— 30秒でわかる結論 —
Q. 受給者証の支給量は、事業所が増やせますか?
増やせません。支給量は保護者の申請を受けて市町村が決定するもので、国の通知(平成28年3月7日障障発0307第1号)は「原則として各月の日数から8日を控除した日数」(30日の月は22日、31日の月は23日)を上限の目安としています。ただし市町村は要綱で独自の支給決定基準を定めることができ、児童発達支援10日・放デイ週2日といった区分を設けている市が多くあります。支給量は児童ごとに決まるため、複数の事業所を使う場合は合計が支給量に収まる必要があります。増やしたいときは、保護者が相談支援専門員と相談のうえ市町村に支給決定の変更申請を出し、新しい受給者証が届いてから事業所は利用日数を増やします。支給量を超えた日は給付費で請求できず、事業所が保護者に代わって申請することもできません(2026年9月28日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 保護者から「もっと通わせたい」と言われ、どう答えるべきか迷っている放デイ・児発の経営者・管理者の方
- 開業前に、契約者数と稼働率の計画を支給量から立てたい方
- 複数事業所を使う児童の請求で、支給量の確認手順を整えたい方
支給量は事業所ではなく市町村が決めます——原則は「各月の日数から8日を引いた日数」が上限
受給者証に書かれた支給量(1か月に利用できる日数)は、保護者の申請を受けて市町村が決定するもので、国の通知は「原則として各月の日数から8日を控除した日数を上限とする」と定めています(制度。厚生労働省「障害児通所支援の質の向上及び障害児通所給付費等の通所給付決定に係る留意事項について」平成28年3月7日障障発0307第1号(2026年9月28日確認))。30日の月なら22日、31日の月なら23日が「原則の日数」です。
この記事で分かることは、①支給量を決める仕組みと「原則の日数」、②市町村ごとの独自基準(週2日・10日など)があること、③支給量を増やしたいときの変更申請の流れ、④事業所がしてよいこと・してはいけないこと、⑤支給量と契約・請求の関係です。「うちの子をもっと通わせたい」という保護者の相談に、事業所が正確に答えられるようになることが目的です。
| 用語 | 意味 | 決める人 |
|---|---|---|
| 支給量 | 1か月に障害児通所支援を利用できる上限日数。受給者証に記載 | 市町村(通所給付決定) |
| 原則の日数 | 各月の日数−8日(30日の月は22日、31日の月は23日)。国の通知が示す上限の目安 | 国(通知) |
| 支給決定基準 | 市町村が独自に定める上限(例:児童発達支援は10日、放デイは週2日など) | 市町村(要綱・基準) |
| 利用契約 | 事業所と保護者の契約。週何回通うかは支給量の範囲内で決める | 事業所と保護者 |
| 請求 | 実際に利用した日数×単位数。支給量を超えた日は請求できない | 事業所→国保連 |
市町村ごとに「独自の基準」があります——23日が上限とは限らない
国の「原則の日数」はあくまで上限の目安で、市町村は支給決定基準を要綱で定め、児童の状況に応じてそれより少ない日数を標準にしていることが多いです(制度・運用。例:前橋市・高崎市・天理市の支給決定基準は児童発達支援10日、放デイ10日や5日などの区分を設けている(2026年9月28日確認))。尼崎市のように「当該月日数−8日」を基準最大支給量とする市もあります。
- 年齢や在籍で分ける市:未就学児は週2日、小学生は週3日以内、中高生は週4日以内、といった区分。
- 複数事業所を使う場合:支給量は「児童ごと」に決まり、事業所ごとではありません。A事業所で15日、B事業所で10日なら、合計25日が支給量に収まっている必要があります。
- 保育所・幼稚園との併用:児童発達支援は、保育所等の利用状況で日数を制限する市と、制限を撤廃した市があります(平塚市は2023年12月に制限を撤廃(2026年9月28日確認))。
千葉県内でも市町村ごとに基準が違います。松戸市・市川市・流山市などの具体的な基準は、各市の障害福祉担当課の要綱で確認してください(当事務所は本記事では各市の日数を書きません。要確認)。
支給量を増やしたいとき——「支給決定の変更申請」を保護者が市町村に出します
支給量を増やすには、保護者が市町村に支給決定の変更申請を行い、市町村が児童の状況・保護者の状況・障害児支援利用計画案を勘案して決め直します(制度。児童福祉法第21条の5の8(2026年9月28日確認))。事業所が申請することはできません。
