— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人を解散するには、何が必要ですか?
解散できるのは7つの事由のいずれかに当たるときです(NPO法第31条第1項)。社員総会の決議、定款で定めた解散事由の発生、目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能、社員の欠亡、合併、破産手続開始の決定、設立の認証の取消しです。実際は社員総会の決議による解散が約9割で、定款に別段の定めがなければ総社員の4分の3以上の賛成が必要です。総会では解散の決議、清算人の選任、残余財産の帰属を決めます。その後、法務局で解散および清算人の登記をし、所轄庁へ解散届出書を提出。官報で公告して債権者に2か月以上の申出期間を設け、債権債務を整理し、残余財産は定款で定めた6つの帰属先(他のNPO法人、国または地方公共団体、公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人)に引き渡します。最後に清算結了の登記(結了の日から2週間以内)と清算結了届出書の提出で法人が消滅します。なお、成功の不能による解散は所轄庁の認定を受けなければ解散できません(2026年9月20日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 活動が止まっているNPO法人の役員の方
- 設立時に、解散のときのルールまで決めておきたい方
- 残余財産をどこに渡せるのか確認したい方
解散できる事由は、7つに限られています
NPO法人が解散するのは、次の7つの事由によるときです(特定非営利活動促進法第31条第1項)。
| 解散事由 | 解散の日 | 所轄庁の手続き |
|---|---|---|
| ①社員総会の決議 | 総会の決議日 | 解散届 |
| ②定款で定めた解散事由の発生 | 事由が発生したとき | 解散届 |
| ③目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能 | 所轄庁が解散を認定した日 | 解散認定申請(認定がないと解散できません) |
| ④社員の欠亡(社員が1人もいなくなったとき) | 事由に該当したとき | 解散届 |
| ⑤合併 | — | 合併の手続き |
| ⑥破産手続開始の決定 | — | 解散届 |
| ⑦設立の認証の取消し(法第43条) | — | 清算人就任届出 |
実際にいちばん多いのは①です。長野県は社員総会の決議を事由とする解散が約90%で、③成功の不能や④社員の欠亡を事由とする解散は全国的にも稀だと案内しています。
なおNPO法には「休眠」の制度がありません。活動を止めても法人は存続し、毎年の事業報告書等の提出義務は続きます。止めるなら解散、続けるなら報告、という二択です。
総会は「4分の3以上」です
社員総会の決議による解散は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の4分の3以上の賛成が必要です。総会では次の3つを決議します。
- 法人を解散するという意思決定
- 清算人の選任(破産手続開始の決定による場合を除き、原則として理事が清算人になります)
- 残余財産の帰属(帰属先を解散総会で決定する旨を定款で定めている場合)
設立のときに「解散なんて考えたくない」と定款の残余財産の条項を軽く決めてしまうと、ここで効いてきます。
— この段階でご相談いただく理由 —
解散は、決議のあとに登記・官報公告・債権債務の整理・残余財産の引渡し・清算結了の登記・届出と続く長い手続きです。途中で止まると法人格だけが残り、報告義務も残ります。いつまでに終えたいかを先に決めて、逆算で総会の日を置くのが実務のコツです。
<ご相談時にお持ちいただくもの>定款(残余財産の条項)/直近の決算書類/社員名簿/残っている財産と債務の一覧。60分無料相談はこちら
残余財産は、6つの帰属先にしか渡せません
NPO法人の財産は、解散しても社員や役員で分けることはできません。定款で定めることができる残余財産の帰属先は次の6つです。
- 他の特定非営利活動法人
- 国または地方公共団体
- 公益社団法人または公益財団法人
- 学校法人(私立学校法第3条)
- 社会福祉法人(社会福祉法第22条)
- 更生保護法人(更生保護事業法第2条第6項)
