— 30秒でわかる結論 —
Q. 延長支援加算で医療的ケア児に延長支援をするとき、看護職員は延長支援時間帯を通じて配置しなければいけませんか?
延長の時間まで看護職員を残せず、延長支援加算を算定できるのか迷っている方へ。こども家庭庁のQ&Aは、延長支援時間を含むすべての支援時間帯を通じて常に看護職員を1以上配置することまで求めるものではない、としています。ただし、必要な医療的ケアを適時適切に提供できる体制を確保する必要があります(Q&A VOL.6 問6・令和6年7月1日(2026年10月20日確認))。
この記事は制度の解説です。運営中の事業所の顧問・相談窓口は、料金と流れを専用のページでご案内しています。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 医療的ケア児の保護者から延長を頼まれたが、延長の時間まで看護職員を残せず迷っている放デイ・児発の管理者・児発管の方
- 医療機関や訪問看護との連携で、延長支援加算の看護職員の配置とみなせるのか確かめたい方
- 運営指導の前に、延長の日の看護の体制をどう記録しておけばよいか知りたい方
ご相談いただくと、こう進みます
- 最初の30分の無料相談で、延長支援をする医療的ケア児と延長の日の勤務表を並べ、看護職員がいない時間がないかを一緒に見ます
- ご依頼後は、子どもごとのケアの内容と連携先・呼び出しの手順を1枚にまとめ、指定権者に確かめる点を整理します
- その後は、看護職員の入れ替わりや延長の曜日が変わるときに、同じ表で体制を見直します
「医療的ケア児の延長支援をするなら、延長の時間ずっと看護師を置かないといけない?」と迷っている方へ。Q&Aは「常に1以上配置することまでは求めない」、ただし医療的ケアを適時適切に出せる体制は要る、としています
放課後等デイサービスや児童発達支援で、医療的ケアが必要な子の保護者から、帰りを遅くしてほしいと頼まれた。延長支援加算を算定したい。でも、延長の時間帯まで看護職員に残ってもらうシフトが組めない。ここで止まる事業所は少なくないはずです。国のQ&Aにも、ほぼそのままの質問が載っています。「医療的ケア児に対する延長支援を行う場合に1以上配置する必要がある看護職員等については、延長支援時間帯を通じて配置する必要があるのか。」
答えはこうです。当該配置については、医療的ケア児に対して、必要な医療的ケアを提供できる体制を求めているものである。そのため、延長支援時間を含むすべての支援時間帯を通じて常に看護職員を1以上配置することまで求めるものではない、とされています(制度。こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A」VOL.6 問6・令和6年7月1日(2026年10月20日確認))。
ただし、同じ答えの続きに条件があります。医療的ケア児に対して安全に延長支援が行えるよう、必要な医療的ケアを適時適切に提供できる体制を確保する必要があることに留意すること(同)。「置かなくてよい」ではなく、「置き方は問わないが、ケアが要るときに間に合う体制を示せること」と読むのが自然です(当事務所の見解)。
延長支援加算の配置の決まり——従業者の数と、その中の看護職員
延長支援加算とは、通所支援計画に定める標準的な発達支援時間が5時間の障害児について、その前後の時間帯に、あらかじめ計画に位置づけた延長支援を行った場合に算定する加算です(制度。留意事項通知 ⑮(一)ア。令和8年5月28日の最終改正の新旧対照表で改正後・現行とも同文(2026年10月20日確認))。放課後等デイサービスも、この⑮を準用します。ただし、延長の前提になる支援時間は、Q&Aでは「5時間(放デイ平日は3時間)」と書かれています(制度。こども家庭庁 Q&A VOL.3 問2・令和6年5月2日(2026年10月20日確認))。
| 確かめること | 留意事項通知の決まり(原文から) | 根拠 |
|---|---|---|
| 延長支援時間の従業者の数 | 障害児の数が10人以下の場合は、2人以上の従業者。10人を超える場合は、2人に、10人を超えて10人又はその端数を増すごとに1人を加えて得た数以上(例:障害児の数が23人の場合は4名) | ⑮(一)オ |
| そのうちの1人 | 1人以上は、指定通所支援基準の規定により配置することとされている従業者(児童発達管理責任者を含む。) | ⑮(一)オ |
| 医療的ケア児に延長支援を行うとき | オの従業者の配置のうち、看護職員を1名以上配置 | ⑮(一)カ |
| 喀痰吸引等だけが必要な子だけのとき | 看護職員には、認定特定行為業務従事者を含む | ⑮(一)カ |
