— 30秒でわかる結論 —
Q. ご夫婦でNPO法人を立ち上げたいのですが、2人とも理事になれますか?
役員の総数によります。NPO法第21条により、役員総数が5人以下の場合は配偶者や三親等以内の親族を役員に入れられません。理事3人・監事1人の最小構成で夫婦が理事、という形は組めないということです。役員総数が6人以上なら、各役員について親族は1人まで、かつ役員と親族の合計が総数の3分の1以下という条件で可能になります。ご夫婦で理事になるなら理事5人+監事1人(役員総数6人)が最小構成です。もうひとつの選択肢は、配偶者を役員に入れず事務局職員として給与を受ける形。総会の議決権は社員として持てます。このほか理事3人以上・監事1人以上(第15条)、報酬を受ける役員は総数の3分の1以下(第2条第2項第1号ロ)、設立認証には社員10人以上(第12条第1項第4号)が必要です。社員は設立後も10人を下回れないので、12〜15人を確保しておくことをおすすめしています。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- ご夫婦・親子でNPO法人を立ち上げようとしている方
- 協力者が6〜8人しかおらず、社員10人をどう集めるか悩んでいる方
- 理事が事務局長を兼ねて給与を受けてよいか迷っている方
NPO法人の設立で、いちばん多く止まるのは「人」の要件です
NPO法人の設立相談で、書類より先につまずくのが役員と社員の構成です。理事3人・監事1人、社員10人、そして役員の親族制限。「ご夫婦で立ち上げたい」「協力してくれる人が6〜7人」という段階で、法の要件と噛み合わないことがよくあります。この記事は、NPO法の条文にもとづいて、役員構成と社員10人をどう組むかを整理します(内閣府NPOホームページ、特定非営利活動促進法。2026年9月11日確認)。
役員の要件——人数・報酬・親族
| 項目 | NPO法の要件 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 理事・監事の人数 | 理事3人以上、監事1人以上(第15条) | 理事と監事の兼任は不可。監事は理事や職員を兼ねられない |
| 報酬を受ける役員 | 役員総数の3分の1以下(第2条第2項第1号ロ) | 役員報酬と、職員としての給与は別。理事が職員を兼ねて給与を受けるのは「役員報酬」ではない |
| 親族制限(役員総数5人以下) | 配偶者・三親等以内の親族を役員に入れられない(第21条) | ご夫婦・親子で立ち上げる場合、役員が5人以下だとどちらか一方しか役員になれない |
| 親族制限(役員総数6人以上) | 各役員について親族は1人まで、かつ役員と親族の合計が総数の3分の1以下(第21条) | 6人なら親族は最大2人(本人+1人)。夫婦で役員になるなら理事5人+監事1人が最小構成 |
| 欠格事由 | 一定の刑罰、暴力団関係、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者など(第20条) | 就任承諾書とあわせて確認 |
いちばん誤解が多いのが親族制限です。役員総数が5人以下のとき、配偶者や三親等以内の親族は役員に入れられません。「理事3人・監事1人の最小構成で、夫婦が理事」という形は組めないということです。ご夫婦で役員になるなら、役員総数を6人以上にする必要があります。
もうひとつ、報酬を受ける役員が総数の3分の1以下という要件は、理事が職員として給与を受けることを妨げるものではありません。理事長が事務局長を兼ね、事務局長としての給与を受けるのは「役員報酬」ではなく給与です。ただし、その区分は定款・規程・会計で明確にしておく必要があります。
社員10人——「集める」より「設計する」
NPO法は、設立認証の要件として10人以上の社員を求めています(第12条第1項第4号)。社員は総会で議決権を持つ構成員で、株式会社の株主に近い立場です。ここを「とにかく名前を10人並べる」と考えると、設立後に困ります。
| 集め方 | ポイント |
|---|---|
| 活動の受益者ではなく「賛同者」から | 社員は総会で議決権を持つ。受益者やその家族だけで固めると、総会が機能しにくい |
| 入会の条件を不当に制限しない | NPO法は社員の資格の得喪に不当な条件を付けることを禁じている。「役員の推薦が必要」などは慎重に |
