— 30秒でわかる結論 —

Q. 生活介護の単価を上げるには、どの加算から取り組めばよいですか?

順番は、①基本報酬の時間区分と個別支援計画の標準的な支援時間の突き合わせ→②体制加算(人員配置体制・福祉専門職員配置等)をいまの職員構成で最大の区分に→③送迎加算の区分と記録→④入浴支援加算→⑤重度対応・栄養ケアです。生活介護は令和6年度改定で基本報酬がサービス提供時間と連動する構造になり(制度)、計画の時間・提供の実態・請求の区分がずれていると加算以前に基本報酬が違います。取りこぼしが最も多いのは②で、職員は既にいて資格もあるのに届出が出ていないケース。体制加算は届け出た月からしか算定できません。入浴支援加算(令和6年度創設)は医療的ケアが必要な方または重症心身障害の方が対象で、算定すると入浴に係る費用の実費徴収ができず、算定しない場合は実費徴収できる(令和6年度厚労省Q&A)ため、対象者数と入浴頻度で両方を試算してから決めます。人員配置体制加算は令和6年度に1.5:1以上の区分が加わりましたが、配置比率は月ごとに動きます。単位数は報酬告示でご確認ください(2026年9月19日時点)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 生活介護を運営していて、加算の取りこぼしがないか確認したい方
  • 入浴支援加算を取るか、実費で運用するか迷っている方
  • 生活介護の開業で、加算を織り込んだ物件・採用の設計をしたい方

生活介護の単価は「時間」と「体制」で決まります

生活介護は、放デイやグループホームと違って、令和8年6月からの新規指定の基本報酬引下げの対象になっていません。その代わり、令和6年度改定で基本報酬がサービス提供時間と連動する形になり、「開所しているだけ」では単価が上がらない構造になりました。単価を上げる余地は、時間区分の整合と、体制加算・個別加算の積み上げにあります。

(※複数のご相談を合成した架空の場面です)

この記事は、生活介護の運営で「取れるのに取っていない」ことが多い加算と、着手する順番を整理したものです。単位数は報酬告示で確認してください。本記事では要件の骨子と実務のつまずきに絞ります。

令和6年度改定で変わった、基本報酬の考え方

令和6年度改定で変わった基本報酬の考え方中身事業所への意味
サービス提供時間との連動基本報酬が、個別支援計画に定めた標準的な支援時間で区分される(制度)「開所しているだけ」では単価が上がらない。計画に書いた時間と、実際の提供が一致していることが前提
延長支援加算の見直し営業時間の前後に支援を行った場合の加算が拡充された(制度)9時間以上の日は加算の区分が上がる。記録で時間を証明できることが条件
医療的ケア・重症心身障害への評価入浴支援加算の創設、人員配置体制加算の区分追加(制度)重度の利用者を受け入れる体制を組むほど、単価で報われる設計

生活介護の基本報酬は、令和6年度から個別支援計画に定めた標準的な支援時間で区分されます(制度)。実務でつまずくのは、計画の時間と、実際の提供時間と、請求の区分の3つがずれているケースです。運営指導では、この3つを突き合わせて確認されます。

取れるのに取っていない加算——6つの要件と落とし穴

加算要件の骨子(制度)取りこぼしやすい点(実務)
入浴支援加算(令和6年度創設)医療的ケアが必要な方または重症心身障害の方に入浴の支援を提供した場合に、1日につき算定。(Ⅰ)は適切な入浴支援の実施、(Ⅱ)は医師等と連携した自宅での入浴に向けた評価・練習が要件対象者が限定されている。算定する場合、入浴に係る費用を利用者から実費徴収できない(算定しない場合は実費徴収可。令和6年度厚労省Q&A)。どちらで運用するかを決めて重要事項説明書に反映する
送迎加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分があり、片道ごとに算定。令和6年度から、隣接しない障害者支援施設の入所者への送迎も対象に(Ⅰ)(Ⅱ)の区分要件(利用者数・区分の割合等)を毎月確認。送迎の記録(乗降・時刻)が要る
人員配置体制加算従業者の常勤換算の配置比率で区分。令和6年度から1.5:1以上の区分が追加され(Ⅰ)〜(Ⅳ)に配置比率は月ごとに変わる。職員の退職・シフト変更で区分が落ちる。人事の動きを届出につなぐ運用が要る
福祉専門職員配置等加算社会福祉士・介護福祉士等の配置割合、または常勤職員の割合で区分常勤換算ではなく常勤の人数で割る。非常勤から常勤への切替えで分母と分子が動く
重度障害者支援加算強度行動障害等への支援体制(研修修了者の配置、支援計画シート等)研修の修了証と配置が前提。行動援護従業者養成研修の修了者も要件を満たす(令和6年度Q&A VOL.2)
栄養スクリーニング加算等管理栄養士等と連携し、利用開始時と6か月ごとに栄養状態を確認する等(令和6年3月29日通知の手順による)記録の様式が通知で示されている。手順どおりの記録がないと算定できない

