— 30秒でわかる結論 —
Q. 創業融資では自己資金がいくらあれば通りますか?
「いくらあれば必ず通る」というラインはありませんが、実務感覚では必要総額の3割程度あると計画の説得力が出やすいです(総額600万円の計画なら200万円前後が一つの目安)。ただし金融機関が見るのは残高の数字だけではなく、通帳に刻まれた「貯まり方」——毎月の積み立てで作った100万円と、直前にどこかから振り込まれた300万円では、前者の方が評価されることすらあります。だからこそ、一時的に借りて残高を装う「見せ金」は絶対にやってはいけません。通帳の動きで見抜かれ、発覚すれば否決だけでなく信頼そのものを失います。
創業融資のご相談で、いちばん多くて、いちばん答えに幅があるのが自己資金の質問です。目安・見られ方・やってはいけないこと、の3部で整理します(2026年7月時点の実務整理。制度の詳細は各金融機関・公庫の最新案内をご確認ください)。
📗 関連の深掘り——自己資金の「貯まり方」を計画書でどう書くか——添削で直る5か所のひとつとして、通帳の履歴で示せる経緯の書き方はこちらの記事で扱っています。
【2026年9月12日 更新】公庫の「自己資金要件」は、いまはありません
まず現行制度の事実から整理します。日本政策金融公庫の旧「新創業融資制度」には、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意するという要件がありました。この制度は2024年3月末で廃止され、現在の「新規開業・スタートアップ支援資金」には自己資金の要件はありません。
現行制度の概要は次のとおりです(日本政策金融公庫サイト・2026年9月12日確認)。
| 項目 | 新規開業・スタートアップ支援資金(国民生活事業) |
|---|---|
| 対象 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方(適正な事業計画を策定し遂行能力があると認められる方) |
| 融資限度額 | 7,200万円(運転資金の内枠は公庫の案内で要確認) |
| 返済期間 | 設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内) |
| 自己資金の要件 | なし(制度上の要件としては存在しない) |
| 担保・保証人 | 希望を聞きながら相談。経営者保証免除特例制度の併用可 |
では自己資金は要らないのか——そうではありません。要件ではなくなっただけで、審査では自己資金の額と貯まり方が変わらず見られています。公庫の新規開業実態調査でも、創業者の自己資金は創業資金総額の2割台が平均とされています(公庫「2025年度新規開業実態調査」。当事務所は二次情報で確認。数値は原典でご確認ください)。以下は、その「要件ではないが見られる」自己資金を、どう考え、どう見せるかの話です。
目安——「3割」の意味を正しく理解する
実務感覚として、必要総額の3割程度の自己資金があると計画の説得力が出やすい——これは合否の足切りラインではなく、「総額の設計に無理がないか」の物差しです。自己資金が薄いなら、総額を圧縮する(設備をリースにする、居抜きを使う)という設計側の調整もできます。費用試算モデルの型で総額を先に固めると、必要な自己資金が逆算できます。
見られるのは「貯まり方」——通帳は履歴書
金融機関は自己資金の出所を通帳で確認します。評価されるのは毎月の給与から積み立てた形跡——金額以上に「この人は計画を実行できる」という証拠になるからです。逆に、申込直前の大きな入金は必ず出所を聞かれます。親族からの支援は隠す必要はなく、贈与であることを説明できる形(贈与契約書等)にしておけば、自己資金として扱われ得ます。タンス預金をお持ちの方は、早めに口座に入れて履歴を作っておくことをおすすめします。
見せ金——なぜ一発でバレるのか
一時的にお金を借りて残高を装う「見せ金」。なぜ見抜かれるかというと、通帳には①直前のまとまった入金 ②それ以前の残高の薄さ ③(融資後の)すぐの出金という不自然な動きが必ず残るからです。審査担当者は毎日通帳を見るプロ——説明できない入金は、それだけで審査が止まります。そして発覚した場合、その申込みが否決になるだけでなく、虚偽申告として以後の信頼を失います。自己資金が足りないなら、装うのではなく総額を削るか、貯める期間を取るか、正直に相談するか——道は3つあり、どれも見せ金より確実です。(見せ金が見抜かれる仕組みのさらに詳しい解説と、正しい自己資金の作り方はこちらの記事へ)
自己資金づくりから伴走します
当事務所の創業融資支援は、申込書類の作成だけではありません。費用総額の試算→自己資金の棚卸し→不足分の設計(圧縮か、時期の調整か)→創業計画書まで一体でお手伝いします(創業計画書の書き方・飲食開業の自己資金・創業融資の窓口ガイド)。介護・障害福祉や飲食など、許認可とセットの創業はとくに、手続きと資金の段取りを一人の窓口で組めるのが強みです。
📍 千葉県ローカルメモ|申込み半年前からの相談が理想
松戸・柏・流山エラアでの創業のご相談では、日本政策金融公庫と千葉県・市の制度融資の使い分けから一緒に検討します。自己資金の貯まり方に不安がある方は、申込みの半年前からのご相談が理想です。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
見せ金の相談を持ちかけられたことが、正直あります。お断りしたうえでお伝えしたのは「その工夫を、総額を削る設計に使いましょう」ということ。正面から組み直した計画のほうが、結局早く通ります。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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