— 30秒でわかる結論 —

Q. 放デイの開業準備、物件契約と融資はどちらが先ですか?

資金の見通しが先です。正しい順番は、事業計画と資金調達の見通し→物件(指定基準の確認後に契約)→指定申請。融資の申込みから実行までは1か月〜1か月半程度かかるため、実行前に物件を契約してしまうのが最も多い失敗です。日本政策金融公庫の創業融資は開業前から申し込めます。

先日、放課後等デイサービスの開業を目指していた方から、こんな話を伺いました。「事務所(物件)の契約まで済ませたのに、融資がタイミングよく下りず、開業できなかった」——法人をつくり、想いを固め、物件まで押さえた。それでも、資金が予定どおりに動かなければ、開業は止まります。家賃だけが毎月出ていき、体力が尽きて撤退。決して珍しい話ではありません。この記事では、この実例を教訓に、福祉事業の開業における融資の重要性と「正しい順番」を解説します。

放課後等デイサービスを始めるには——全体の流れを先に押さえる

本題の前に、「放課後デイサービスを始めるには何が必要か」の全体像を整理しておきます。必要なのは大きく5つ——①法人格(定款の目的に児童福祉法に基づく障害児通所支援事業の記載)、②児童発達支援管理責任者(児発管)の確保、③基準を満たす物件(指導訓練室の面積・用途地域・消防)、④開業資金(改修費+指定までの数か月と給付費入金までの運転資金)、⑤自治体への指定申請です。このうち、時間が読めないのが②の人材確保、そしてお金の事故が起きやすいのが④——本記事のテーマである融資のタイミングです。

なぜ「物件契約後」の融資は危ないのか

開業準備では、つい目に見えるもの——物件——から先に動きたくなります。良い物件は他の人に取られてしまう焦りもあります。しかし、物件を先に契約すると、その瞬間から保証金・礼金・毎月の家賃という支出のカウントダウンが始まります。

一方で融資は、申込みから実行まで3週間〜1か月半程度(日本政策金融公庫の場合の目安。制度融資はさらに長いことも)。しかも審査の結果、希望額から減額されたり、追加資料で時間がかかったり、実行日が想定より後ろにずれることは普通に起こります。「物件の支払い開始」と「融資の入金」の間に隙間ができた瞬間、資金繰りは崖になる——これが冒頭の事例で起きたことです。

放課後等デイサービス特有の資金構造

放デイをはじめとする障害福祉サービスには、資金面で特有の構造があります。

  • 指定を受けるまで売上ゼロ——物件確保・改修・人員雇用の後に指定審査。この間は完全な持ち出し
  • 給付費の入金はサービス提供の約2か月後——開業した月の報酬が入るのは2か月先
  • 利用者は段階的にしか増えない——定員10名でも、初月から満員にはならない
  • 人件費が先行する——児童発達支援管理責任者や保育士等は、指定申請の時点で確保しておく必要がある

つまり、内装や備品のお金だけでなく、開業前の数か月+開業後3〜6か月分の運転資金まで含めて調達しておかないと、指定が取れても走り切れません。融資は「あれば安心」ではなく、開業の前提条件です。

正しい順番——「資金の見通し」を最初に固める

おすすめする順番は明快です。①資金の見通し → ②人員の目処 → ③物件 → ④指定申請

「物件が決まっていないと融資は申し込めないのでは?」とよく聞かれますが、事業計画づくりと金融機関への相談は、物件確定前から始められます。候補物件の家賃想定で計画を組み、公庫や金融機関に事前相談をかけ、自己資金・経験・計画の評価の感触を得ておく。物件はその見通しが立ってから契約する。この順番なら、「契約したのにお金が来ない」という事故は構造的に起きません。

さらに実務では、融資の実行日と、保証金・工事代金の支払日をカレンダー上で突き合わせることが重要です。大きな支払いが融資実行より先に来るなら、契約条件の調整(支払時期の交渉)や自己資金の温存でブリッジする設計をします。

開業を断念しないための5つのチェック

  • 総投資額(物件・改修・備品)+運転資金6か月分で資金計画を組んだか
  • 融資の申込み〜実行の期間(3週間〜1か月半)を工程表に入れたか
  • 物件契約の前に、金融機関への事前相談を済ませたか
  • 融資が減額された場合のプランB(規模縮小・開業時期の後ろ倒し)を持っているか
  • 指定スケジュール(毎月1日付など)と融資実行日の整合を確認したか

💬 目加多のひとこと

この話を伺って改めて感じたのは、開業準備の失敗は「頑張りが足りない」からではなく、順番の設計図がなかったから起きるということです。物件・融資・人員・指定申請は、それぞれ別の相手(大家・金融機関・求職者・行政)と別の時間軸で動きます。これを一枚の工程表に載せて、支払いと入金のタイミングを突き合わせる——それだけで防げる失敗が、本当に多い。当事務所は指定申請の代行だけでなく、この工程表づくりと資金調達の伴走から開業を支援しています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。

前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。

保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。

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まとめ——融資は「最初に」動かす

放課後等デイサービスをはじめとする福祉事業の開業では、融資は物件より先に動かすべき最重要パーツです。「開業したい」と思った段階、物件を探し始める前の段階でこそ、資金の見通しづくりにご相談ください。初回相談60分無料。松戸・柏・流山・船橋・市川・三郷・千葉市・東京23区・埼玉東部・茨城県南部を含む首都圏で障害福祉・障害児支援の開業をお考えの方を、法人設立から融資・採用・指定申請までひとつの窓口で支援しています(オンラインで全国対応も可)。

※本記事の事例は、ご本人が特定されないよう詳細を一般化しています。融資の実行を保証するものではありません。制度の要件・審査期間は金融機関・時期により異なるため、最新は各窓口でご確認ください。当事務所は融資のあっせん・仲介は行わず、事業計画書の作成支援等のコンサルティングとして支援します。