— 30秒でわかる結論 —
Q. 障害福祉・障害児支援の指定申請は、行政書士に丸投げできますか?
実務のほぼすべて——申請書類一式の作成、提出代理、指定権者との事前協議・やり取り、スケジュール管理、運営規程等の整備——は行政書士に任せられます。ただし3つだけは事業者自身にしかできません。①サービス類型・定員・場所などの事業の意思決定、②サビ管・児発管等との雇用契約(人の確保)、③開業後に行政へ運営の説明責任を負うこと、です。実際のご依頼は「実務は任せて判断に集中する」分業であり、判断材料を整理してお渡しするところまでが行政書士の仕事です。
この記事の対象——介護・障害福祉の全サービス類型に共通です
放課後等デイサービス/児童発達支援/グループホーム(共同生活援助)/就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労移行支援・就労定着支援/生活介護/同行援護/行動援護/短期入所/自立訓練/保育所等訪問支援/相談支援(その他類型の依頼ガイド)——いずれの指定申請にも対応しています(指定申請サポート トップ)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 本業や現職と並行して開業準備を進めている方
- 何をどこまで頼めるのか分からず、相談をためらっている方
- 費用をかける範囲を決めたい方
結論:9割は任せられます。ただし「3つだけ」はあなたにしかできません
まず全体像です。指定申請に必要な作業のうち、書類の作成・提出、指定権者との事前協議・やり取り、スケジュール管理、運営規程や契約書類の整備——つまり手続きの実務のほぼすべては行政書士に任せられます。なお、これらの実務を報酬を受けて担えるのは、法律上、行政書士と弁護士に限られています(行政書士法第1条の2・第1条の3)。「任せられるか」以前に「誰になら任せていいか」が法定されている、という点は押さえておいてください。
一方で、どれだけ「丸投げ」しても、次の3つだけは事業者であるあなた自身にしかできません。
| あなたにしかできない3つ | 理由 |
|---|---|
| ① 事業の意思決定 (サービス類型・定員・場所・投資額) | どんな事業所を作るかは経営判断そのものです。行政書士は選択肢と数字を並べて判断を支えますが、決めるのは代表者です。 |
| ② 人の確保 (サビ管・児発管等との雇用契約) | 雇用契約の主体は法人=あなたです。求人・面接の伴走はできますが、「この人と働く」と決めて契約するのは代表者にしかできません。 |
| ③ 開業後の運営責任 (運営指導への対応主体) | 指定を受けた後、行政に対して運営の説明責任を負うのは事業者です。書類整備の支援は続けられますが、責任ごと外注はできません。 |
ここは必ず確認を——丸投げでも残る3つ
どれだけ任せても、事業の意思決定・人との雇用契約・開業後の運営責任はあなたに残ります。特に運営指導では「行政書士が作ったので分かりません」は通用しません。作成は任せても、中身を理解する時間だけは確保してください。
任せられる範囲の全体マップ
| 工程 | 行政書士に任せられる | あなたがやる |
|---|---|---|
| 構想・設計 | 類型別の要件整理、収支シミュレーション、工程表作成 | 類型・定員・地域の最終決定 |
| 法人設立 | 定款の作成(目的規定の設計)※登記申請は司法書士 | 商号・役員構成の決定、出資 |
| 物件 | 基準適合チェック、消防・建築部局への確認段取り | 内見・賃貸契約の締結 |
| 人員 | 要件の当てはめ確認、求人設計・面接同席等の採用支援 | 面接での見極め、雇用契約 |
| 資金 | 事業計画書の作成支援、融資面談の準備(当事務所の場合) | 融資面談への出席、借入の決断 |
| 申請 | 事前協議・申請書類一式の作成・提出代理・行政対応 | 内容の最終確認・押印 |
| 開業後 | 変更届・体制届・処遇改善加算・運営指導対策の継続支援 | 日々の運営・記録 |
「丸投げ」という言葉のイメージに反して、実際のご依頼は「実務は任せて、判断に集中する」という分業です。むしろ、判断材料を整理した状態でお渡しするのが私たちの仕事だと考えています。
本当の「丸投げ」の落とし穴——制度理解ゼロのまま開業する怖さ
ここは正直にお伝えします。書類を一度も読まずに開業まで進むこと自体は、技術的には可能です。しかしおすすめしません。理由は開業後にあります。運営指導(実地指導)では、運営規程や個別支援計画の内容を、事業者自身が口頭で説明できるかまで見られることがあります。「行政書士が作ったので分かりません」は通用しません。
だからこそ当事務所では、任せていただいた書類も「なぜこう書くのか」を要点だけ説明しながら進めます。丸投げの手軽さと、経営者として最低限持つべき制度理解——その両立が、開業後に困らない依頼の形ではないでしょうか。
相談時に用意していただきたいもの(なくても相談できます)