| 延長支援時間の長さ | 1時間以上で設定。前後ともに延長するときは、前後いずれも1時間以上。送迎時間は含まれない | ⑮(一)ウ |
| 営業時間 | 運営規定に定める営業時間が6時間以上 | ⑮(一)キ |
(制度。留意事項通知 ⑮延長支援加算の取扱い(一)(2026年10月20日確認))。営業時間が8時間以上で、営業時間の前後の時間に支援をする区分(⑮(二))にも、同じように「2人以上の従業者」と「看護職員を1名以上」の定めがあります(同 (二)エ・オ)。
つまり、看護職員は「延長の時間帯に別枠で足す人」ではなく、2人以上の従業者の数の中に入る1人として書かれています。そのうえでQ&A VOL.6 問6が、すべての時間帯を通じて常に配置することまでは求めない、と補っている形です(当事務所の見解)。
「体制がある」とはどういう状態か——問5と問6をあわせて読む
ひとことで言うと、医療的ケアが必要になったときに、誰が・どう対応するかが決まっていて、それを書類で示せる状態です。同じQ&Aの問5は、医療機関等との連携などにより、必要な医療的ケアが提供できる体制がある場合には、看護職員等を配置しているものとみなしてよいか、という問いに「貴見のとおり。」と答えています(制度。Q&A VOL.6 問5(2026年10月20日確認))。
問5は「連携で配置とみなせる」、問6は「すべての時間帯を通じて常にまでは求めない」。2つを並べると、国が見ているのは人の数そのものより、ケアが要る場面で間に合うかどうかだと分かります。逆に言えば、延長の時間帯に看護職員がいない日に、たんの吸引が必要になったら誰が対応するのか、説明できない状態では「体制がある」とは言いにくいはずです(当事務所の見解)。
— この段階でご相談いただく理由 —
延長の日の勤務表と、医療的ケア児ごとのケアの内容を並べて、看護職員がいない時間に何が起きたら誰が動くのかを一緒に書き出します。運営指導で聞かれたときに見せられる形にまとめます。
体制を説明できる記録——延長の日ごとに残す5つの欄
結論として、延長支援の日の勤務表と、医療的ケアの対応の手順を、子どもごとに1枚で見られるようにしておくと説明しやすくなります。従業者は障害児に提供した延長支援時間を記録することとされています(制度。留意事項通知 ⑮(一)ク(2026年10月20日確認))。その記録の横に、看護の体制の欄を足すイメージです。
| 欄 | 書き方の例(当事務所の見解) |
|---|---|
| 子どもと必要な医療的ケア | 子どもごとに、延長の時間帯に必要になりうるケア(例:喀痰吸引、経管栄養)を書く。喀痰吸引等だけかどうかで、認定特定行為業務従事者で足りるかが変わる |
| 延長支援時間と従業者 | 延長の開始・終了の時刻と、その時間帯にいた従業者の名前・職種。2人以上と、基準上の従業者1人以上を満たしているか |
| 看護職員がいる時間・いない時間 | 看護職員の勤務の終わりの時刻。いない時間があるなら、その間の対応者(認定特定行為業務従事者など) |
| 連携先と呼び出しの手順 | 医療機関・訪問看護などの連携先、連絡先、連絡してから対応できるまでの流れ。取り決めの書面があれば保管場所 |
| 保護者・計画との一致 | 延長支援を必要とする理由と延長支援時間を通所支援計画に位置づけ、保護者の同意を得ているか |
(制度上の根拠は、留意事項通知 ⑮(一)イ・オ・カ・ク、Q&A VOL.6 問5・問6。右の列は当事務所が例を書いたもので、様式が決まっているわけではありません(2026年10月20日確認))。延長支援加算そのものの算定の条件と、計画・記録・請求をそろえる考え方は延長支援加算の単位と計画・記録の一致に、加算の基本は延長支援加算とはに書いています。
計画に位置づけていない日に、急な預かりの必要で延長した場合も算定はできますが、この場合には、急な延長支援を必要とした理由及び延長支援時間について記録を行うこととされています(制度。留意事項通知 ⑮(一)イ(2026年10月20日確認))。医療的ケア児の急な延長は、看護の体制がその日に整っているかを先に確かめてから受けるのが安全です(当事務所の見解)。
Q&Aに書いていないこと——ここは指定権者に確かめる
結論として、次の3つは今回読んだ留意事項通知とQ&Aには書かれていません。1つ目は、医療機関等との「連携」として、どこまでの取り決めがあればよいかです。契約書が要るのか、連絡先と手順の書面で足りるのか、Q&Aは決めていません(要確認)。
2つ目は、看護職員がいない時間がどのくらいまでなら「適時適切に提供できる体制」と言えるかです。時間の長さで線を引いた資料は見当たりませんでした(要確認)。3つ目は、体制を届け出るときや運営指導のときに、どの書類で確かめるかです。指定権者によって求める書類が違うことがあります(要確認)。
