— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人の定款は、あとから事業を追加できますか?

できますが、所轄庁の認証が必要で、数か月かかります。NPO法第25条により、目的・名称・特定非営利活動の種類(20分野)と事業の種類・その他の事業・社員の資格の得喪・役員に関する事項(定数を除く)・会議・解散・所轄庁の変更を伴う事務所の移転などは、社員総会の議決(原則、社員総数の2分の1以上の出席と出席者の4分の3以上の賛成)のうえ、所轄庁の認証を受けて初めて効力が生じます。設立認証と同様に縦覧と審査を経ます。一方、所轄庁の変更を伴わない事務所の所在地・役員の定数・資産・会計・事業年度・公告の方法などは届出のみで、総会の議決時点で効力が生じます。設立後に事業を広げるときに触りたい項目は、ほぼ認証が必要な側です。だから設立時に「3年以内にやる可能性のある活動」まで定款に書き切るのが実務の鉄則です。書いてあっても始める義務はなく、書いていない事業は始められません(内閣府NPOホームページQ&A・2026年9月11日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • NPO法人の設立を準備していて、定款の目的・事業を書いているところの方
  • 設立済みで、いまの活動が定款に入っているか不安な方
  • 委託・助成金・指定管理への応募を考えている方

NPO法人の定款は「あとで直せばいい」が通じません

株式会社の定款変更は、株主総会の特別決議と登記で済みます。NPO法人は違います。目的・事業・活動分野といった中核部分を変えるには、所轄庁の認証が必要で、設立認証と同じように縦覧と審査を経ます。数か月単位の時間がかかり、その間は変更後の事業を定款上の根拠なく進めることになります。

だから、NPO法人の定款は設立時に「将来やること」まで書き切るのが実務の鉄則です。この記事は、業種を問わず、目的と事業の書き方と、あとから変えるときの手続を整理します(内閣府NPOホームページQ&A、特定非営利活動促進法第25条。2026年9月11日確認)。

変更に「認証」が要る事項と「届出」で済む事項

変更する事項手続
目的、名称、特定非営利活動の種類(20分野)と事業の種類、その他の事業に関する事項、社員の資格の得喪、役員に関する事項(定数を除く)、会議、解散、定款変更に関する事項、所轄庁の変更を伴う事務所の移転 など所轄庁の認証が必要(社員総会の議決後、認証を受けて効力発生。設立認証と同様に縦覧と審査を経る)
所轄庁の変更を伴わない事務所の所在地、役員の定数、資産に関する事項、会計に関する事項、事業年度、公告の方法 など届出のみ(総会の議決の時点で効力発生。登記事項なら変更登記も必要)

この表でわかるとおり、設立後に事業を広げるときに触りたくなる項目は、ほぼすべて認証が必要な側です。目的、活動分野、事業の種類、その他の事業。ここを設立時に狭く書いてしまうと、拡大のたびに認証手続が発生します。

認証には社員総会の議決も要ります。原則として社員総数の2分の1以上が出席し、出席者の4分の3以上の賛成(定款で別段の定めができる)。総会の招集から認証まで、実務では数か月を見ておく必要があります。

目的と事業の書き方

定款の項目書き方の要点よくある失敗
目的誰の・どんな課題に・何をして・どういう状態を目指すかを、活動の実態に合わせて書く抽象的すぎて、あとから始めた事業が目的に読み込めない
特定非営利活動の種類NPO法別表の20分野から該当するものを列挙。将来やる可能性のある分野も入れておく設立時の1分野だけにして、事業拡大のたびに変更認証
特定非営利活動に係る事業事業の名称を「◯◯事業」として列挙。委託・補助・助成の応募資格で求められる事業名を意識する委託事業の応募要領にある事業名が定款にないため応募できない
その他の事業収益事業で本来事業を支える計画があるなら、設立時に書く。利益は本来事業に充てる旨も記載設立時に書かず、あとから足すのに変更認証で数か月
許認可事業を行う場合介護・障害福祉・保育などは、根拠法と事業名を法令の用語で明記指定申請の際に定款の目的で差し戻される(福祉事業の定款の書き方

