— 30秒でわかる結論 —
Q. 目標工賃達成加算を算定するには、工賃向上計画の目標工賃をいくら以上にすればよいですか?
計画シートに書く目標工賃の額で迷っている方へ。目標は、前年度の事業所の平均工賃月額に全国平均の増加額を足した額以上が必要で、令和8年度の目標なら前年度実績を1,492円以上上回る額です。目標工賃達成指導員配置加算の算定が前提で、目標を実際に達成することも要件です(厚生労働省 事務連絡・令和8年3月24日、Q&A VOL.3 問13(2026年10月23日確認))。
この記事は制度の解説です。運営中の事業所の顧問・相談窓口は、料金と流れを専用のページでご案内しています。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 千葉県に出す工賃向上計画シートの目標工賃を、いくらと書けばよいか迷っている就労継続支援B型の管理者・サービス管理責任者の方
- 目標工賃達成指導員を置いていて、目標工賃達成加算も取れるのか確かめたい方
- 令和8年3月の全国平均の修正で、目標の下限が変わったと聞いて計算し直したい方
ご相談いただくと、こう進みます
- 最初の30分の無料相談で、前年度の平均工賃月額と計画シートの目標を一緒に見て、下限を超えているかを確かめます
- ご依頼後は、体制届と計画シートの数字をそろえ、指定権者に確かめる点を整理します
- その後は、毎年度の実績が出たときに、同じ計算で翌年度の目標の下限を見直します
「工賃向上計画シートの目標工賃、いくらと書けば目標工賃達成加算の対象になる?」と迷っている方へ。目標は「前年度の平均工賃月額+全国平均の増加額」以上。いま立てる令和8年度の目標なら、前年度実績を1,492円以上上回る額です
就労継続支援B型で、目標工賃達成指導員を置いている。千葉県に出す工賃向上計画シートに目標工賃を書く欄がある。県の目標額を書けばよいのか、前年より少し上なら足りるのか。ここで手が止まる事業所は少なくないはずです。国のQ&Aにも、加算の関係を確かめる質問が載っています。
「目標工賃達成指導員配置加算を算定している事業所が、目標工賃達成加算を算定できるということか。」答えは「貴見のとおり。」で、目標工賃達成加算を算定するにあたっては、目標工賃達成指導員配置加算を算定していることが要件となる、とされています(制度。厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.3」問13・令和6年5月10日(2026年10月23日確認))。
そのうえで、立てる目標の額には下限があります。目標年度の前年度の事業所の平均工賃月額に、全国平均工賃月額の増加額を足した額以上でなければなりません。この増加額は、令和8年3月24日の厚生労働省の事務連絡で変わりました。令和8年度において、前年度実績を1,492円以上上回る目標を達成すること、が令和9年度の加算の要件です(制度。厚生労働省 事務連絡「過年度における平均賃金月額及び平均工賃月額の修正について」(2026年10月23日確認))。
目標工賃達成加算とは——前提の加算と、2つの要件
目標工賃達成加算とは、目標工賃達成指導員配置加算を算定する就労継続支援B型が、都道府県の工賃向上計画に基づいて自らも工賃向上計画を作り、その計画に掲げた工賃目標を達成した場合に算定する加算です(制度。留意事項通知 ⑱ア、Q&A VOL.1 問58(2026年10月23日確認))。
| 確かめること | 原文から | 根拠 |
|---|---|---|
| 前提の加算 | 目標工賃達成指導員配置加算を算定していることが要件となる | Q&A VOL.3 問13 |
| 前提の加算の配置 | 目標工賃達成指導員を常勤換算方法で1人以上配置し、当該目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が利用者の数を5で除して得た数以上 | 留意事項通知 ⑰ |
| 要件1(目標の額) | ①≧③+(④-⑤)。①工賃目標、③目標年度の前年度の事業所の平均工賃月額(実績)、④目標年度の2年度前の全国平均工賃月額、⑤3年度前の全国平均工賃月額。④-⑤が0未満なら0として計算 | Q&A VOL.1 問58 |
| 要件2(達成) | ②≧①。②目標年度の事業所の平均工賃月額(実績) | Q&A VOL.1 問58 |
(制度。厚生労働省 Q&A VOL.1 問58・令和6年3月29日、Q&A VOL.3 問13、留意事項通知 ⑰⑱。留意事項通知は厚生労働省の令和8年度報酬改定のページに掲載の新旧対照表で、⑰⑱は改正後・現行とも同文(2026年10月23日確認))。
ポイントは、要件1が「目標の立て方」の条件だということです。実績が目標を上回っても、目標そのものが低すぎれば対象外になります(当事務所の見解)。
計算の分解——国の例で、どこで対象外になるかを見る
結論として、通知の例では「目標を低く立てて、実績で大きく超えた」ケースが対象外になっています。次の表は、留意事項通知とQ&Aにある例を並べたものです。
| 例 | 前年度の実績 | 全国平均の増加額 | 工賃目標 | 実績 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 通知の例A | 13,000円 | 524円 | 15,000円 | 15,500円 | 加算 |
| 通知の例B | 13,000円 | 524円 | 13,100円 | 15,500円 | 対象外(目標が増加額524円以上上回っていない) |
