に換算) | 生産活動の設備(何の仕事をするか) | 984(/1000) |
表を見て分かることが3つあります。
- 必要資金の幅は、類型より「物件と設備」で決まる——放デイは内装と車両、生活介護は入浴設備、グループホームは消防設備、B型は生産活動の設備。同じ類型でも上限と下限で2倍近く違う
- 運転資金の月額はどの類型も100万円を超える——人員基準がある以上、利用者が少なくても人件費は減らない。初期費用が小さいB型でも、運転資金を6か月見れば1,000万円前後になる
- 令和8年6月以降の新規指定は、生活介護以外の3類型で基本報酬が低く始まる——放デイ982・児発988・GH972・B型984(いずれも/1000、令和9年度改定までの応急措置)。運転資金の月額に、この差を織り込む
なぜ「6か月分」なのか——4類型に共通する構造
| 共通の考え方 | 中身 |
|---|---|
| 費用と資金は別 | 費用=何にいくらかかるか。資金=手元に用意する額。資金は費用より必ず大きい |
| 報酬は約2か月後に入る | 給付費は国保連を通じてサービス提供月の約2か月後に入金。開業月の報酬が入るのは3か月目 |
| 稼働率は3〜6か月で立ち上がる | 定員が埋まるまで報酬は満額入らない。グループホームは放デイより長くかかりやすい |
| 人件費は初日から満額 | 人員基準があるため、利用者が少なくても職員は減らせない。これが運転資金の正体 |
| だから運転資金6か月分 | 入金ラグ2か月+立ち上がり3〜4か月。当事務所の現在の標準。就労B型の費用記事は3か月分で試算しているため、本記事では6か月に換算している |
資金の組み立ては、4類型とも同じ
| 調達 | 考え方 |
|---|---|
| 自己資金 | 必要資金の2〜3割が実務上の目安。公庫の現行制度に自己資金の要件はないが、審査では額と貯まり方が見られる |
| 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」 | 融資限度額7,200万円、設備20年以内・運転10年以内、据置期間5年以内。創業期は原則無担保・無保証人(公庫サイト・2026年9月15日確認) |
| 自治体の制度融資 | 千葉県・松戸市などの創業支援資金。公庫との協調融資も可能。公庫より審査に時間がかかることが多い |
| 補助金 | 設備・ICT導入に使える制度はあるが、多くは後払いで採択も確実ではない。運転資金には使えず、資金計画の土台にはしない |
類型によって違うのは、設備資金と運転資金の比率です。生活介護は入浴設備で設備資金の割合が高く、放デイは車両をリースにすれば設備資金を圧縮できます。公庫の申込みでは設備資金は見積書、運転資金は月次収支が根拠になるので、比率が変わると用意する書類も変わります。
類型を決める前に、資金以外で見ておくこと
資金が少なくて済む類型を選ぶ、という決め方はおすすめしません。理由は2つあります。ひとつは、類型ごとに稼働率の立ち上がり方と単価の構造が違うこと。B型は初期費用が小さい代わりに、基本報酬が平均工賃月額で動き、生産活動の設計が収支を決めます。もうひとつは、第8期障害福祉計画(令和9〜11年度)の策定年である今年、自治体が類型ごとの需要を数字で書くこと。開設予定地域の計画で「充足」と書かれる類型は、指定申請の場で自治体の姿勢が変わります(第8期計画の策定年にできること)。
類型の選び方そのものは全類型一覧と4類型の横断比較で整理しています。
「うちの前提で、いくらになるか」を一緒に出します
比較表は類型を絞るためのものです。絞れたら、次はご自身の前提(定員・候補物件・車両の持ち方・人員構成・地域)に置き換えた試算が要ります。当事務所では60分の無料相談で、この置き換えと、指定日から逆算した融資・物件・申請の線表をその場でお出しします。指定申請サポート(220,000円〜/税込)と創業融資サポート(着手金33,000円+成功報酬3.5%)を1本の線表でお受けしています。ご依頼にならなくて構いません。オンラインで全国対応です。お問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 当事務所の各類型の開業資金記事(放デイ・児発/生活介護/グループホーム=運転資金6か月分、就労B型=費用記事の運転資金3か月分を6か月に換算)。いずれも前提を明示した試算
- 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(新規指定事業所の応急的な報酬単価。2026年9月15日確認)
- 日本政策金融公庫「創業支援 Q&A」(自己資金は創業資金総額の平均2割程度、創業期は原則無担保・無保証人。2026年9月15日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県で類型を決める方へ
松戸・市川・流山は千葉県が指定権者で、障害児通所支援(放デイ・児発)と障害福祉サービス(生活介護・GH・B型)で担当班と手続の流れが異なります。いずれも市町村への事前説明(4〜5か月前)から始まり、申請書類は指定希望月の2か月前の月末です。2026年度は第8期障害福祉計画の策定年で、各市が類型ごとの見込み量を数字で書く年です。類型を絞る前に、開設予定の市の計画と担当課の見解を確認してください。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
「いちばん安く始められる類型はどれですか」と聞かれると、私は表をお見せしたうえで「その質問の答えで類型を決めないでください」とお伝えしています。資金の幅を決めているのは類型ではなく物件と設備で、収支を決めているのは単価と稼働率の構造だからです。表は類型を絞るための道具であって、選ぶための答えではありません。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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