— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人の定款の附則に書いた設立当初の任期・事業年度・会費は、変更・削除できますか?

附則に昔の任期や会費が残っていて気になっている方へ。設立当初の役員の任期、事業年度、年会費等は、法に定められていない任意的記載事項なので、削除等は可能と考えられています。ただし削除等は好ましいものではないとされ、設立当初の役員の名前は附則に載せ続けるのが一般的です(内閣府NPO法Q&A 2-2-1・2-2-2、特定非営利活動促進法 第11条第2項(2026年10月10日確認))。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 定款の附則に、もういない役員の名前や設立当初の会費が残っていて、直すべきか迷っているNPO法人の方
  • 会費や任期を見直したいが、附則と本則のどちらを変えればいいか分からない理事・事務局の方
  • 附則だけを直す場合に、認証か届出かを確かめたい方

ご相談いただくと、こう進みます

  1. 最初の60分の無料相談で、定款の本則と附則を並べ、直したい中身が「設立当初の記録」か「今の決まり」かを一緒に分けます
  2. ご依頼後は、総会の議案と議事録、所轄庁への届出または認証申請の書類づくりを進めます
  3. その後は、役員の改選や事業年度の終わりに合わせて、定款と届出のずれを毎年確認します

「定款の附則に、もういない役員の名前や昔の会費が残っている」と気になっている方へ。設立当初の役員は残し、任期・事業年度・会費は削除も可能です

NPO法人を作って数年。久しぶりに定款を見返すと、最後の附則に、設立当初の役員の名前、最初の任期、最初の事業年度、設立当初の会費の額が並んでいる。役員は入れ替わったし、会費も見直したい。「附則も直さないといけないの? 消してもいいの?」と迷う場面です。内閣府のNPO法Q&Aにも、この質問がそのまま載っています。「設立当初に定款の附則に記載した、設立当初の役員の任期、事業年度、年会費等について、変更、削除することはできますか。」

答えはこうです。定款の附則の性質から、削除等は好ましいものではありませんが、質問のケースの事項については、法に定められていない任意的記載事項ですので、削除等は可能と考えます(制度。内閣府NPO法Q&A 2-2-2(2026年10月10日確認))。

一方で、設立当初の役員の名前は別です。法律は「設立当初の役員は、定款で定めなければならない」としていて(第11条第2項)、Q&Aは、設立当初の定款に一度記載すれば足りるものではなく、一般的には定款の附則において掲載し続けることになる、としています(2-2-1)。

附則の項目ごとの早見表——残すもの、削除も可能なもの

ひとことで言うと、名前は残す、それ以外は「消せるが、消さなくても困らない」ものが多い、という整理です。千葉県の手引きの定款作成例の附則に沿って並べました。

附則の項目(千葉県の作成例)扱い根拠
1 この定款は、この法人の成立の日から施行する設立当初の記録千葉県の作成例
2 設立当初の役員必要的記載事項。附則に載せ続けるのが一般的第11条第2項・内閣府Q&A 2-2-1
3 設立当初の役員の任期任意的記載事項。削除等は可能(好ましいものではない)内閣府Q&A 2-2-2
4 設立当初の事業計画及び予算Q&Aの例示には無い。扱いは所轄庁に確認(要確認)―
5 設立当初の事業年度任意的記載事項。削除等は可能(好ましいものではない)内閣府Q&A 2-2-2
6 設立当初の入会金及び会費「年会費等」として、削除等は可能(好ましいものではない)内閣府Q&A 2-2-2

(制度。内閣府NPO法Q&A 2-2-1・2-2-2、特定非営利活動促進法 第11条、千葉県「特定非営利活動法人申請・届出の手引き」の定款作成例の附則(2026年10月10日確認))

所轄庁で書き方が違います——「削除等は可能」と「変更しない」

結論として、附則を触る前に、所轄庁の考え方を確かめます。内閣府のQ&Aは「削除等は可能と考えます」としています。これに対し、千葉県の手引きの定款作成例は、附則の注に「設立当初の記載内容は、成立後において変更しない。」と書いています(千葉県の手引き(2026年10月10日確認))。

どちらも「附則は設立当初の記録」という考え方では同じです。ただ、削除まで認めるかどうかの書きぶりが違います。千葉県内に事務所がある法人が附則を削除したいときは、事前に所轄庁に確認してから総会にかけるのが安全です(要確認)。

役員が入れ替わったときの扱いも、所轄庁のFAQで確かめられます。宇都宮市のFAQは、附則に記載されている設立当初の役員に変更が生じても、あくまでも設立当初の内容を記載しているため、変更の手続きは不要、としています。ただし、役員変更の届出は必要です(宇都宮市FAQ・令和8年1月14日更新(2026年10月10日確認))。役員変更の届出の期限と書類は役員変更の届出にまとめています。