| 通知の例C | 13,000円 | 524円 | 15,000円 | 14,000円 | 対象外(工賃目標未達成) |
| Q&Aの例一 | 17,000円 | 731円 | 17,731円以上 | 目標を達成 | 加算の算定が可能 |
| Q&Aの例二 | 17,500円 | 524円 | 18,024円以上 | 目標を達成 | 加算の算定が可能 |
(制度。留意事項通知 ⑱イの例、Q&A VOL.1 問58 例1・例2(2026年10月23日確認))。通知の例Bは、実績15,500円で目標を大きく超えています。それでも、工賃目標が、前々年度の全国平均工賃月額と前々々年度の全国平均工賃月額との差額(524円)以上となっていないことから加算対象外、とされています。Q&A 例2の524円は、全国平均工賃月額の17,031円と16,507円の差です(同)。
なお、留意事項通知は、足した額が前年度の平均工賃月額を下回る場合には、前年度の平均工賃月額以上であればよい、と書いています(留意事項通知 ⑱イ)。全国平均が下がった年でも、前年度の実績より下の目標は立てられない、という意味です(当事務所の見解)。
令和8年3月の修正——全国平均が直され、増加額が変わった
ひとことで言うと、令和5年度の全国平均工賃月額が23,053円から22,649円に直され、加算の目標の下限が変わりました。修正の理由は、全国値を集計する際、一部の事業所のデータが除外されていたことによる修正、と事務連絡は書いています(制度。厚生労働省 事務連絡・令和8年3月24日(2026年10月23日確認))。
| 加算の年度 | 目標を立てる年度 | 修正前 | 修正後 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 令和7年度 | 前年度実績を6,022円以上上回る目標 | 前年度実績を5,618円以上上回る目標 |
| 令和9年度 | 令和8年度 | 前年度実績を1,088円以上上回る目標 | 前年度実績を1,492円以上上回る目標 |
(制度。厚生労働省 事務連絡・令和8年3月24日、愛知県の通知(令和8年3月27日)の表で同じ数字を確認(2026年10月23日確認))。令和8年度の目標の基準は、厚生労働省の公表では、令和6年度の全国平均24,141円と、修正後の令和5年度22,649円です(厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」(2026年10月23日確認))。
令和7年度の目標の増加額が5,618円と大きいのは、計算の方式の切り替えと重なっているためと読めます。令和4年度までは「工賃支払対象者数」を分母に用いた計算方式、令和5年度からは「一日当たりの平均利用者数」を分母に用いた新しい計算方式による平均工賃月額が反映されている、と厚生労働省は注記しています(同)。全国平均の差は、方式の違いをまたいだ差になります(当事務所の見解)。
事務連絡は、令和9年度以降については次期報酬改定により変更が有り得るので留意すること、とも書いています(事務連絡)。令和8年度の目標の1,492円は、令和9年度の加算に使う数字です。令和8年度の見直しの全体は就労継続支援B型の令和8年度見直しに、基本報酬区分の見直しは令和8年6月の基本報酬区分の見直しに書いています。
— この段階でご相談いただく理由 —
前年度の平均工賃月額を計算し直し、計画シートの目標が下限を超えているかを一緒に確かめます。体制届と計画シートの数字がそろっているかも見ます。
千葉県の工賃向上計画シートで書くときの注意——参考欄の全国平均は修正前の数字
結論として、千葉県の令和8年度提出様式の参考欄には、全国の平均工賃(令和5年度 23,053円)と書かれています。これは修正前の数字です。目標の下限を自分で計算するときは、修正後の22,649円を使うのが筋です(当事務所の見解。千葉県「工賃向上計画シート(B型)」令和8年度提出様式(2026年10月23日確認))。
参考欄の23,053円のまま令和6年度の24,141円との差をとると、1,088円になります。これは事務連絡の「修正前」の数字と同じで、修正後の1,492円より小さい額です。この差のまま目標を立てると、目標が低すぎて要件1を満たさないおそれがあります(当事務所の見解)。千葉県の取扱いは県に確認してください(要確認)。
| シートの欄 | 書くときに確かめること(当事務所の見解) |
|---|---|
| D 千葉県の目標工賃 | 令和6年度 16,185円、令和7年度 16,592円、令和8年度 17,000円。勘案する項目の1つで、加算の下限とは別のもの |
| (参考)全国の平均工賃 | 令和5年度 23,053円は修正前。修正後は22,649円(厚生労働省の公表) |
| (参考)千葉県の平均工賃 | 令和5年度 20,932円。都道府県毎の平均工賃月額には修正がないと事務連絡は書いている |
| ⑫平均工賃月額 | ⑦÷⑩÷⑪。⑩は1日あたりの平均利用者数(⑧÷⑨)。分母を「工賃を払った人の数」で計算しない |
| 目標工賃達成指導員の有無 | 前提の加算を算定しているかと合わせる。無しのままでは目標工賃達成加算は算定できない(Q&A VOL.3 問13) |