コツは、「いま確実にやること」と「3年以内にやる可能性があること」を分けて書き出し、後者も定款に入れることです。定款に書いてあるからといって、その事業をすぐに始める義務はありません。逆に、書いていない事業は始められません。

業種別に見た「書き忘れやすい事業」

  • 子ども・教育系——学習支援を書いていて、居場所づくり・食事提供(子ども食堂)・保護者支援を書いていない。活動が広がったときに定款外になりやすい
  • 地域・まちづくり系——イベント運営を書いていて、行政からの受託調査・研究、施設の指定管理を書いていない。委託・指定管理の応募要領は、定款上の事業を確認する
  • 福祉・医療系——障害福祉サービス事業を書いていて、相談支援・地域生活支援事業の受託・研修事業を書いていない
  • 環境・文化・スポーツ系——普及啓発を書いていて、物販・講座・出版などの「その他の事業」を書いていない。収益で本来事業を支える設計が定款上できない
  • 共通——調査研究、政策提言、他団体との連携・支援、情報発信。どの分野でも実際にやることになる活動が抜けやすい
要確認:認証が必要な事項と届出で足りる事項の区分、総会の議決要件、審査の期間は、特定非営利活動促進法および所轄庁の手引でご確認ください。定款の記載が許認可の要件を満たすかどうかは、各許認可の所管庁の判断によります。設立登記・変更登記は司法書士が担当します。本記事は2026年9月11日時点の整理です。

介護・障害福祉の事業者の方へ
指定申請では、定款の目的・事業に根拠法と事業名が法令の用語で明記されていることが求められます。NPO法人の場合、ここが不足していると変更認証で数か月かかり、指定日がずれます。福祉事業に特化した定款の書き方はNPO法人で介護・障害福祉事業を始める順番にまとめています。

「この活動、定款に入っていますか」

すでに設立しているNPO法人の方は、いまの活動と定款の事業を一度並べてみてください。定款にない活動が見つかることは珍しくありません。これから設立する方は、3年以内にやる可能性のある活動を洗い出すところからです。

当事務所では、設立時の定款設計と、設立後の変更認証・届出の両方をお受けしています。委託・助成金・指定管理の応募要領から逆算して事業名を設計するところまで、業種を問わずお手伝いしています。

当事務所では60分の無料相談をお受けしています。NPO法人設立サポートは税込200,000円(設立登記は提携司法書士が担当・報酬別途。お見積りは登記報酬を含む総額を書面でお出しします)。設立の可否や法人格の選び方の段階でのご相談は、ご依頼にならなくても構いません。オンラインで全国対応しています。詳しくはNPO法人設立サポート、またはお問い合わせフォームからどうぞ。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県で設立する方へ——定款は所轄庁の事前確認を

千葉県内のNPO法人の所轄庁は、千葉市内のみに事務所がある場合は千葉市、それ以外は千葉県(県民生活課NPO法人班043-223-4137)です。定款の目的・事業の書き方は所轄庁の審査基準によるところがあり、認証申請の前に定款案の事前確認を受けられます。委託や助成に応募する予定があれば、その応募要領の事業名を持参して確認すると確実です。松戸・市川・流山からのご相談はオンラインでもお受けしています。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

定款の相談で私がいつも伺うのは「3年後、どんな活動をしていたいですか」です。設立時の活動を書くのは簡単で、難しいのは3年後を書くことです。でもその3年後を書いておくと、活動が広がったときに定款が足かせになりません。NPO法人の定款は、株式会社の定款より重い。だからこそ、最初に少しだけ未来を書いておく。それだけで、数か月の認証手続を1回か2回、省けます。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

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