— この段階でご相談いただく理由 —

附則を直したい理由が「今の会費を変えたい」「任期を整えたい」なら、本当に直すべきなのは本則のほうかもしれません。定款全体を見て、総会の議決だけで済むのか、届出か認証かを先に整理します。

NPO法人設立・運営のサポートを見る

本当に変えたいのは「今の会費」ではありませんか

ひとことで言うと、会費を見直したいだけなら、附則を触らずに済むことが多いです。千葉県の定款作成例は、本則の第8条で「会員は、総会において別に定める入会金及び会費を納入しなければならない。」とし、附則で「設立当初の入会金及び会費は、この定款の規定にかかわらず」設立当初の額を書く形です(千葉県の手引き(2026年10月10日確認))。

この形の定款なら、今の会費は総会で決めるもので、附則の額は「設立当初の額」の記録として残ります。附則を消さなくても、会費は見直せる、ということです(当事務所の見解)。会費の決め方はNPO法人の会費の決め方にまとめています。

任期も同じです。千葉県の作成例の注は、設立当初の役員の任期の至年月日は、成立の日から2年を超えてはならない、としています。あわせて、総会の開催時期を考慮に入れ、役員任期の末日を事業年度の末日の2〜3か月後にずらしておくと、法人運営に支障をきたすおそれが少ない、としています(千葉県の手引き(2026年10月10日確認))。任期のずれで困っているなら、見直すのは本則の任期の条文のほうです。

附則だけを直すときも、認証か届出かは条文で決まります

結論として、附則だけの修正でも、定款の変更です。内閣府のQ&Aは、変更する事項が第25条第3項に定める認証事項に該当するのか、同条第6項の届出事項に該当するのかによって変わる、としています(2-2-3)。

確かめる順番中身根拠
1 社員総会の議決定款の変更は、定款で定めるところにより、社員総会の議決を経る。社員総数の2分の1以上が出席し、出席者の4分の3以上の多数(定款に特別の定めがあるときは、この限りでない)第25条第1項・第2項
2 認証事項か第11条第1項の目的・名称・活動の種類・社員の資格・役員(定数を除く)・会議・その他の事業・定款の変更などに係る変更は、所轄庁の認証を受けなければ効力を生じない第25条第3項
3 届出事項か認証事項に係るもの以外の変更は、遅滞なく、議事録の謄本と変更後の定款を添えて所轄庁に届け出る第25条第6項
4 変更の履歴附則に変更履歴を追加する場合、認証の日から有効になるので、年月日は空欄のまま申請し、認証通知後に記入する(千葉県の記載例)千葉県の手引き

(制度。特定非営利活動促進法 第25条、内閣府NPO法Q&A 2-2-3、千葉県の手引きの定款変更認証申請の記載例(2026年10月10日確認))

たとえば事業年度(第11条第1項第10号)は、第25条第3項の列挙に入っていません。一方、附則のある項目の削除が、どの号の事項に係る変更に当たるかは、条文だけでは決めきれない場面があります。届出で足りるか、認証が要るかは、総会の前に所轄庁に確認してください(要確認)。定款変更の認証と届出の全体像は定款変更の認証と届出に整理しています。

作った当事者の目で見ると

自分で社員を集めてNPO法人の認証を取った立場から言うと、附則は「設立のときの予定」を書く場所です。任期の末日も、最初の事業年度も、設立総会の時点の見通しで決めます。だから数年たって読み返すと、今とずれているのは当たり前なんですよね。ずれていること自体は、附則の性格からすると自然です。気にするべきなのは附則より、今の運営を決めている本則のほうだと思っています。

今日やること——3つだけ

まず、定款の附則と本則を並べて、直したい中身が「設立当初の記録」なのか「今の決まり」なのかを分けます。で、今の決まりなら、本則の該当する条文と、総会の議決だけで済むかを確かめます。最後に、附則を削除するなら、その前に所轄庁に「届出か認証か」「削除してよいか」を確認します。この3つで、余計な定款変更をせずに済みます。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の所轄庁

千葉市にのみ事務所を置く法人は千葉市長、それ以外で千葉県内に主たる事務所を置く法人は千葉県知事が所轄庁です。千葉県の手引きの定款作成例は、附則の注に「設立当初の記載内容は、成立後において変更しない。」と書いています(2026年10月10日確認)。

※2026年10月10日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

附則に残った昔の会費の額を見て、「間違った定款のまま運営しているのでは」と心配される方がいます。でも附則は、設立のときの写真のようなものです。今を決めているのは本則のほう。慌てて消す前に、まず本則を読んでみてください。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。あわせて現在、地域の市民活動の人材育成講座を受講しており、講義と実地体験(2026年9月時点で3団体)を通じて、子育て支援・居場所づくり・福祉・環境など市民活動の現場の運営を学んでいます。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

プロフィールを見る →