— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人の役員が変わっていないのですが、何か手続きは必要ですか?
必要な場合があります。NPO法人の役員には任期(2年以内で定款に定める)があり、任期満了で同じ人が続く「重任」でも、総会での選任・登記・所轄庁への届出が必要です。「メンバーは変わっていないから何もしていない」という法人が最も多くつまずくところです。手続きは2系統に分かれます。所轄庁へは役員変更等届出書(理事・監事のいずれの変更も対象)、法務局へは登記(理事は登記事項で、変更から2週間以内が原則。監事は登記事項ではない)。どちらか一方だけをやっている法人が少なくありません。届出を怠った場合はNPO法第80条により20万円以下の過料の対象となり、登記の懈怠も過料の対象となり得ます。すぐに何かが起きなくても、助成金への応募、認定NPO法人の審査、毎年の事業報告書の提出のときに過去の未処理がまとめて表に出ます。数年分たまっていても順に片付けられるので、定款の任期・設立時の就任日・登記事項証明書を突き合わせるところから始めてください(2026年9月15日時点)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- NPO法人を設立して2年以上経ち、役員の手続きをしていない方
- 監事が交代したが登記が要るのか分からない方
- 助成金や認定NPO法人の申請を控えている法人
NPO法人でいちばん見落とされるのは「重任」の手続きです
NPO法人の役員には任期があります(2年以内で定款に定める)。任期が満了して同じ人が続けることを重任といいますが、同じ人が続くだけでも、総会での選任・登記・所轄庁への届出が必要です。
「メンバーは変わっていないから、何もしていません」——設立から2年、4年と経った法人でよく聞く言葉です。悪気はなく、変更がないと思っているだけです。ただ制度上は、任期満了のたびに手続きが発生します。
何が変わったら、どこに出すのか
| 変更の内容 | 所轄庁への手続き | 登記 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 理事の就任・退任・重任 | 役員変更等届出書(遅滞なく) | 必要(理事は登記事項) | 登記は変更から2週間以内が原則 |
| 監事の就任・退任 | 役員変更等届出書 | 不要(監事は登記事項ではない) | 届出は遅滞なく |
| 理事の氏名・住所の変更 | 役員変更等届出書 | 代表権のある理事は登記が必要 | 同上 |
| 役員の任期満了・再任(重任) | 役員変更等届出書 | 必要(再任でも登記する) | 見落としが最も多い |
| 役員の定数の変更 | 定款変更(届出で足りる事項) | — | 総会の議決後に届出 |
ポイントは「所轄庁への届出」と「登記」は別の手続きだということです。理事(代表権のある者)は登記事項なので法務局へ、役員全体の変更は所轄庁へ。どちらか一方だけをやっている法人が少なくありません。
監事は登記事項ではないため、監事が交代しても登記は不要ですが、所轄庁への届出は必要です。ここも取り違えが起きやすいところです。
放置すると、どうなるか
| 放置すると | 根拠・実務 |
|---|---|
| 20万円以下の過料 | NPO法第80条は、届出を怠った場合等に過料を定めている。役員変更等届出書の懈怠も対象 |
| 登記の懈怠による過料 | 登記すべき事項を期間内に登記しないときは、組合等登記令・関係法令により過料の対象となり得る |
| 事業報告書等の提出でつまずく | 毎年の年間役員名簿と登記の内容が食い違い、所轄庁から補正を求められる |
| 助成金・委託の申請で止まる | 応募書類に登記事項証明書と役員名簿を添えるため、内容が一致しないと確認に時間がかかる |
| 認定NPO法人の審査で不利 | 運営組織の基準に関わるため、届出・登記の履歴は見られる |
すぐに何かが起きるわけではありません。しかし、助成金に応募しようとしたとき、認定NPO法人を目指したとき、事業報告書を出したときに、過去の未処理がまとめて表に出ます。そのときに慌てて数年分を遡るより、任期のたびに片付けるほうがはるかに楽です。
手続きの順番
| 順番 | やること |
|---|---|
| ①総会・理事会 | 役員の選任(任期満了に伴う再任も含む)を決議し、議事録を作る |
| ②就任承諾書・誓約書 | 新任・再任の役員から取る。欠格事由に該当しないことの誓約も |
| ③登記(理事) | 代表権のある理事の変更は2週間以内に登記。司法書士に依頼するか、自分で申請する |
| ④所轄庁へ届出 | 役員変更等届出書に、変更後の役員名簿、就任承諾書・誓約書の写し、住所を証する書面などを添える |
| ⑤控えの保管 | 議事録・届出の控え・登記事項証明書を1か所に。翌年の事業報告書で使う |
③の登記を先に済ませてから④の届出に進むと、登記事項証明書を添えられて話が早くなります(所轄庁によっては登記完了後の提出を求めます)。登記は司法書士の業務ですが、NPO法人は自分で申請する法人も多く、その場合も2週間以内という期限は変わりません。
任期を「忘れない仕組み」にする
- 定款の任期と、設立時の役員の就任日から、次の満了日を逆算してカレンダーに入れる——2年任期なら2年ごと。総会の時期と合わせておくと回しやすい
- 毎年の事業報告書の作成時に、役員名簿と登記事項証明書を突き合わせる——年1回の定点観測になる(事業報告書は毎事業年度初めの3か月以内)
- 役員の親族制限・報酬役員の割合も同時に確認する——役員を入れ替えるときに要件を外れることがある(役員構成の実務)
介護・障害福祉の事業者の方へ
NPO法人で指定サービスを運営している場合、役員変更は所轄庁への届出・登記に加えて、指定権者への変更届(10日以内)も必要になることがあります。3つの届出先を1つのカレンダーに載せておくと漏れません。運営中の届出の全体像は体制等状況一覧表の記事もあわせてご覧ください。
「何年分たまっているか分からない」という方へ
設立から数年経って、役員変更の届出も登記もしていない——という状態でも、順に片付けられます。当事務所では60分の無料相談で、定款の任期・設立時の役員の就任日・登記事項証明書の内容を突き合わせ、いつの分から何が必要かを整理します。登記は提携司法書士と連携し、所轄庁への届出は当事務所でお受けします。
定款と登記事項証明書(最新のもの)、過去の総会議事録をご用意ください。ご依頼にならなくて構いません。オンラインで全国対応です。NPO法人の設立・運営、またはお問い合わせフォームからどうぞ。
参考にした一次資料
- 特定非営利活動促進法 第23条(役員の変更等の届出)、第24条(役員の任期)、第80条(過料)
- 内閣府NPOホームページ「認証制度について」(法人格取得後の義務、役員変更等の届出)。2026年9月15日確認
- 組合等登記令(NPO法人の登記事項と登記期間)
- 当事務所のNPO法人の設立・運営サポートでの実務
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県のNPO法人の方へ
千葉県内のNPO法人の所轄庁は、千葉市内のみに事務所がある場合は千葉市、それ以外は千葉県(県民生活課NPO法人班043-223-4137)です。役員変更等届出書の様式と添付書類は所轄庁の手引で確認してください。登記は主たる事務所を管轄する法務局です。松戸・市川・流山の法人からのご相談はオンラインでもお受けしています。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
設立のお手伝いをした法人には、認証の日に「2年後にもう一度会いましょう」とお伝えしています。任期の満了です。設立は気合いが入りますが、2年後の重任は誰も気づきません。私はそれを、法人が続いている証拠だと思っています。続いているから任期が来る。だから手続きも、続けるための作業として一緒にやります。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
プロフィールを見る →