定款に帰属先の定めがない場合、清算人は残余財産譲渡認証申請書を所轄庁に提出し、認証を受けて国または地方公共団体に譲渡することができます(法第32条第2項)。定めがなく、かつ認証申請をしなかった場合や不認証になった場合、残余財産は最終的に国庫に帰属します(同条第3項)。
ここがNPO法人の性質をいちばんよく表している部分です。非分配という原則は、解散のときにも貫かれています。
決議から消滅までの順番
社員総会の決議で解散する場合の流れは、各所轄庁が同じ順番で示しています。
- 社員総会で解散を決議(解散、清算人の選任、残余財産の帰属)
- 法務局で解散および清算人の登記
- 所轄庁へ解散届出書(添付:解散および清算人の登記をしたことを証する登記事項証明書)——法第31条第4項により遅滞なく
- 官報で公告し、債権者に2か月以上の期間内に債権を申し出るよう催告(判明している債権者には個別に催告)
- 債権の取立てと債務の弁済、残余財産の引渡し
- 法務局で清算結了の登記(清算結了の日から2週間以内)
- 所轄庁へ清算結了届出書(添付:登記事項証明書)——法第32条の3
清算中の法人は清算の目的の範囲内で、清算が結了するまで存続します(法第31条の4)。また、清算法人の監督は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所が行います。所轄庁だけの手続きではない、という点に注意してください。
📗 毎年の義務はNPO法人の事業報告書はいつまでに出す?に、役員の変更はNPO法人の役員変更、届出と登記を忘れていませんかにまとめています。
解散を考える前に、確認したいこと
活動が止まっている法人からのご相談では、解散以外の選択肢も一緒に検討します。事業を他の法人へ引き継ぐ、役員体制を入れ替えて続ける、合併する、といった道です。判断の材料になるのは次の3点です。
- 債務が残っていないか——残っていれば清算の中で弁済が必要です。弁済できない場合は破産手続の検討になります。
- 残余財産の行き先——定款の条項と、渡す先の法人の受け入れ可否。
- 毎年の報告が止まっていないか——未提出のまま放置すると過料や認証取消しの対象になります。解散する場合でも、たまった分の整理が先になることがあります。
解散は「終わらせる手続き」ですが、実際にはこれまでの運営を整えてから終える手続きです。時間がかかる前提で、早めに動いてください。
参考にした一次資料
- 山梨県「解散及び清算の手続き」解散事由・4分の3以上・残余財産の帰属先(2026年9月20日確認)
- 群馬県「NPO法人の解散」残余財産譲渡認証申請と国庫帰属(法第32条)(2026年9月20日確認)
- 長野県「NPO法人の解散について」解散の約90%が社員総会の決議・休眠制度なし(2026年9月20日確認)
- 島根県「NPO法人の手引き 第4章 解散と合併」清算の流れ・清算人就任届出・清算結了届出書(2026年9月20日確認)
- 新潟県「解散の手続き」解散届等に必要な書類(2026年9月20日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|所轄庁の見分け方(千葉県の場合)
解散届出書や清算結了届出書の提出先も所轄庁です。事務所が1つの都道府県内にのみある場合はその都道府県知事、事務所が1つの政令指定都市の区域内にのみある場合はその市長が所轄庁になります。千葉県内であれば、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市長、松戸市・市川市・柏市・船橋市など千葉市以外に事務所がある法人は千葉県知事です。解散では、これに加えて法務局(解散・清算人の登記、清算結了の登記)と地方裁判所(清算法人の監督)が関わります。松戸市に事務所を置く法人なら、届出は千葉県、登記は千葉地方法務局松戸支局、監督は千葉地方裁判所という組み合わせです。様式の名称や部数は所轄庁ごとに異なるため、最新の手引きで確認してください(2026年9月20日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
解散のご相談は、たいてい「もう何年も動いていなくて」という言葉から始まります。休眠という制度がないことを知らずに、時間だけが過ぎているケースが多いのです。終わらせるにも手順と期間が要ります。迷っている段階でご相談いただければ、続ける道も含めて一緒に整理できます。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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