— 30秒でわかる結論 —
Q. 生活介護の基本報酬は、何で決まりますか?
令和6年4月から、サービス提供時間の区分・利用定員の規模・利用者の障害支援区分で決まります。時間区分は8時間以上9時間未満まで設定され、9時間以上は延長支援加算で評価します。算定の基準は実際の滞在時間ではなく個別支援計画に定めた「標準的な支援時間」で、計画の記載が請求の根拠になります。医療的ケアスコアに該当する方・重症心身障害者・行動関連項目10点以上の方・盲ろう者などで、やむを得ない理由により6時間未満になる場合は、受入れ準備や申し送りに要した時間を1日2時間以内を限度に標準的な時間に加えられます(サービス担当者会議での検討とサービス等利用計画への位置づけが前提)。複数人を同乗させる送迎で往復3時間以上かかる場合は往復それぞれ1時間を加えられます(令和6年度Q&A VOL.4 問2)。加算では、入浴支援加算(医療的ケアが必要な方等への入浴支援。算定しない事業所は入浴の費用を実費として受け取れる)、喀痰吸引等実施加算、栄養スクリーニング加算・栄養改善加算が新設され、言語聴覚士が人員配置基準に加わりました。令和8年6月の新規指定の減額は生活介護は対象外です(2026年9月19日時点。単位数は本記事に記載していません)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 生活介護を運営していて、令和6年改定後の収支の変化を整理したい方
- 個別支援計画の「標準的な支援時間」の書き方に迷っている方
- 入浴設備への投資と入浴支援加算の関係を考えている方
生活介護の基本報酬は、令和6年4月から「時間」で決まるようになりました
生活介護の収支相談で、令和6年度改定の前後で最も変わったのがここです。令和6年4月から、基本報酬がサービス提供時間の区分ごとに設定されました(8時間以上9時間未満まで。9時間以上は延長支援加算で評価)。短時間の利用が多い事業所は減収の可能性があり、長時間の支援を行う事業所はより手厚く評価される構造です(令和6年度報酬改定の主な内容。2026年9月19日に自治体の集団指導資料・東京都Q&Aで確認)。
もうひとつ大事なのは、算定の基準が「実際の滞在時間」ではなく「個別支援計画に定めた標準的な支援時間」だということです。計画に書いた時間で算定するので、計画の記載が収支を決めます。
基本報酬を決める4つの要素
| 基本報酬を決めるもの | 令和6年4月〜 | 実務で押さえること |
|---|---|---|
| サービス提供時間 | 時間の区分ごとに基本報酬が設定された(8時間以上9時間未満まで。9時間以上は延長支援加算) | 算定は個別支援計画に定めた「標準的な支援時間」で行う。実際の滞在時間そのものではない |
| 利用定員の規模 | 定員規模ごとの設定 | 定員変更は基本報酬に直結する |
| 利用者の障害支援区分 | 区分に応じた設定(従来どおり) | 区分の平均が単価を動かす |
| 人員配置体制 | 人員配置体制加算等(従来どおり) | 常勤換算の維持が前提 |
時間区分の導入で、個別支援計画の「標準的な支援時間」の記載が請求の根拠になりました。計画に時間が書かれていない、実態と合っていない、という状態は、運営指導で指摘される項目にもなります。既存の利用者について、計画の記載を確認してください。
短時間にならざるを得ない利用者への配慮
| 配慮の対象 | 扱い(令和6年度Q&A) |
|---|---|
| 医療的ケアスコアに該当する方、重症心身障害者、行動関連項目10点以上の方、盲ろう者など、障害特性等に起因するやむを得ない理由で6時間未満にならざるを得ない場合 | 利用前の受入れ準備や利用後の申し送り・主治医への伝達事項の整理に実際に要した時間を、1日2時間以内を限度に「標準的な時間」に加えられる。サービス担当者会議で検討され、サービス等利用計画に位置づけられていることが前提 |
| 複数人を同乗させる送迎で、送迎に往復3時間以上かかる場合 | 往復それぞれ1時間を「標準的な時間」として加えられる(Q&A VOL.4 問2) |
医療的ケアが必要な方や重症心身障害の方は、体調の都合で長時間の利用が難しいことがあります。その場合に「短時間=低い単価」で終わらせないための配慮規定です。ただし、サービス担当者会議で検討され、サービス等利用計画に位置づけられていることが前提で、事業所が自己判断で時間を加えることはできません。相談支援専門員との連携が必要です。
送迎の「往復3時間以上」も見落とされがちです。広域から複数人を送迎する事業所は、往復それぞれ1時間を標準的な時間に加えられます(Q&A VOL.4 問2)。送迎の記録が根拠になります。
令和6年度に新設・見直しされた加算
| 令和6年度に新設・見直しされた主な加算 | 中身 | 実務の注意 |