- 相談支援専門員に相談(セルフプランの場合は保護者自身が)。利用計画案に「なぜ日数を増やす必要があるか」を書く。
- 市町村に変更申請。必要に応じて聞き取り(勘案事項の調査)。
- 市町村が決定し、受給者証を差し替え。決定までの期間は市町村によって異なる(実務の目安:2週間〜1か月程度。要確認)。
- 事業所は新しい受給者証を確認してから、増えた日数分の利用契約と請求を行う。
決定前に「増える前提」で受け入れると、その日は請求できず、事業所の持ち出しになります。受給者証の差し替えを見てから増やすが鉄則です(実務)。
— この段階でご相談いただく理由 —
「支給量を増やしてほしい」と保護者に言われたとき、事業所が市に代わって説明したり、必要以上の日数を勧めたりすると、運営指導で問題になります。当事務所は運営中の事業所向けの無料診断で、支給量の扱い・契約書の日数の書き方・複数事業所利用時の確認手順を点検します。
準備物:現在の利用契約書の様式、受給者証の写し(個人情報を消したもの)、よくある保護者からの相談内容。60分の無料相談 →
事業所がしてよいこと・してはいけないこと
| 場面 | してよい | してはいけない |
|---|---|---|
| 保護者から「日数を増やしたい」と相談された | 変更申請の流れと相談先(市町村・相談支援)を案内する。事業所として通所の必要性を相談支援専門員に情報提供する | 事業所が保護者に代わって申請する。「うちに通わせるために」必要以上の日数を勧める |
| 支給量を超える利用の希望 | 超える日は自費(契約外)になることを説明し、書面で合意する | 支給量を超えた日を給付費で請求する(過誤・返還の対象) |
| 他の事業所との併用 | 受給者証で支給量と他事業所の利用状況を確認し、上限額管理の要否を確認する | 他事業所の利用日数を確認せずに契約する |
| 受給者証の有効期間・支給量の変更 | 更新時期を保護者に知らせる。新しい受給者証の写しをもらう | 古い受給者証のまま請求を続ける |
支給量は「事業所の売上の上限」でもあります。定員10名の放デイで、契約者全員の支給量が週2日なら、平日に10名を埋めるには25人以上の契約が必要です。支給量の分布を見ずに稼働率の計画を立てると、開業後に「契約はあるのに席が空く」状態になります(当事務所の見解。詳しくは定員10名なのに1日7人)。
📗 利用者負担の上限と上限額管理は放デイ・児発の利用者負担は上限月額まで、定員超過のラインは定員超過の受け入れは原則禁止にまとめています。
参考にした一次資料
- 厚生労働省「障害児通所支援の質の向上及び障害児通所給付費等の通所給付決定に係る留意事項について」平成28年3月7日障障発0307第1号(原則として各月の日数から8日を控除した日数を上限)※富山県「障害者自立支援給付支払等システムに係るQ&A」に引用(2026年9月28日確認)
- e-Gov法令検索「児童福祉法」第21条の5の7(通所給付決定)・第21条の5の8(通所給付決定の変更)(2026年9月28日確認)
- 尼崎市「障害児通所支援事業の支給決定基準」(基準最大支給量=当該月日数−8日)(2026年9月28日確認)
- 前橋市「障害児通所給付費支給決定基準」(児童発達支援・放デイの基準支給量の例)(2026年9月28日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の市町村の基準は各市で確認を
支給量を決めるのは指定権者(県)ではなく、児童が住む市町村です。松戸市・市川市・流山市・柏市・千葉市など、それぞれの障害福祉担当課が支給決定基準を持っており、日数や区分は市ごとに違います。本記事では各市の日数を書いていません(要確認)。事業所は、契約する児童の受給者証で支給量と有効期間、他事業所の利用状況を確認し、市ごとの基準は保護者と相談支援専門員を通じて確認してください(2026年9月28日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
「支給量を増やしてあげたいんです」という事業所の気持ちは分かります。でも決めるのは市で、申請するのは保護者です。事業所ができるのは、必要性を正確に伝える材料を用意すること。それ以上をやると、善意が運営指導の指摘に変わります。線を引いておくと、保護者にも職員にも説明しやすくなります。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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