— 30秒でわかる結論 —

Q. 障害福祉の事業所も、10月からカスハラ対策をしないといけないのですか?

はい。改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、カスタマーハラスメントを防ぐための雇用管理上の措置が事業主の義務になります。厚生労働省は、カスハラを「顧客等の言動で、社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するもの」と整理し、電話やSNSも含むとしたうえで、「顧客等」に福祉施設などの利用者を含めています。ただし障害福祉では、政府広報が注意を促しているとおり、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供義務にも配慮が必要です。障害特性による行動は多くの場合支援の対象であり、支援の範囲を超えた要求や、家族などからの威圧的な言動と分けて考えます。措置の具体的な項目は厚生労働省の指針で確認してください(2026年9月22日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 障害福祉の事業所を運営していて、10月1日の施行に備えたい方
  • 利用者やご家族からの言動に職員が困っている事業所の方
  • 運営規程や契約書をどう見直せばよいか知りたい方

10月1日から、カスハラ対策は「事業主の義務」です

改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、カスタマーハラスメントを防ぐための雇用管理上の措置が事業主の義務になります(制度。政府広報オンライン。2026年9月22日確認)。法改正は2025年6月に行われ、パワハラ防止と同じ法律の枠組みにカスハラが加わった形です。

厚生労働省の資料では、カスハラを顧客等の言動で、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものと整理し、電話やSNSなどインターネット上の言動も含まれるとしています。そして「顧客等」の例として、施設(病院、学校、福祉施設など)の利用者を挙げています。

押さえる点内容
施行日2026年10月1日
根拠改正労働施策総合推進法と、厚生労働省の指針
対象になる言動社会通念上許容される範囲を超え、就業環境を害するもの。対面だけでなく電話・SNSも
顧客等顧客、取引の相手方、福祉施設などの利用者、今後サービスを利用する可能性のある人も
当たらないもの正当な苦情や要望など、社会通念上許容される範囲の申入れ

つまり障害福祉の事業所も、利用者やご家族からの著しい迷惑行為から職員を守る体制を、法律上の義務として整えることになります。

障害福祉では「合理的配慮」と分けて考えます

ここが、障害福祉のカスハラ対策でいちばん難しいところです。政府広報オンラインは、カスハラ対策を講じるにあたって、障害者差別解消法に定める「障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供義務」にも注意が必要だと明記しています。

障害福祉の事業所には、障害の特性から、大きな声を出す、同じ質問を繰り返す、職員に強く当たる、といった行動が見られる方が利用されています。その行動は、多くの場合「支援の対象」です。カスハラの名のもとに利用をお断りすれば、差別的取扱いの問題になりかねません。

場面まず考えること
障害特性による行動(大声・こだわり・他害など)支援の対象。アセスメントと個別支援計画、支援会議で扱う
支援の範囲を超えた要求(契約外のサービス、特定職員の指名の強要など)重要事項説明書・契約書の範囲を説明し、管理者が対応を引き取る
家族・関係者からの威圧的な言動、長時間の拘束カスハラの可能性。記録し、複数名で対応し、職員を1人にしない

— この段階でご相談いただく理由 —

カスハラ対策の方針は、運営規程・重要事項説明書・契約書の契約解除の条項とつながって初めて機能します。「職員を守る」と書いても、契約上の手順がなければ実際には動けません。逆に、手順だけ厳しくすると、障害特性への配慮を欠いた運用になります。10月1日の施行前に、書類の側を点検しておくのが安全です。

<ご相談時にお持ちいただくもの>運営規程/重要事項説明書・契約書/これまでの対応に困った事例の記録(個人が特定されない形で)。60分無料相談はこちら

事業所で整えること

事業主が講ずべき措置の具体的な項目は、厚生労働省の指針で定められています(項目の詳細は指針・リーフレットで必ず確認してください)。障害福祉の事業所の実務に置き換えると、次の4つの柱で整えるのが分かりやすいと考えています。

  • 方針を決めて周知する——カスハラには組織として対応し、職員を守るという方針を明文化し、職員に周知する。
  • 相談の窓口と体制——職員が1人で抱えない。相談先、報告の流れ、管理者が引き取る基準を決める。
  • 起きたときの対応——事実の確認、複数名での対応、記録。必要に応じて、契約・利用の見直しを手順に沿って検討する。
  • 研修と振り返り——対応方法を研修で共有し、実際の事例から手順を直す。

障害福祉の事業所は、すでに虐待防止委員会や研修の仕組みを持っています。カスハラ対策も、虐待防止と同じ定例会議の中で扱うと、記録も研修も続けやすくなります。職員を守る仕組みと、利用者を守る仕組みを、同じテーブルで点検するイメージです。

📗 虐待防止・BCPなど運営体制の減算の点検は知らないうちに減算されていませんかに、開設後の届出は開設後の届出カレンダーにまとめています。

書類で見直すところ

書類見直す点
運営規程・重要事項説明書サービスの範囲、苦情の受付窓口、緊急時の対応。カスハラへの基本姿勢を書くか検討
利用契約書契約解除の事由と手順。事前の説明、改善の機会、相談支援専門員との連携を含めて慎重に
就業規則・社内規程相談窓口、対応の手順、職員の保護(就業規則の作成・変更は社会保険労務士の業務)
記録様式日時・言動・対応者・その後の対応。苦情受付記録や事故報告と同じ様式で残す

契約解除は最後の手段です。障害福祉のサービスには正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないという考え方があり、解除する場合も、その理由と経過を説明できる記録が欠かせません。「困った人を切る」ための規程ではなく、「職員が安心して支援を続けられる」ための規程として作るのが、障害福祉のカスハラ対策の要だと感じています。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の事業所が確認しておくこと

カスハラ対策は労働法の分野の義務で、障害福祉の指定権者(千葉県・千葉市・船橋市・柏市など)への届出は、現時点では確認できていません。一方で、運営指導では苦情受付記録・事故報告・虐待防止委員会の議事録などが確認されます。カスハラの記録も苦情受付記録と同じ様式・同じ保管場所にしておくと、運営指導の場面で説明しやすくなります。就業規則や社内規程の整備は社会保険労務士、契約解除など個別の紛争は弁護士の業務です。当事務所では、運営規程・重要事項説明書・契約書の見直しと、定例会議に組み込む手順づくりをお手伝いしています(2026年9月22日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

前職の人事で、ハラスメントの相談窓口を担当していた時期がありました。そのとき学んだのは、規程より先に「職員が1人で抱えなくていい」と分かる仕組みが効くということです。障害福祉では、そこに「利用者の障害特性を理解する」という一枚が加わります。守る相手が2人いる、というのがこの分野の難しさであり、大事なところだと思っています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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