— 30秒でわかる結論 —
Q. 認定NPO法人になるには、設立からどのくらいかかりますか?
設立から1年を超えると申請できます。ただし本認定にはPST(パブリック・サポート・テスト)が必要で、実績のない法人には高い壁です。現実的な道筋は、設立から5年以内の法人が1回だけ受けられる特例認定(PST免除・有効期間3年)を先に取り、その3年間で本認定の基準を積むことです。小さな法人が狙いやすいのは絶対値基準で、各事業年度に3,000円以上の寄付をした人が年平均100人以上。賛助会員の年会費やイベント寄付を「寄付として名簿に載る形」で受け取れば、活動を続けるうちに積み上がります。いちばん大事なのは1年目です。寄付者名簿(氏名・住所・金額・受入日)は遡って作れません。設立初日から記録する仕組みと、会費・寄付・事業収入を分けた会計を整えてください(内閣府NPOホームページ・2026年9月11日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- 寄付や助成金で活動を支えるNPO法人の設立を考えている方
- 設立済みで、認定を目指すかどうか迷っている方
- 賛助会員制度や寄付の受け方を設計したい方
📗 関連の深掘り——設立後に毎年必ず回ってくる事業報告書等の提出(毎事業年度初めの3か月以内・7つの書類・未提出の過料と認証取消し)はこちらの記事で扱っています。
認定NPO法人は「取れたらいいな」ではなく、設立日から設計するものです
寄付や助成金で活動を支えるNPO法人にとって、認定NPO法人の制度は決定的に大きい仕組みです。寄付した個人・法人に税制優遇が付き、寄付を集める説得力が変わります。法人自身にもみなし寄附金という優遇があります。
ところが、認定に至る法人は多くありません。理由の多くは制度の難しさではなく、設立時に設計していなかったことにあります。寄付者名簿をつけていない、会費と寄付の区分が会計上あいまい、設立から1年を超えても申請していない。この記事は、設立日からの5年間を1本の線表にして、認定にたどり着く設計を示します(内閣府NPOホームページ「認定制度について」「認定NPO法人自身に対する税の優遇措置」。2026年9月11日確認)。
2つの認定——本認定と特例認定
| 認定NPO法人 | 特例認定NPO法人 | |
|---|---|---|
| 申請できる法人 | 設立から1年を超え、PSTを含む基準に適合する法人 | 設立から5年以内の法人(1回限り) |
| パブリック・サポート・テスト(PST) | 必要 | 免除 |
| 有効期間 | 5年(更新は満了6か月前〜3か月前に申請) | 3年(更新なし) |
| 寄付者の税制優遇 | あり | あり |
| みなし寄附金(法人自身の優遇) | あり | なし |
ポイントは、設立から5年以内ならPSTを免除した特例認定を1回だけ受けられることです。実績のない法人でも、まず特例認定で寄付者への優遇を手に入れ、その3年間で本認定の基準を積む。これが小さな法人の現実的な道筋です。
PSTの3つの基準——どれを狙うか
| PSTの基準 | 内容 | 小さな法人にとっての現実味 |
|---|---|---|
| 相対値基準 | 経常収入に占める寄附金等収入の割合が5分の1以上 | 委託・給付費など事業収入が大きい法人ほど達成が難しい |
| 絶対値基準 | 各事業年度の寄附金が3,000円以上の寄附者が年平均100人以上 | 会費のかたちでも積み上がる。小さな法人が最も狙いやすい |
| 条例個別指定 | 事務所のある都道府県・市区町村の条例で個別に指定を受けている | 自治体に制度があるかどうかによる |
多くの小さな法人は絶対値基準を狙います。年平均100人の寄付者は、月額換算で毎月8〜9人が名簿に加わるペースです。賛助会員の年会費、イベントでの寄付、月額寄付。「寄付として名簿に載る形」で受け取る設計にしておけば、活動を続けているうちに積み上がります。
設立から本認定までの5年線表
| 年 | 節目 | やること |
|---|---|---|
| 設立〜1年目 | 設立認証・登記。寄付者名簿の整備 | 初日から寄付者名簿(氏名・住所・金額・受入日)をつける。会費と寄付の区分を会計で明確にする |
| 1年超〜 | 特例認定の申請が可能に | 設立1年超で申請。PSTは免除だが、それ以外の基準(運営組織・経理・事業活動・情報公開など)は満たす必要がある |
| 特例認定の3年間 | 寄付者の税制優遇を武器に、寄付者100人を積む | 3,000円以上の寄付者を年平均100人。会費・賛助会員・イベント寄付を名簿に載る形で設計する |
