— 30秒でわかる結論 —
Q. 運営指導の改善報告書には何を書けばいいですか?
指摘1件ごとに①指摘事項(通知の文言どおり転記)②事実確認の結果(いつ・何件・なぜ)③改善措置(提出時点で実施済み)④再発防止策(台帳・担当・頻度)⑤実施時期と添付資料、の5点を番号対応で書きます。評価されるのは文章力ではなく「同じことが再発しない仕組みを作ったか」で、「今後は注意します」だけの報告書は再指摘につながりやすいと感じています。期限は結果通知から2週間〜30日程度が一般的です(自治体差あり)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 運営指導の結果通知を受け取り、改善報告書の期限が迫っている管理者の方
- 「注意します」「周知徹底します」と書いたら再提出を求められた経験のある方
- 指摘を受ける前に、報告書に耐える日常の記録の型を作っておきたい方
改善報告書は「文章力」ではなく「仕組み」で評価される
運営指導(介護保険。障害福祉では実地指導・指導監査の呼称)の結果通知には、文書で改善を求める指摘(文書指摘)と、口頭の助言が分かれて記載されるのが典型です。文書指摘には期限内の改善報告が求められ、その期限は結果通知から2週間〜30日程度が一般的です(自治体差があります)。
この改善報告書、多くの事業所が「反省文」として書いてしまいます。ですが読み手である指定権者が見ているのは、謝罪の量ではなく、同じことが再発しない仕組みを作ったかの一点ではないでしょうか。「今後は注意します」「周知徹底します」と書かれた報告書は、担当者の目には「再指摘の予約」に映ります。
指摘1件ごとの「5点セット」
骨格はシンプルです。指摘1件ごとに、次の5点を番号対応で書きます。
| 番号 | 書くこと | ポイント |
|---|---|---|
| ①指摘事項 | 結果通知の文言どおりに転記 | 言い換えない。根拠条文が引かれていれば同じ条文を引く |
| ②事実確認の結果 | いつ・何件・なぜ起きたか | 原因は「人」ではなく「仕組みの欠陥」として書く |
| ③改善措置 | 提出時点で実施済みの対応 | 「今後実施予定」だけが並ぶ報告書にしない |
| ④再発防止策 | 台帳・担当・頻度・確認方法 | 「注意します」は再発防止策ではない |
| ⑤実施時期・添付資料 | 開始日と、新様式・台帳・議事録の写し | 文章だけで裏付けがない報告書は弱い |
この5点は、当事務所の運営指導ガイドでも、処遇改善加算ガイドでも同じ骨格を勧めています。書式は自治体指定のことが多いのですが、中身の構造は共通だと感じています。
記入例——「モニタリング記録の欠落」を指摘された場合(ダミー)
①指摘事項:個別支援計画に係るモニタリングについて、一部の利用者において実施の記録が確認できない(指定基準第◯条)。
②事実確認:利用者台帳と記録を全件点検した結果、対象期間において利用者3名・延べ5回分のモニタリング記録の欠落を確認した。原因は、実施サイクルの管理を児童発達支援管理責任者個人の記憶に依存しており、繁忙期に実施漏れ・記録漏れが生じたことによる。
③改善措置:欠落分について、◯月◯日までに全対象者のモニタリングを実施し、実施日付で記録を作成した(過去日付での作成は行っていない)。当該記録の写しを添付する。
④再発防止策:利用者一覧に「計画有効期限・次回モニタリング期日・同意の有無」を管理する台帳を新設し、期日の30日前に強調表示される設定とした。毎月末の職員会議で管理者が台帳を確認し、確認欄に記名する運用を業務マニュアルに定めた。
⑤実施時期:台帳運用は◯月◯日開始。初回の月次確認は◯月◯日実施済み。添付:モニタリング記録(写)、管理台帳(写)、業務マニュアル(抜粋)。
ポイントは③です。欠落していた記録を「過去の日付で作る」ことは絶対にしてはいけません。実施日付で作り直し、その事実を報告書に明記する——この正直さが、次回以降の心証を決めると考えています。
典型的なNGと、直し方
| 項目 | NG例 | こう直す |
|---|---|---|
| 原因分析 | 「担当者の不注意でした」 | 仕組みの欠陥として書く(管理が個人の記憶に依存していた、等) |
| 改善措置 | 「今後実施する予定です」だけ | 提出時点で実施済みにしてから出す |
| 再発防止 | 「周知徹底します」 | 担当・頻度・確認方法まで特定する |
| 証拠 | 文章のみ | 新様式・台帳・議事録の写しを添付し、添付一覧にページ番号を振る |
| トーン | 過剰な謝罪/言い訳の羅列 | 事実ベースで簡潔に |
複数の指摘を受けたときは、報酬・返還に関わるもの(計画未作成・加算根拠なし等)を最優先に、次に利用者の安全・権利に関わるもの、その次に体制・記録の整備、という順で「実施済み」を積み上げます。全部を一気に完璧にしようとして期限を落とすのが最悪です。間に合わない事情が生じたら、期限前に電話で相談し、中間報告+完了予定日を示してください。無断の遅延だけは避けたいところです。
▶ 運営中の手続き全体(変更届・指定更新・加算・処遇改善・運営指導)の入口は「運営中の介護・障害福祉事業所さまへ」にまとめています。
参考にした一次資料
- 厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」(令和4年3月策定・令和6年7月改訂)
- 当事務所「介護・障害福祉の運営指導 完全実務ガイド」(2026年8月版)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|改善報告の期限と様式は「指定権者」ごと
千葉県では、松戸市・流山市・市川市などの事業所は多くの類型で千葉県が指定権者、千葉市・船橋市・柏市の事業所は市が指定権者です(類型により異なります)。改善報告の期限・様式・添付の要否は指定権者の実施要領で決まるため、結果通知の記載と、自社の指定権者の指導監査ページを必ず確認してください。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
人事の仕事をしていた頃、監査対応の報告書を何本も書きました。通る報告書は決まって「仕組みで直した」と書いてある。通らない報告書は「気をつけます」と書いてある。介護・障害福祉の改善報告書も、まったく同じ構造だと感じています。中小企業の『手続き』『資金』『人材』、三つの現場から。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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