同じように「常勤で配置」の読み方が問われる場面は、専門的支援体制加算の専門職員が欠勤・有休のときにもまとめています。保護者が支援の場面を見ながら相談を受ける加算の決まりは子育てサポート加算は支援後にまとめて相談では算定できないに書いています。
人事を15年やってきた身からすると
看護職員の採用でいちばん難しいのは、夕方以降の時間帯です。日中だけなら来てくれる人はいても、延長の時間まで毎日となると、とたんに応募が細ります。Q&Aが「常に1以上まで求めない」としているのは、この事情にも合っていると思います。だからこそ、看護職員に毎日残ってもらう前提でシフトを組むより、看護職員がいる曜日・いない曜日を先に決めて、いない日は延長を受けない、連携先に頼める日だけ受ける、と保護者に最初から説明しておくほうが、職員も事業所も長く続きます(当事務所の見解)。
医療的ケア児を受け入れるときの全体の準備は医療的ケア児を受け入れる児発・放デイにまとめています。
地域差分——国の基準と、指定権者の運用
延長支援時間の従業者の数、医療的ケア児に延長支援を行うときの看護職員の配置、喀痰吸引等だけの子だけのときの認定特定行為業務従事者の扱い、Q&A VOL.6 問5・問6の答えは、国の留意事項通知とこども家庭庁のQ&Aによる全国共通の取扱いです。
連携の取り決めをどの書類で確かめるか、体制の届出に何を付けるかは、指定権者ごとに違うことがあります。当事務所の台帳には、この点を指定権者の原典で確かめた登録がまだありません。お住まいの指定権者の届出の手引きで確認してください(2026年10月20日確認)。
今日やること——3つだけ
まず、延長支援をしている、またはこれから始める医療的ケア児を書き出し、延長の時間帯に必要になりうるケアを子どもごとに1行で書きます。で、延長の日の勤務表に看護職員の勤務の終わりの時刻を書き込み、いない時間に誰が対応するかを決めます。最後に、連携先の連絡先と呼び出しの手順を1枚にして、延長の記録と同じファイルに綴じます。この3つで、「たぶん大丈夫」が「この体制です」と説明できる状態に変わります。
参考にした一次資料
- こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.6」(令和6年7月1日。問5・問6)(2026年10月20日確認)
- こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援)に関するQ&A VOL.3」(令和6年5月2日。延長支援加算 問2)(2026年10月20日確認)
- 「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(⑮延長支援加算の取扱い。令和8年5月28日最終改正の新旧対照表。船橋市の令和8年度報酬改定ページに掲載)(2026年10月20日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|届出の前に確かめること
延長支援加算の体制の届出や、医療的ケア児の受け入れの届出に何を付けるかは、指定権者の手引きで確かめます。連携先との取り決めを書面にしておくと、届出のときも運営指導のときも同じ資料で説明できます(2026年10月20日確認)。
※2026年10月20日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
延長支援の看護職員の決まりは、「置けないから無理」と早めにあきらめてしまいやすいところだと思います。Q&Aを読むと、国は人の数そのものより、ケアが要るときに間に合うかを見ています。まずは延長の日の勤務表に、看護職員がいない時間を書き出すところから始めてみてください。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/2級FP技能士(AFP)/国家資格キャリアコンサルタント。
障害福祉・障害児支援とNPO法人を専門にしています。放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援A型・B型・グループホーム(共同生活援助)などの指定申請、処遇改善加算・変更届・指定更新・運営指導(実地指導)への対応を支援します。NPO法人は、設立認証から事業報告書・役員変更などの運営まで支援します。
企業人事15年の経験を土台に、児発管・サビ管の採用・定着、融資・補助金や資金繰りまで、「書類・人・お金」を一体で支えます。