— 30秒でわかる結論 —
Q. 創業計画書を専門家に添削してもらうと、どこが変わりますか?
直るのは、いつも同じ5か所です。①必要資金と調達方法の対応(設備は見積書どおり、運転資金は月次の費目×か月数、調達合計=必要資金を1円単位で一致させる)②売上予測の根拠(客数×単価×日数など3つ以上の変数に分解し、それぞれの根拠を添える)③返済能力の検証(税引後利益+減価償却費が返済額を超えるのは何か月目か。超えるまでを据置期間で吸収する)④自己資金の物語(通帳の履歴で示せる貯まり方を書く。見せ金は入れない)⑤経験と事業のつながり(前職の経験をこの事業のどの工程に活きるかと1対1で結ぶ)。5つに共通するのは「数字と数字」「経験と事業」を対応させることで、公庫の担当者は計画書の数字が別の数字と矛盾していないかを見ています。現行の新規開業・スタートアップ支援資金は融資限度額7,200万円、設備20年以内・運転10年以内、据置期間5年以内、経営者保証免除特例制度の併用可(公庫サイト・2026年9月12日確認)。旧制度の自己資金要件はありませんが、審査で自己資金が見られることは変わりません。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 創業計画書を自分で書いたが、出す前に誰かに見てほしい方
- 売上予測を「月商◯万円」としか書けていない方
- 返済できる根拠を数字で示せているか不安な方
創業計画書の添削で直るのは、いつも同じ5か所です
日本政策金融公庫の創業計画書は、A3で1枚の様式です。ご自身で書いて持ってこられる方は多く、8割は書けています。ただ、残りの2割が同じ場所で止まっています。この記事は、当事務所が財務コンサルタントとして添削するとき、ほぼ必ず直す5か所をお伝えするものです。
先に申し上げると、この5か所は「書き方のコツ」ではありません。審査で見られている数字の対応関係です。ここが通っていれば、面談で答えに詰まりません。
直る5か所
| 添削で直る場所 | 出してくださる計画書に多い状態 | 直したあと |
|---|---|---|
| ①必要な資金と調達方法の「対応」 | 設備資金の合計と見積書が合わない。運転資金の内訳が「諸経費」。調達の合計が必要資金と一致しない | 設備は見積書の金額そのまま、運転資金は月次の費目×か月数、調達の合計=必要資金。1円単位で対応させる |
| ②売上予測の「根拠」 | 「月商300万円」とだけ書いてある。客数×単価×稼働日数の分解がない | 客数(席数×回転率、定員×稼働率、契約件数)×単価×日数に分解し、それぞれの根拠(市場調査・前職の実績・契約の内諾)を添える |
| ③返済能力の「検証」 | 利益が出る前提で返済額を置いている。据置期間の使い方が決まっていない | 月次で、返済額<税引後利益+減価償却費 が何か月目から成立するかを示す。成立しない月を据置期間で吸収する設計にする |
| ④自己資金の「物語」 | 残高だけ書いてある。貯まった経緯が説明できない | 通帳の履歴で示せる範囲で、いつから・月いくら・何のために貯めたかを書く。見せ金は絶対に入れない |
| ⑤経験と事業の「つながり」 | 経歴は書いてあるが、この事業のどこに活きるかが書かれていない | 前職の経験を「この事業のこの工程に活きる」と1対1で結ぶ。足りない経験は、誰が補うか(共同経営者・顧問・提携先)を書く |
5つに共通するのは、「数字と数字」「経験と事業」を対応させることです。公庫の担当者は、計画書の数字が別の数字と矛盾していないかを見ています。売上と運転資金、必要資金と調達、利益と返済。この対応が取れていれば、事業への評価は高くなります。
添削の前後で、こう変わります
放課後等デイサービスの開業計画を例に、添削の前後を並べます(数字は説明用の例です)。
| 項目 | 添削前 | 添削後 |
|---|---|---|
| 売上(月) | 300万円 | 定員10名 × 稼働率65% × 22日 × 単価9,500円 = 約136万円(開業3か月目)/稼働率85%で約178万円(7か月目〜) |
| 運転資金 | 諸経費 500万円 | 人件費150万円+家賃25万円+送迎15万円+光熱通信15万円 = 月205万円 × 6か月 = 1,230万円 |
