— 30秒でわかる結論 —

Q. 指定申請に必要な人員を揃えたいのですが、求人を出したことがありません。何から始めればいいですか?

「要件職から」始めてください。順番は①サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者・サービス提供責任者・管理者などの要件職→②常勤の支援員→③パート。要件職は市場に少なく確保に最も時間がかかり、ここが決まらないと指定申請そのものが進まないためです。手段は無料の土台から——ハローワーク(0円)と自社の採用ページ(Googleしごと検索に無料掲載)を整え、次に求人検索サイト(無料掲載+有料運用は月数万円〜十数万円で予算設定可能)、それでも要件職が採れない場合に専門媒体や人材紹介(成功報酬で理論年収の20〜35%程度が一般的とされ、年収350万円なら70〜120万円規模)を検討します。いずれも概算で、条件により大きく変動します。そして時間軸——要件職の採用活動は指定希望日の4〜6か月前には始めてください。

「物件は決まった。資金の目処も立った。でも人が集まらなくて申請に進めない」——指定申請の相談で最も多いつまずきです。しかも多くの経営者にとって求人は初めての経験。何から手を付ければいいのか、いくらかかるのか。人事を15年やってきた行政書士として、順番と費用を具体的に書きます(2026年7月時点。費用はすべて概算で、条件により大きく変わります)。

この記事の対象——介護・障害福祉の全サービス類型に共通です

放課後等デイサービス児童発達支援グループホーム(共同生活援助)就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労移行支援・就労定着支援/生活介護/同行援護/行動援護/短期入所/自立訓練/保育所等訪問支援/相談支援(その他類型の依頼ガイド)——いずれにも対応しています(指定申請サポート トップ)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 求人を出したことがなく、何から始めるか分からない方
  • 資格者の採用にどれだけ費用をかけるべきか迷っている方
  • 開業希望月が迫っているのに人が揃っていない方

1. 最初に決める順番——「要件職から」

求人未経験の方がやりがちなのは、集めやすいパートから募集することです。気持ちは分かります。応募が来ると安心しますから。でも指定申請の観点では逆——順番はこうです。

対象理由
要件職(サビ管・児発管・サ責・管理者)市場に少なく、最も時間がかかる。ここが決まらないと申請が進まない
常勤の支援員・介護職員人員基準の土台。常勤換算の計算に効く
パート・非常勤比較的集まりやすく、開所直前でも調整可能

要件職には実務経験年数と研修の受講が求められ、研修の受講機会も限られます。「採用したけれど要件を満たしていなかった」は開所が止まる致命傷なので、候補者の経歴書・資格証・研修修了証を、内定前に確認するのが鉄則です(児発管の要件・サ責の要件)。

ここは必ず確認を——要件確認は「内定前」に

資格の有無だけで採用を決めると、後から実務経験の年数や研修の修了要件を満たさないと判明することがあります。前職の実務経験証明書が回収できるかも含め、内定を出す前に要件を確認してください。申請直前の発覚は、開業日そのものを動かします。

2. 何から始めるか——5ステップ

ステップ1:必要人数を確定する。サービス類型と定員から、常勤換算で何人必要かを算出します。ここが曖昧なまま募集すると、採りすぎ(人件費過多)か採り足りず(申請不可)のどちらかになります。ステップ2:求人票を作る。条件の羅列ではなく「未経験でも大丈夫か」「誰に相談できるか」という応募者の不安に先回りするのが基本です(求人票の書き方)。ステップ3:無料の土台を整える。ハローワークへの求人登録と、自社サイトの採用ページ。ステップ4:応募への対応体制を作る。応募の熱は48時間で冷めます——当日連絡できる仕組みを先に(当日連絡の設計)。ステップ5:足りなければ有料へ。順番を守ることが、費用対効果を最大化します。

3. 費用はいくらかかるか(手段別・概算)

手段費用の目安(概算)向いている対象
ハローワーク0円地元のミドル層・有資格者。まずここ
自社の採用ページ制作費のみ(既存サイトに追加なら実質わずか)全対象。応募前に必ず見られる「確認先」
求人検索サイト(Indeed等)無料掲載あり。有料運用は月数万円〜十数万円で予算設定が可能パート・一般職員に強い
介護・福祉の専門媒体掲載型で1件あたり数万円〜十数万円、成果報酬型もあり有資格者・業界経験者
人材紹介成功報酬型。理論年収の20〜35%程度が一般的とされ、年収350万円なら70〜120万円規模要件職の最終手段。確実性は高いが費用も大きい
リファラル(知人紹介)紹介手当を設ける場合はその額定着率が高い。ただし開業前は人脈頼み