| 法人・団体も社員になれる | 個人だけでなく、協力企業や他団体を社員にすることもできる(定款の定めによる) |
| 社員と賛助会員を分ける | 総会の議決権を持つ「社員(正会員)」と、資金面で支える「賛助会員」を定款で分けておく。認定NPOを目指すなら賛助会員の会費を寄付として設計しやすい |
| 10人は設立時だけの要件ではない | 設立後に10人を下回った状態が続くと、法の要件を満たさない。退会に備えて余裕を持つ |
実務上のおすすめは、設立時点で12〜15人を確保しておくことです。設立後の退会や連絡不能で10人を割ると、法の要件を満たさない状態になります。総会の定足数(定款で定める。多くは社員総数の2分の1以上)を考えても、余裕があるほうが運営は楽です。
ご夫婦・親子で立ち上げる場合の現実的な構成
- 理事5人+監事1人——役員総数6人。夫婦のうち一方が理事長、もう一方も理事。親族2人は「各役員について1人まで」「合計が3分の1以下(6人なら2人)」を満たす
- 理事3人+監事1人で、配偶者は役員に入れず職員に——役員総数4人。配偶者は事務局職員として給与を受ける形。総会の議決権は社員として持てる
- 理事7人以上——親族の上限は「3分の1以下」で計算する。7人なら2人、9人なら3人まで
どの形にするかは、「誰が意思決定に関わるべきか」と「誰が日常業務を担うか」を分けて考えると決まります。役員は前者、職員は後者です。
介護・障害福祉の事業者の方へ
障害福祉の指定申請では、法人の役員が欠格事由に該当しないことを誓約します。NPO法の欠格事由(第20条)とは別に、障害者総合支援法・児童福祉法の欠格事由(指定取消しから5年など)も確認が必要です。役員構成を決める段階で両方を見ておくと、指定申請の直前で差し戻される事態を避けられます。
「この人数と顔ぶれで、設立できますか」
役員と社員の構成は、設立認証の可否を左右するのに、書類を作り始めてから気づくことが多い論点です。いま集まっている方の人数・関係性・誰が報酬を受けるかを伺えば、組める構成はその場で答えられます。
当事務所では60分の無料相談をお受けしています。NPO法人設立サポートは税込200,000円(設立登記は提携司法書士が担当・報酬別途。お見積りは登記報酬を含む総額を書面でお出しします)。設立の可否や法人格の選び方の段階でのご相談は、ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応しています。詳しくはNPO法人設立サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 特定非営利活動促進法 第2条第2項(報酬を受ける役員)、第12条第1項第4号(社員10人以上)、第15条(役員の定数)、第20条(役員の欠格事由)、第21条(役員の親族等の排除)
- 内閣府NPOホームページ「認証制度について」(設立認証の要件。2026年9月11日確認)
- 内閣府「特定非営利活動法人の設立及び運営の手引」(役員総数5人以下の場合の親族制限の取扱い)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県で設立する方へ——役員構成は所轄庁の事前相談で
千葉県内のNPO法人の設立認証は、千葉市内のみに事務所がある場合は千葉市、それ以外は千葉県(県民生活課NPO法人班043-223-4137)が所轄庁です。役員の親族制限や社員の資格に関する定款の書き方は、認証申請の前に所轄庁の相談窓口で確認を受けられます。書類を作ってから差し戻されるより、構成が固まった段階で一度相談するほうが早く進みます。松戸・市川・流山からのご相談はオンラインでもお受けしています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
私自身、いまNPO法人の設立を準備していて、この「人」の要件にいちばん時間を使いました。理事3人はすぐ決まっても、監事を誰に頼むか、社員10人をどう集めるか。名前を貸してもらうのではなく、総会に来て意見を言ってくれる人を、と考えると簡単ではありません。でもここで集めた10人が、法人の最初の応援団になります。要件だからではなく、その意味で、丁寧に集めたいと思っています。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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