| 返済 | 月20万円 | 月20万円。税引後利益+減価償却費が20万円を超えるのは8か月目。据置期間を12か月で申請 |
添削前の計画書が「悪い」わけではありません。事業への理解は十分でした。変わったのは、第三者が数字だけを見ても事業の形がわかるようになったことです。公庫の担当者は、面談の前に計画書だけを読みます。その段階で疑問が残らない計画書が、通る計画書です。
自分で書くときの、5か所の自己点検
- 必要資金の合計と、調達の合計は、1円単位で一致していますか
- 売上は、3つ以上の変数の掛け算に分解されていますか。それぞれの根拠は書けますか
- 返済額を、税引後利益+減価償却費が超えるのは何か月目ですか。それまでの資金はどこから出ますか
- 自己資金は、通帳の履歴で貯まった経緯を示せますか
- 経歴のうち、この事業のどの工程に活きる経験が、どこに書かれていますか
公庫の様式を埋める順番は創業計画書の書き方——様式8項目を「埋める順番」から解説で、面談での答え方は面談で聞かれる10の質問でまとめています。
現行制度で押さえておくこと
公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、融資限度額7,200万円、設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)、担保・保証人は相談、経営者保証免除特例制度の併用が可能です(日本政策金融公庫サイト・2026年9月12日確認)。旧制度にあった自己資金の要件は現行制度にはありませんが、審査で自己資金が見られることに変わりはありません。
介護・障害福祉の事業者の方へ
放デイ・生活介護などの創業計画書では、売上の分解が「定員×稼働率×日数×単価」になり、運転資金には給付費の約2か月後入金を織り込みます。この業種固有の対応は介護・障害福祉の創業融資【完全ガイド】にまとめています。
「書いたものを、出す前に見てほしい」という方へ
創業計画書は、ご自身で書いたものを添削するのがいちばん速い進め方です。事業への理解はご本人がいちばん持っています。当事務所が加えるのは、上の5か所を数字で対応させる作業と、公庫の担当者の目線での読み直しです。
60分の無料相談で、いまお持ちの計画書(下書きでも構いません)を拝見し、5か所のどこが通っていてどこが止まっているかをお伝えします。ご依頼にならなくても構いません。創業融資サポートをご依頼いただく場合は着手金33,000円+成功報酬(融資実行額の3.5%・最低110,000円、税込)です。オンラインで全国対応しています。創業融資・資金調達サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(対象者・融資限度額・返済期間・据置期間・併用できる特例制度。2026年9月12日確認)
- 日本政策金融公庫「創業計画書」様式(国民生活事業)
- 当事務所の創業融資サポートでの創業計画書の添削実務(2級FP技能士・ASJ財務コンサルタント)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|松戸・市川・流山で開業する方へ
公庫の支店は千葉県内に複数あり、松戸市・市川市からは松戸支店または市川支店が窓口になることが一般的です。創業計画書の添削は、支店の担当者との面談前に済ませておくと、面談が「計画の確認」で終わります。千葉県・松戸市の制度融資と公庫の協調融資を組む場合は、両方の様式に同じ数字を載せるため、添削は1回で両方に効きます。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
添削で私がいちばん時間をかけるのは、売上の分解です。「月商300万円」と書いてある計画書を、定員×稼働率×日数×単価に分解すると、書いた本人がいちばん驚きます。「稼働率65%なら136万円しかないんですか」。そこから計画書は変わります。数字は嘘をつかないと言いますが、分解していない数字は、嘘をつく前に何も言っていないのです。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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