— 30秒でわかる結論 —
Q. 定員10名の放デイで、1日の利用者が平均7人しかいません。契約は何人必要ですか?
定員は「1日に受け入れる枠」で、契約者数とは別の数字です。1日平均利用者数=契約者数×1人あたり週の通所回数÷営業日数(週)なので、平日5日・週2回通所の児童が中心なら、契約25人で理論上100%、曜日の偏りと欠席を吸収するには30人が目安です(当事務所の見解・実務の目安)。1日7人(稼働率70%)になる原因は、契約者数が足りない・週の通所回数が少ない・曜日が偏っている・当日欠席が多い、のどれかで、対策が違います。契約者数は見学導線、通所回数は保護者の支給量の変更申請、欠席は欠席時対応加算とキャンセル規定で対応します。稼働率が90%を超えたら定員増を考えますが、定員超過の線(1日150%・3か月平均125%。減算にならなくても指導対象)と、前月15日までの指定変更申請を先に確認してください(2026年9月28日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 開業して数か月、契約はあるのに1日の利用者が伸びない放デイ・児発の経営者の方
- 開業前の収支計画で「定員10名=1日10人」と置いている方
- 稼働率が高くなり、定員を増やすか2単位目を作るか迷っている方
「定員10名」は1日の枠、「契約者数」は別の数字です
放デイ・児発の定員は「1日(1単位)に同時に受け入れられる人数」であり、契約している児童の数ではありません。定員10名の事業所が30人と契約しているのは普通です(制度・実務。定員は指定申請の運営規程で定め、利用契約の数に上限はない)。契約者一人ひとりの支給量と通所曜日が違うため、定員を毎日埋めるには定員の2〜3倍の契約者が要ります(実務の目安)。
この記事で分かることは、①定員・契約者数・稼働率の関係を1枚の式にすること、②「1日平均7人」がなぜ起きるか、③損益に効く3つの数字、④契約者数の目標の立て方、⑤定員超過との線引きです。当事務所は開業前の収支計画で「定員10名=1日10人」と置いている計画書を多く見てきました。そこを直すだけで、開業後の資金繰りの見え方が変わります。
| 数字 | 意味 | 決まり方 |
|---|---|---|
| 定員 | 1日に受け入れる上限(例:10名) | 運営規程。増減は前月15日までに指定変更申請(千葉県の運用) |
| 契約者数 | 利用契約を結んでいる児童の数(例:30人) | 上限なし。見学→契約の積み上げ |
| 支給量 | 児童ごとの月の利用上限日数 | 市町村が決定(原則各月の日数−8日、市の独自基準あり) |
| 通所回数 | 児童ごとの週の実利用回数(例:週2回) | 保護者と事業所の契約・希望曜日 |
| 1日平均利用者数 | (月の延べ利用者数)÷(営業日数) | 契約者数×通所回数÷曜日の偏り |
| 稼働率 | 1日平均利用者数÷定員(例:7÷10=70%) | 上の全部の結果 |
「定員10名なのに1日7人」はこうして起きます——式にすると見える
1日平均利用者数 = 契約者数 × 1人あたり週の通所回数 ÷ 営業日数(週)。定員10名を平日5日で埋めるには、週の延べ利用が50回必要です(算式。当事務所の整理)。
| 契約者数 | 1人あたり週の通所回数 | 週の延べ利用 | 1日平均 | 稼働率(定員10) |
|---|---|---|---|---|
| 20人 | 2回 | 40回 | 8.0人 | 80%(曜日が均等なら) |
| 20人 | 1.5回 | 30回 | 6.0人 | 60% |
| 25人 | 2回 | 50回 | 10.0人 | 100%(曜日が均等なら) |
| 30人 | 2回 | 60回 | 12.0人 | 定員超過の恐れ→曜日で調整 |
| 30人 | 1.5回 | 45回 | 9.0人 | 90% |
実際は「曜日の偏り」が加わります。月曜と金曜は希望が多く、水曜は少ない、長期休暇は増える、学校行事の日は減る。契約者25人・週2回でも、火曜と木曜が6人しか埋まらないということは普通に起きます(実務の目安)。だから「稼働率70%」は、契約が足りないのか、曜日が偏っているのか、欠席が多いのかで対策が変わります。
損益に効くのは「契約者数」「通所回数」「欠席率」の3つです
収入は「1日平均利用者数×営業日数×1人あたり単位数」で決まり、固定費(人件費・家賃)は稼働率に関係なくかかります。だから損益を動かすのは、契約者数・通所回数・欠席率の3つです(当事務所の見解)。
- 契約者数:見学→体験→契約の導線。相談支援事業所・学校・市の窓口との関係が入口を決める。開業前から見学を受け付ける。