「丸投げしたいが、何を渡せばいいのか」というご質問も多いので、初回相談時にあると話が早いものを挙げます。①やりたいサービスの構想メモ(箇条書きで十分)、②自己資金のおおよその額、③候補地域(市の単位でOK)、④人員のあて(サビ管・児発管候補の有無、いなければ「いない」でOK)。すべて空欄でも相談は成立します。空欄を一緒に埋めていくのが初回相談の役割です。
サービス類型が決まっている方へ——類型別の費用・事務所の選び方
この記事は類型を問わない総論です。類型ごとの固有論点(物件・人員・収支のボトルネック)と選び方は、各記事で詳しく解説しています:放課後等デイサービス/児童発達支援/グループホーム/就労支援/生活介護/その他の類型
「全部でなく、書類作成など一部だけ頼みたい」という方は、部分支援という選び方の記事をご覧ください。
💬 実際に開業された方の声(要旨)
障害福祉の就労継続支援B型事業所をご自身の手で立ち上げた運営者の方から、こんな声をいただきました。——立ち上げで壁になったのは、人と物件、そして現金。とりわけ融資を受けるための事業計画づくりと金融機関対応がいちばんの難所だった。申請自体は自力でやり切ったけれど、建物や消防が絡む複雑な指定申請の書類だけでも専門家に頼めていたら、その分の時間と力を利用者の確保に注げたはず。これから立ち上げる方には、専門家への相談を勧めたい——。
※2026年8月にいただいた声を、ご本人が特定されない形で要旨として掲載しています。
「実務は任せて、判断と利用者確保に集中する」——この分業の価値を、実際に自力で開業をやり遂げた方が裏付けてくれています。
手続き・資金・人材を、ひとつの窓口で。当事務所は障害福祉・障害児支援の指定申請に加えて、日本政策金融公庫等の創業融資・資金繰りの支援と、国家資格キャリアコンサルタントによる資格者の採用・定着支援までワンストップで対応します。財務コンサルタントの資格と、人事15年(採用・定着・評価)×国家資格キャリアコンサルタントの専門性を併せ持つ行政書士だからできる伴走です。初回60分無料・オンライン全国対応。
当事務所の指定申請サポートは税込220,000円〜(法人設立・融資支援の組み合わせは個別見積り・着手前に総額と範囲を書面提示)。サービス別の詳細は指定申請サポートのページを、相談のベストタイミングは「開業の相談はいつから?」の記事をご覧ください。
📍 千葉県ローカルメモ|「丸投げ」でも、窓口がどこかは知っておきましょう
手続きを任せる場合でも、自分の事業所の指定権者がどこかだけは把握しておくことをおすすめします。千葉県内では、千葉市・船橋市・柏市の事業所は各市、松戸市・流山市・市川市などは千葉県が窓口です(サービス種別により扱いが異なる場合があります)。開業後の変更届や運営指導もこの窓口との付き合いになるため、「うちは県」「うちは市」の一言が言えるだけで、開業後の情報収集が格段に楽になります。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
「丸投げしたい」というお言葉は、私にとっては信頼の表明であると同時に、少しだけ立ち止まっていただきたい言葉でもあります。実務は全部お引き受けします。でも、事業の輪郭を決める場面では、必ずあなたに戻ってきてもらいます。人事の現場に15年いて確信しているのは、他人が決めた事業に人はついてこない、ということです。決めるのはあなた、運ぶのは私たち——この分業が、いちばん強い開業の形ではないでしょうか。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
障害福祉・障害児支援の指定申請を専門とする行政書士。放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護・居宅介護・重度訪問介護など障害福祉・障害児の全類型に対応し、千葉県指定と千葉市/船橋市/柏市の市指定どちらの窓口も日常的に扱っています(オンラインで全国対応)。開業後の変更届・体制届・処遇改善加算の届出、運営指導への備えまで伴走します。
前職では従業員約800名規模の3社合併にともなう人事制度統合を主導し、正社員・パート等あわせて約800名の給与計算と社会保険実務を運用。処遇改善加算のキャリアパス要件は、突き詰めれば賃金表と等級制度の設計そのもの——加算の届出だけでなく、その先の賃金設計まで踏み込めることが強みです。国家資格キャリアコンサルタントとして、サビ管・児発管など資格者の採用と定着も支援しています。
保有資格:行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/財務コンサルタント(ASJ)/2級FP技能士(AFP)/人事総務検定2級ほか計11種。制度改正のたびに一次資料を確認しながら、note・LinkedIn・Instagram・Threadsで介護・障害福祉の実務情報をほぼ毎日発信しています。