| 特例認定の満了前 | 本認定の申請 | 絶対値基準を満たしていれば本認定へ。満たしていなければ特例認定は更新できないため、ここが分岐点 |
| 本認定の5年間 | みなし寄附金の活用、更新準備 | 収益事業の所得を本来事業に使う設計。更新は満了6か月前〜3か月前 |
この線表でいちばん大事なのは1年目です。寄付者名簿は、さかのぼって作れません。設立初日から、氏名・住所・金額・受入日を記録する仕組みを作ってください。会計上も、会費収入・寄付金収入・事業収入を分けて計上しておくと、PSTの計算がそのまま出せます。
認定を狙う法人が、設立時の定款で決めておくこと
- 会費の性質——正会員の会費は「対価性」の考え方により寄付として扱えない場合がある。賛助会員・寄付会員の区分と、それぞれの会費の性質を定款・規程で明確にする
- その他の事業——収益事業で得た資産を本来事業に使う設計(みなし寄附金の活用)は、定款に「その他の事業」を書いていないとできない。あとから足すには変更認証で数か月かかる
- 情報公開の体制——認定の基準には情報公開が含まれる。事業報告書・役員名簿・定款を閲覧に供する体制を設立時から整える
- 役員・社員の構成——認定には運営組織に関する基準もある。役員の親族制限や報酬役員の割合は、設立時の定款で決まる(役員構成と社員10人の実務)
介護・障害福祉の事業者の方へ
給付費で回る指定サービスをNPO法人で運営している場合、収入に占める寄付の割合は小さく、相対値基準は届きにくくなります。認定を目指すなら絶対値基準(寄付者100人)一択で、家族会・賛助会員・地域の支援者を名簿に載せる設計が要ります。指定サービスとNPOの相性は障害福祉でNPOが有利になる6つの場面で整理しています。
「うちは認定を目指すべきか、目指せるか」
認定を目指すかどうかは、活動資金の入り口が寄付・助成金なのか、委託・事業収入なのかで決まります。相対値基準は事業収入が大きいほど難しく、絶対値基準は寄付者を積む仕組みがあるかどうかで決まります。設立の相談の段階で、5年後に認定を目指すかを決めておくと、定款・会計・名簿の設計が最初から揃います。
当事務所では60分の無料相談をお受けしています。NPO法人設立サポートは税込200,000円(設立登記は提携司法書士が担当・報酬別途。お見積りは登記報酬を含む総額を書面でお出しします)。設立の可否や法人格の選び方の段階でのご相談は、ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応しています。詳しくはNPO法人設立サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 内閣府NPOホームページ「認定制度について」(認定・特例認定の基準、PSTの3基準、有効期間、申請できる時期。2026年9月11日確認)
- 内閣府NPOホームページ「認定NPO法人自身に対する税の優遇措置(みなし寄附金制度)」(2026年9月11日確認)
- 特定非営利活動促進法 第44条〜第58条(認定・特例認定)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県で認定を目指す方へ
千葉県内のNPO法人の所轄庁は、千葉市内のみに事務所がある場合は千葉市長、それ以外は千葉県知事です(千葉県は県民生活課NPO法人班043-223-4137)。認定の申請先も同じです。条例個別指定の制度があるかどうかは自治体によって異なるので、PSTの基準を選ぶ前に所轄庁に確認してください。松戸・市川・流山など県所轄の地域からのご相談は、オンラインでもお受けしています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
「認定はいつか取れたらいいなと思っています」と言われることがあります。その「いつか」を、設立日に決めてしまうのが私のおすすめです。理由はひとつで、寄付者名簿が遡って作れないからです。設立から3年経って認定を目指そうとしたとき、最初の3年分の寄付者が名簿にいない。それだけで絶対値基準の達成が3年遅れます。設計は難しくありません。名簿と、会計の科目分けと、定款の会員区分。設立時に30分決めておけば済むことが、あとからだと3年かかる。そういう話です。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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