いちばん見落とされているのが、入浴支援加算と実費徴収の関係です。令和6年度の厚生労働省Q&Aで、入浴支援加算を算定している場合は入浴に係る費用を利用者から実費として受け取れない、算定していない場合は受け取れると整理されています(制度)。加算を取るか実費で運用するかは、対象者の人数と入浴の頻度で損益が変わるので、両方を試算してから決めてください。

もうひとつは人員配置体制加算です。1.5:1以上という手厚い区分が令和6年度に加わりましたが、配置比率は月ごとに動きます。職員が1人辞めると区分が落ちる、常勤化で上がる。人事の異動が加算に直結する構造は、障害福祉の人事制度3本柱で書いたとおりです。

着手する順番

順番着手すること理由
基本報酬の時間区分と、個別支援計画の標準的な支援時間を突き合わせる計画の時間と提供の実態がずれていると、加算以前に基本報酬が違う
体制加算(人員配置体制・福祉専門職員配置等)を、いまの職員構成で最大の区分にする届け出た月から算定。職員は既にいる。取りこぼしの最大要因
送迎加算の区分と記録を整える毎日発生する。記録の欠落で減る
入浴支援加算は、対象者の受入れと実費徴収の方針を決めてから対象が医療的ケア・重症心身障害の方に限られ、算定すると実費徴収ができない
重度対応・栄養ケアは、研修と様式を整えてから研修の受講枠と通知の様式が前提。時間がかかる

加算の取りこぼしは、たいてい②で起きています。職員は既にいる、資格も持っている、届出だけが出ていない。体制加算は届け出た月からしか算定できないので、確認は今月中に済ませてください(単価を上げる加算の積み上げ)。

生活介護の開業を考えている方へ

これから開設する方は、この記事の加算を物件と採用の段階で織り込むと、開業後の単価が変わります。入浴設備を持つか、送迎車を何台持つか、看護職員を配置するか、強度行動障害の研修修了者を採用するか。それぞれが加算の要件と、初期費用の両方に効きます。開業資金の目安は生活介護の開業資金(概算1,600〜2,600万円)、人員・設備の基準は生活介護の人員・設備基準をご覧ください。

要確認:各加算の単位数・区分要件・算定方法は、障害者総合支援法にもとづく報酬告示と留意事項通知、令和6年度報酬改定Q&Aによります。本記事は新潟市の集団指導資料(令和6年度)と厚生労働省Q&A VOL.2(令和6年4月5日)等で要件の骨子を確認しましたが、報酬告示の原文は取得していないため、単位数は本文に記載していません。算定の可否は指定権者の判断です。本記事は2026年9月19日時点の整理です。

「うちの生活介護は、何が取れるか」を突き合わせます

加算の可否は、職員名簿・体制等状況一覧表・個別支援計画の標準的な支援時間・利用者の状態像を並べないと分かりません。当事務所では60分の無料相談で、この4つを拝見して「届け出ていない加算」「区分を上げられる加算」「実費と加算のどちらが有利か」を整理します。運営指導の事前チェックとしてもお使いいただけます。

職員名簿(資格・勤務形態が分かるもの)、体制等状況一覧表の控え、直近の請求データをご用意ください。ご依頼にならなくて構いません。オンラインで全国対応です。生活介護の指定申請・運営サポート運営中の事業所さまへ、またはお問い合わせフォームからどうぞ。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の生活介護事業所さまへ

生活介護の体制届は千葉県障害福祉事業課 障害者福祉サービス事業指定班(043-223-2308)が窓口です(千葉市・船橋市・柏市は各市)。加算の届出は毎月の締切から翌月適用が原則なので、職員構成が変わった月のうちに区分を確認してください。当事務所の無料相談では、職員名簿と体制等状況一覧表を並べて「届け出ていない加算」を洗い出しています。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

生活介護の相談で「うちは加算が少なくて」と言われると、私はまず職員名簿を見せていただきます。資格を持った常勤が3人いるのに、福祉専門職員配置等加算の区分が低いまま。人員配置は1.5:1に近いのに、体制届が古い区分のまま。加算は制度の話ですが、取りこぼしは人事の話です。名簿と届出を並べる1時間で、単価は変わります。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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