(千葉県「工賃向上計画シート(B型)」令和8年度提出様式、千葉県工賃(賃金)向上計画(令和6年度から令和8年度)、厚生労働省 事務連絡・令和8年3月24日(2026年10月23日確認))。シートの注は、目標額は、国の指針(平成24年4月11日障発0411第4号)に基づき、各事業所の前年度の平均工賃実績や千葉県の目標工賃などを勘案して設定すること、としています(同)。
平均工賃月額そのものの育て方は就労継続支援B型の平均工賃月額にまとめています。
財務の目で見ると
目標工賃の欄は、願望を書く欄ではなく、売上と経費から逆算して書く欄だと考えています。シートは①売上総額から②経費総額を引いて工賃総額を出す形です。目標を前年度実績+1,492円以上にするなら、その分の工賃総額を、どの作業の売上を何割伸ばして生むのかを先に決めます。逆算できない目標は、達成できずに要件2で落ちます。加算のために目標だけ上げるのではなく、売上の見込みと同じ表で決めるのが、資金繰りの面でも安全です(当事務所の見解)。
今回の資料に書いていないこと——ここは確かめる
ひとことで言うと、次の3つは今回読んだ資料では確かめられませんでした。1つ目は、千葉県の計画シートの提出期限と、修正に合わせて令和7年度の目標を見直した計画を受け付けるかどうかです。愛知県は受け付けると通知していますが、千葉県の案内は確認できていません(要確認)。
2つ目は、目標工賃達成加算の単位数です。今回は報酬告示を読んでいないため書いていません(要確認)。3つ目は、千葉市・船橋市・柏市など、市が指定権者の事業所の体制届の扱いです。お住まいの指定権者の案内で確かめてください(要確認)。
地域差分——国の基準と、千葉県の様式
目標工賃達成加算の要件、目標の下限の計算、令和8年3月の全国平均の修正は、国の留意事項通知・Q&A・事務連絡による全国共通の取扱いです。
千葉県は、工賃向上計画シート(B型)を令和8年度提出様式として掲載しています。参考欄の全国平均は修正前の数字です。提出期限と、修正に伴う計画の見直しの受付は、県の案内で確認してください(2026年10月23日確認)。
今日やること——3つだけ
まず、令和7年度の平均工賃月額を、⑦支払工賃総額÷⑩1日あたりの平均利用者数÷⑪年間開所月数で計算し直します。で、その額に1,492円を足し、計画シートに書いた令和8年度の目標がそれ以上かを確かめます。最後に、目標工賃達成指導員配置加算の体制届が出ているか、配置の人数が利用者の数を5で除して得た数以上かを見ます。この3つで、「たぶん大丈夫」が「この数字で要件を満たします」と言える状態に変わります。
参考にした一次資料
- 厚生労働省 事務連絡「過年度における平均賃金月額及び平均工賃月額の修正について」(令和8年3月24日。尼崎市掲載)(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日。問58)(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.3」(令和6年5月10日。問13)(2026年10月23日確認)
- 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」新旧対照表(⑰⑱)(2026年10月23日確認)
- 厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」(平均工賃(賃金)月額の実績について)(2026年10月23日確認)
- 愛知県「過年度における平均賃金月額及び平均工賃月額の修正について(通知)」(令和8年3月27日)(2026年10月23日確認)
- 千葉県「工賃向上計画シート(B型)」令和8年度提出様式(2026年10月23日確認)
- 千葉県「千葉県工賃(賃金)向上計画(令和6年度から令和8年度)」(2026年10月23日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で確かめること
工賃向上計画シートの提出先・期限と、目標工賃達成加算の体制届の出し方は、指定権者の案内で確かめます。千葉県のページは「障害者総合支援法に基づく事業者の皆様へ」の「3.工賃向上計画について」です(2026年10月23日確認)。
※2026年10月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
目標工賃達成加算は、目標を「達成できそうな額」で書きたくなる加算だと思います。でも、通知の例のとおり、低い目標は実績で取り返せません。まずは前年度の平均工賃月額を計算し直して、1,492円を足すところから始めてみてください。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 人事・財務アドバイザー(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/2級FP技能士(AFP)/国家資格キャリアコンサルタント。
障害福祉・障害児支援とNPO法人を専門にしています。放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援A型・B型・グループホーム(共同生活援助)などの指定申請、処遇改善加算・変更届・指定更新・運営指導(実地指導)への対応を支援します。NPO法人は、設立認証から事業報告書・役員変更などの運営まで支援します。
企業人事15年の経験を土台に、児発管・サビ管の採用・定着、融資・補助金や資金繰りまで、「書類・人・お金」を一体で支えます。