- 通所回数:支給量の範囲で、週1回の児童を週2回にできるか。保護者のニーズ(長期休暇・送迎)に合う曜日設計。増やすには保護者の変更申請が要る(支給量の記事)。
- 欠席率:当日キャンセルは収入ゼロ。欠席時対応加算(連絡・相談援助・記録で算定、放デイは月4回まで)を取り、キャンセル規定を契約書に書く。
逆に、稼働率が90%を超えて「定員を増やそう」と考える前に、定員超過の線(1日150%・3か月平均125%、11人以下は+3人まで。千葉県は減算にならなくても指導対象)を確認してください(制度)。定員を増やすには前月15日までの指定変更申請と、人員(10人を超えると5人ごとに1人追加)・設備の見直しが要ります。
— この段階でご相談いただく理由 —
開業前の収支計画で「定員10名=1日10人」と置き、開業3か月で「契約は20人あるのに1日6人」になる相談が続きます。当事務所は開業前の収支計画と、開業後の無料診断で、契約者数・通所回数・曜日分布から稼働率の見込みを引き直し、見学導線と曜日設計を組みます。
準備物:契約者一覧(人数と週の回数)、直近3か月の日別利用者数、営業日と単位設定。60分の無料相談 →
契約者数の目標は「定員×2.5」から始めてください
当事務所の開業計画では、定員10名・週2回通所を標準として、契約者25人を「稼働率100%の理論値」、30人を「曜日の偏りと欠席を吸収できる目標」に置きます(当事務所の見解・実務の目安。地域と年齢層で変わる)。開業月にこの数字を満たすことは稀で、開業から6か月で25人に届く計画を「現実的」、3か月で届く計画を「相談支援・学校との関係が既にある場合」としています。
- 開業前3か月:見学の受付開始。相談支援事業所・特別支援学級・市の窓口へのあいさつ。契約は指定後にしかできないが、利用の意向は積み上げられる。
- 開業月:契約10〜15人、1日平均4〜6人が多い(実務の目安)。この期間の赤字を運転資金で吸収する。
- 開業3〜6か月:契約20〜25人。曜日の偏りが見えてくる。空いている曜日に合わせて見学を案内する。
- 開業6〜12か月:契約25〜30人。稼働率80〜90%で安定。ここで初めて「定員を増やすか、2単位目を作るか」を考える。
開業前の収支計画は、この線に沿って月ごとの利用者数を置き、赤字が続く期間の運転資金を確保してください。「定員10名=1日10人」で計画を組んだ事業所は、開業3か月目に資金繰りが詰まります(当事務所の見解)。
📗 収支の骨格は放デイの収支はどう組み立つか、運転資金は放デイ・児発の開業資金はいくら?、定員超過のラインは定員超過の受け入れは原則禁止、定員の増やし方は定員10名は増やせる?にまとめています。
参考にした一次資料
- 千葉県「障害児通所支援及び障害児入所支援の指定・変更等の手続」(定員の変更は指定変更申請。提出期限は本文参照)2026年5月15日更新(2026年9月28日確認)
- 厚生労働省「障害児通所支援の質の向上及び障害児通所給付費等の通所給付決定に係る留意事項について」平成28年3月7日障障発0307第1号(支給量の原則の日数)※富山県資料に引用(2026年9月28日確認)
- 兵庫県「障害児通所支援事業に関する人員及び設備基準一覧表」(障害児10人まで2人以上、10人を超えて5人ごとに1人追加)(2026年9月28日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|数字の扱いについて
本記事の算式と「契約25人・30人」「開業月に契約10〜15人・1日4〜6人」は、当事務所が開業計画で使う実務の目安で、統計ではありません。地域の児童数・競合・年齢層(未就学か就学か)・送迎の有無で大きく変わります。損益分岐の稼働率も事業所ごとに違うため、本記事では一律の数字を書いていません。自事業所の固定費と単位数から逆算してください(2026年9月28日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
開業計画の売上欄に「10人×22日」と書いてある計画書を見るたびに、「その10人は毎日同じ子ですか」と聞きます。答えはいつも「いえ」。定員は器で、契約者は水です。器を満たすには、器の2倍半の水が要る。その一言で、計画書の3か月目の資金繰りが書き直されます。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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