※すべて2026年7月時点の概算・一般的な傾向です。媒体・地域・職種・契約条件により大きく変動するため、実際の見積りは各サービスにご確認ください。

4. 「無料の土台を整えてから、有料の蛇口をひねる」

費用の話で最も大切なのは金額の大小ではなく順番です。求人票が整っていない状態で有料媒体に出稿すると、費用を払って応募を集めても、面接に来ない・辞退される——お金が歩留まりの穴から漏れます。逆に、無料のハローワークと自社採用ページで言葉と受け皿を磨いてから有料に進めば、同じ予算でも結果が変わります。

そして本当に見るべき指標は応募単価ではなく「90日在籍してくれた一人あたりの総コスト」。たとえば人材紹介に100万円かけて採用した方が3年働いてくれるなら安く、無料で採った方が1か月で辞めれば高い——採用は定着まで含めて評価してください(離職コストの見える化)。

5. 指定日から逆算する——採用は「4〜6か月前」から

求人未経験の方が最も驚かれるのが時間です。募集開始から入職までは、応募を待つ期間・面接・現職の退職手続き(1〜2か月)が積み重なります。とくに要件職は在職中の方が多く、退職までに時間がかかる

時期やること
指定希望日の6か月前必要人数の確定・求人票の作成・要件職の募集開始
4〜5か月前要件職の面接・要件充足の確認・内定
3か月前常勤職員の募集・申請書類の準備開始
2か月前パートの募集・勤務形態一覧表の作成・指定申請
1か月前〜開所入職手続き・研修・初日の受け入れ設計

※モデルの一例です。サービス類型・指定権者の受付期限により変わります(千葉県の指定スケジュール)。

6. 千葉県の市別——採用環境の違い

同じ千葉県でも、市によって採用の勝ち筋は変わります。共通するのは「都内へ通勤できる立地ほど、給与だけでは勝ちにくい」という構造です。

採用の考え方
松戸市常磐線・新京成沿線で都内通勤圏。「通勤時間を家族の時間に」という訴求が効く(松戸のGH開業
柏市TX・常磐線が交差し商圏が広い。近隣市からの通勤も見込めるため募集エリアを広めに設定
流山市子育て世代が多い。時短・扶養内・学校行事の配慮を打ち出すとパート層に届きやすい
船橋市人口規模が大きく母集団は厚い一方、事業所も多く競合が強い。条件より「働き方の具体性」で差をつける
市川市都内アクセスが良く都内の事業所と人材を奪い合う構造。通勤の負担軽減と定着支援の訴求が要
千葉市6区で住環境が異なる。事業所の区に住む層をターゲットにすると通勤の負担が小さく定着しやすい

※地域特性を踏まえた考え方の整理です。実際の採用状況は事業所の条件・時期により異なります。

7. 求人未経験の方がやりがちな3つの失敗

①募集を出してから待つだけ——求人は出稿して終わりではなく、応募対応・面接・内定後フォローまでが仕事です。②要件確認を内定後にする——実務経験年数や研修修了の確認は内定前に。ここを外すと開所が止まります。③給与だけで勝負しようとする——原資に限りがある以上、勝てません。シフトの融通・研修体制・相談できる人がいることなど給与以外の報酬を言語化してください。

採用の設計から、指定申請まで一緒に

当事務所は行政書士として指定申請を担当するだけでなく、人事15年(採用・定着・評価)×国家資格キャリアコンサルタントとして、必要人数の確定・求人票の作成・媒体の選定・応募対応フローの整備・面接の設計まで伴走できます。さらに財務コンサルタントとして、採用にかける費用と開所前の人件費を含めた資金計画も同じ窓口で設計します。「人が集まらなくて申請に進めない」——その状態こそ、最もお役に立てる場面です。初回60分のご相談は無料人材確保支援指定申請サポート)。

参考にした一次資料

  • 各サービス類型の指定基準を定める厚生労働省令(人員・設備及び運営に関する基準)
  • 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」
  • 各都道府県・指定権者が公表する指定申請の手引きおよび届出様式

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・通知および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|所在地が決まったら通勤圏の設定から

松戸市・柏市・流山市・船橋市・市川市・千葉市それぞれで、採用の勝ち筋は少しずつ違います。事業所の所在地が決まった段階で、通勤圏の設定と訴求ポイントの整理からご一緒します。ハローワークへの求人登録の書き方も具体的にお手伝いします。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

人事を15年やって痛感したのは、採用は才能ではなく手順だということです。順番を知らないだけで、皆さん驚くほど遠回りをしている。開業前の一番忙しい時期に、その遠回りをさせたくないと思っています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。

前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。

保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。

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