— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人の事業報告書は、いつまでに提出しないといけませんか?
毎事業年度初めの3か月以内です。事業年度が4月1日〜3月31日なら6月30日が期限。前事業年度の事業報告書・活動計算書・貸借対照表・財産目録・年間役員名簿・社員のうち10人以上の者の名簿を作成し、すべての事務所に備え置いて社員・利害関係人に閲覧させるとともに、所轄庁に提出します(NPO法第28条・第29条、内閣府NPOホームページ2026年9月12日確認)。貸借対照表は作成後に定款で定める方法で公告も必要です(第28条の2)。税務申告とは別の、NPO法人固有の義務です。提出を怠ると20万円以下の過料(第80条)、3年以上にわたって提出しないと所轄庁は設立の認証を取り消すことができ(第43条第1項)、取り消された法人の解散当時の役員は2年間NPO法人の役員になれません(第20条第6号)。事業計画書と活動予算書は設立時と定款変更時に提出するもので、毎年の提出義務はありません。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- NPO法人を設立して1年目で、決算後に何をすればよいか分からない方
- 税務申告はしたが、所轄庁への提出をしていない可能性がある方
- これから設立し、1年目の事務の負担を知っておきたい方
提出期限は「毎事業年度初めの3か月以内」です
NPO法人は、毎事業年度初めの3か月以内に、前事業年度の事業報告書・計算書類・役員名簿等を作成し、すべての事務所に備え置いて閲覧に供するとともに、所轄庁に提出しなければなりません(NPO法第28条・第29条、内閣府NPOホームページ「認証制度について」2026年9月12日確認)。
事業年度が4月1日〜3月31日の法人なら、6月30日が期限です。期限は法人ごとの事業年度で決まるので、定款の事業年度を確認してください。
この提出は、株式会社の決算申告とは別の、NPO法人固有の義務です。税務申告をしたから終わり、ではありません。設立後1年目でつまずく法人がいちばん多いのが、この「所轄庁への提出」です。
何を提出するのか
| 提出する書類 | 内容 |
|---|---|
| 事業報告書 | 前事業年度に行った事業の内容と実績 |
| 活動計算書 | 前事業年度の収益と費用(企業でいう損益計算書に相当) |
| 貸借対照表 | 前事業年度末の資産・負債・正味財産。作成後は定款で定める方法で公告が必要(法第28条の2) |
| 財産目録 | 前事業年度末の財産の一覧 |
| 年間役員名簿 | 前事業年度に役員だった者の氏名・住所または居所・報酬の有無 |
| 社員のうち10人以上の者の名簿 | 前事業年度末日における社員10人以上の氏名・住所または居所 |
| (特定非営利活動に係る事業とその他の事業を行う場合) | 活動計算書を区分して作成 |
事業計画書と活動予算書は、設立認証の申請時と定款変更時に提出するもので、毎年の提出義務はありません(内閣府NPO法Q&A)。ただし法人運営のために毎年作ることは妨げられておらず、実務上は総会の議案として作るのが普通です。
提出しないと、どうなるか
| 放置すると | 根拠 |
|---|---|
| 20万円以下の過料 | NPO法第80条(事業報告書等の提出を怠った場合) |
| 3年以上にわたって提出しないと、所轄庁は設立の認証を取り消すことができる | NPO法第43条第1項。実際に取消しの公表が各所轄庁で行われている |
| 認証を取り消された法人の解散当時の役員は、取消しの日から2年間、NPO法人の役員になれない | NPO法第20条第6号 |
| 助成金・委託・認定NPOの申請で不利 | 多くの応募要領・認定基準が事業報告書の提出状況を確認する |
「うちは小さい法人だから見られていない」は通用しません。所轄庁は提出状況を把握しており、未提出法人には督促が行われます。3年以上の未提出による認証取消しは、実際に各都道府県で公表されています。
1年目でつまずかないための年間の型
- 事業年度末の翌月——会計の締め。活動計算書・貸借対照表・財産目録の作成。会計担当が1人の法人は、ここで詰まりやすい
- 翌々月——事業報告書の作成、監事の監査、理事会での承認、総会の招集通知(定款の定めによる)
- 3か月目——総会での承認、所轄庁への提出、貸借対照表の公告、事務所への備置き
- 役員に変更があった年——役員変更届(法第23条)と、役員変更登記(理事の変更。組合等登記令)も忘れずに
提出した事業報告書等は、内閣府のNPO法人ポータルサイトで公開されます。個人情報や口座番号を記載しないよう、所轄庁の手引が注意を促しています。
介護・障害福祉の事業者の方へ
NPO法人で指定サービスを運営している場合、所轄庁への事業報告書等の提出とは別に、指定権者への体制等状況一覧表や情報公表の報告も毎年回ってきます。3か月以内の提出と、毎年の情報公表報告を、同じ年間カレンダーに載せておくと漏れません。
設立前に、1年目の「6月」を設計しておく
この義務は設立後の話ですが、設立前に設計しておくと1年目が楽になります。事業年度をいつにするか、会計をどう回すか、監事を誰に頼むか、総会をいつ開くか——すべて定款と設立時の体制で決まります。事業年度末を活動の繁忙期に置いてしまい、決算と総会が回らない法人を何度も見てきました。
当事務所では60分の無料相談をお受けしています。NPO法人設立サポートは税込200,000円(設立登記は提携司法書士が担当・報酬別途。お見積りは登記報酬を含む総額を書面でお出しします)。設立の可否や書類の段階でのご相談は、ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応しています。詳しくはNPO法人設立サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 内閣府NPOホームページ「認証制度について」(法人格取得後の義務:毎事業年度初めの3か月以内の作成・備置き・閲覧・所轄庁への提出。2026年9月12日確認)
- 内閣府NPOホームページ「NPO法Q&A 事業報告書等」(事業計画書・活動予算書は毎年の提出義務なし。2026年9月12日確認)
- 特定非営利活動促進法 第20条第6号、第28条、第28条の2、第29条、第43条第1項、第80条
- 千葉県「NPO法人の管理・運営の手引」(事業年度終了後の報告、過料、認証取消し。2026年9月12日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県のNPO法人の方へ——提出先と様式
千葉県内のNPO法人の所轄庁は、千葉市内のみに事務所がある場合は千葉市、それ以外は千葉県(県民生活課NPO法人班043-223-4137)です。提出様式と提出方法は千葉県の「NPO法人の管理・運営の手引」に沿ってください。松戸・市川・流山など県所轄の法人からの、事業報告書の作成・提出のご相談はオンラインでもお受けしています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
設立のお手伝いをした法人には、認証の日に「来年の6月に、また会いましょう」とお伝えしています。設立で燃え尽きて、1年目の報告で止まってしまう法人を見てきたからです。制度の義務ではありますが、私はこの報告を、1年の活動を数字と文章で振り返る機会だと思っています。寄付をくれた人、手伝ってくれた人に見せられるものを1年に1回作る。それが次の1年の活動の土台になります。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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