|---|---|---|
| 入浴支援加算 | 医療的ケアが必要な方や重症心身障害者に入浴の支援を行った場合に1日につき算定 | 加算を算定していない事業所は、入浴に係る費用を実費として受け取れる(令和6年度Q&A)。算定するなら実費は取れない |
| 喀痰吸引等実施加算 | 喀痰吸引等を実施する者として登録した事業所で、研修修了職員が実施 | 登録と研修修了が前提 |
| 栄養スクリーニング加算・栄養改善加算 | 利用開始時と6か月ごとの栄養状態の確認、リスクのある方への個別の栄養管理 | 管理栄養士等の配置・連携。手順は令和6年3月29日付の厚生労働省通知 |
| 延長支援加算 | 基本報酬が8時間以上9時間未満まで設定されたため、9時間以上の支援を評価 | 施設入所者には算定できない |
| リハビリテーション加算 | リハビリテーション実施計画の作成期間が3か月ごと→6か月ごとに | 計画の更新サイクルを見直す |
| 人員配置基準 | 言語聴覚士が人員配置基準に加えられた(高次脳機能障害等で言語障害のある方の支援) | 配置できれば体制加算の設計が変わる |
入浴支援加算には、実務上の判断が1つあります。加算を算定する事業所は入浴の費用を実費として受け取れず、算定しない事業所は実費として受け取れる(令和6年度Q&A)。どちらが事業所と利用者の双方にとってよいかは、対象となる利用者の数と設備投資で変わります。入浴設備は開業資金の最大の変動要因でもあります(生活介護の開業資金)。
新規指定の減額は、生活介護は対象外
令和8年6月から新規指定事業所の基本報酬を引き下げる応急措置が入りましたが、対象は放課後等デイサービス・児童発達支援・就労継続支援B型・共同生活援助の4類型で、生活介護は対象外です。ただし令和9年度改定で本格的な調整が来る可能性があり、経営実態調査での生活介護の収支差率は高い水準にあります(収支差率と4つのレバー)。時間区分の設計で単価を守りつつ、稼働率と固定費の設計を同時に見る必要があります。
「うちの計画の時間は、実態と合っているか」を一緒に見ます
時間区分の導入後、いちばん多いご相談は「計画に書いた時間と、実際の支援時間がずれている」です。ずれは減収か、運営指導での指摘か、どちらかの形で表に出ます。当事務所では60分の無料相談で、利用者ごとの標準的な支援時間の記載、配慮規定の該当者、入浴支援加算と実費の選択、送迎の往復時間を一覧にして、単価を守る設計を整理します。
個別支援計画の控え(標準的な支援時間が分かるもの)、利用者の区分・医療的ケアの状況、送迎ルートの所要時間をご用意ください。ご依頼にならなくて構いません。オンラインで全国対応です。生活介護の指定申請・運営サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 新潟市福祉部障がい福祉課「令和6年度報酬改定の主な内容(生活介護)」集団指導資料(時間区分・入浴支援加算と実費の関係・栄養ケア・マネジメント通知。2026年9月19日確認)
- 東京都「令和6年度報酬改定に関するQ&A Vol.5(施設入所支援、生活介護、自立訓練)」(時間区分の届出の考え方。2026年9月19日確認)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」および令和6年度報酬改定Q&A(VOL.4 問2:送迎往復3時間以上の扱い/短時間利用者への配慮規定)
- 厚生労働省「指定生活介護事業所等における栄養ケア・マネジメント等に関する事務処理手順及び様式例」(令和6年3月29日付通知)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の生活介護事業所さまへ
時間区分に関する体制の届出や、配慮規定の適用の考え方は指定権者(千葉県は障害者福祉サービス事業指定班043-223-2308、千葉市・船橋市・柏市は各市)にご確認ください。当事務所の無料相談では、利用者ごとの標準的な支援時間・配慮規定の該当・入浴支援加算と実費の選択を一覧にして、単価を守る設計を一緒に整理しています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
時間区分が入ってから、生活介護の相談で最初に見せていただくのは個別支援計画になりました。「何時間書いてありますか」——この一言で、収支の話も、運営指導の話も始まります。単価は制度が決めますが、その単価をどの時間で算定するかは、計画に何を書いたかで決まる。計画が請求書の根拠になる時代です。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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