— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人が会員からお金を借りて、利息をつけて返すのは「営利を目的としない」に反しますか?

改装費などを会員から借りて利息をつけて返したいが、非営利に反しないか迷っている方へ。適正な利息をつけて返済する金銭消費貸借契約を締結すること自体は問題ない、とされています。ただし利息の水準は総合的に判断され、不特定かつ多数の者に募集する形は出資法第2条第1項に違反する可能性があります(内閣府NPO法Q&A 2-4-9(2026年10月14日確認))。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 改装費や運転資金を、会員から借りて利息をつけて返したいNPO法人の理事の方
  • 会員に利息を払うことが「利益の分配」にならないか、理事会で説明できるようにしたい方
  • ホームページなどで広く貸付を募る形を考えていて、どこまでなら問題ないか確かめたい方

ご相談いただくと、こう進みます

  1. 最初の60分の無料相談で、借りたい金額・相手・募り方の案を伺い、判定表のどこに当たるかを一緒に見ます
  2. ご依頼後は、借入れを決める理事会・総会の議事録と、会員と交わす契約書の形を整えます
  3. その後は、毎年の事業報告書・計算書類で借入金と返済の状況が説明できるかを見直します

「改装費が足りないので、会員さんから借りて利息をつけて返したい。NPO法人がそれをやると、営利になってしまう?」と迷っている方へ。適正な利息をつけて返す借入れの契約を結ぶこと自体は問題ない、とされています

NPO法人で、活動の拠点を改装したい。金融機関に頼る前に、活動を応援してくれている会員から少しずつ借り、利息をつけて何年かかけて返したい。けれど、会員に利息を払うのは、利益を分けていることにならないか。理事会でそう話が止まる場面です。内閣府のNPO法Q&Aにも、ほぼ同じ質問が載っています。会員から一口10万円以上の貸付を募り、年1%の利息を付けて7年後に一括返済する金銭消費貸借契約は、「営利を目的としないもの」に抵触するのか、という質問です。

答えはこうです。「営利を目的としない」とは、法人が得た利益を社員に対して分配しないことを指すものであり、NPO法人が「借入金」に適正な利息をつけて返済する「金銭消費貸借契約」を締結すること自体は問題ないと考えます、とされています(制度。内閣府NPO法Q&A 2-4-9(2026年10月14日確認))。

ただし、条件が2つ付いています。1つは、利息の水準が利益の分配に当たらないこと。もう1つは、複数口に分けて不特定かつ多数の者に募集する形にしないこと。後者は、NPO法ではなく出資法の問題になります。

「営利を目的としない」とは——利益を社員に分配しないこと

ひとことで言うと、NPO法人が守る「非営利」は、もうけてはいけないという意味ではなく、もうけを社員に分けないという意味です。特定非営利活動促進法は、特定非営利活動法人を、営利を目的としないものであることなどの各号に該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人と定めています(第2条第2項第1号)。

Q&A 2-4-9 は、この「営利を目的としない」を、法人が得た利益を社員に対して分配しないことを指すもの、と説明しています。借りたお金に利息を払うのは、利益の分配ではなく、借りたことの対価です。だから適正な利息なら問題ない、という整理です(制度。同(2026年10月14日確認))。

利息の水準について、Q&Aは、市場における通常の利率の相場のみならず、契約に至った事実関係等も含めて総合的に判断する必要がある、としています。質問のケースは、年1%と、市場におけるローン利率と比して高いわけではないことから、契約に至る過程において悪意性、不正性が認められないようであれば、当該契約は適正であると判断してよい、とされました(同)。何%までなら大丈夫、という数字は示されていません(要確認)。

借り方ごとの判定表——問題ない形、確認が要る形

結論として、「誰から」「何人に」「どんな利息で」借りるかの3つで、確認する相手が変わります。Q&A 2-4-9 と関係する条文を、理事会で出てくる案の順に並べました。

借り方の案扱い根拠
会員と一対一で金銭消費貸借契約を結び、適正な利息をつけて返す契約を締結すること自体は問題ない内閣府Q&A 2-4-9
利息が市場のローン利率よりかなり高い利息の水準が利益の分配に当たるかを、市場の利率の相場と契約に至った事実関係等も含めて総合的に判断内閣府Q&A 2-4-9・NPO法 第2条第2項第1号
貸してくれた会員の入会金・年会費を免除するQ&Aの質問のケースに含まれ、そのケースは悪意性、不正性が認められないようであれば適正と判断された。免除の中身が違う場合は所轄庁に確認内閣府Q&A 2-4-9(要確認)
複数口に分けて、不特定かつ多数の者に募集する(擬似私募債)「擬似私募債」として認められず、出資法第2条第1項に違反する可能性があるため、金融庁への確認を要する内閣府Q&A 2-4-9・出資法 第2条
理事長本人から借りて、理事長が法人の代表として契約する理事と法人の利益が相反する事項にあたるかを確認。あたる場合、その理事は代表権を有しないNPO法 第17条の4・内閣府Q&A 2-3-12(当事務所の見解)

(制度。内閣府NPO法Q&A 2-4-9・2-3-12、特定非営利活動促進法 第2条第2項第1号・第17条の4、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 第2条(2026年10月14日確認))

理事長からの借入れについて、Q&Aに直接の答えはありません。理事長が所有する不動産を法人が借りる契約を理事長が法人の代表として結ぶ場合は利益相反行為になる、とされています(Q&A 2-3-12)。お金を借りる契約も同じように考えるのが自然ですが、手続を始める前に所轄庁に確認してください(当事務所の見解・要確認)。特別代理人の選任の流れは理事長の物件を事務所に借りるときの利益相反にまとめています。

— この段階でご相談いただく理由 —

会員からの借入れは、誰から・何人に・どんな利息で借りるかで、確認する相手がNPO法の所轄庁から金融庁まで変わります。募る前に、案を判定表に当てはめ、理事会・総会の決め方と契約書の形を一緒に整理します。

NPO法人設立・運営のサポートを見る

「不特定かつ多数」に募ると出資法の問題になる——預り金の禁止

ひとことで言うと、出資法は、業として預り金をすることを、他の法律に特別の規定のある者を除いて禁じています。ここでいう「預り金」とは、不特定かつ多数の者からの金銭の受入れであって、預金などのほか、社債、借入金その他いかなる名義をもつてするかを問わず、預金などと同様の経済的性質を有するものをいう、とされています(出資法 第2条)。

Q&A 2-4-9 が分けて考えているのは、一対一の関係で契約を取り交わして受け入れる「借入金」と、「擬似私募債」として複数口に分けて一定の資金を調達するものです。後者を「不特定かつ多数の者」に対して募集すると、「擬似私募債」として認められず、出資法第2条第1項に違反する可能性があるため、同法を所管する金融庁への確認を要する、としています(同(2026年10月14日確認))。

「擬似私募債」とは、社債の少人数私募債に準じた形で発行するもので、関係法令をクリアした民法上の証拠証券、すなわち金銭消費貸借契約の証書であり、NPO法人等も発行することができるもの、と説明されています(同)。何人までなら「不特定かつ多数」にあたらないかの数字は、Q&Aにも出資法の条文にも書かれていません。ホームページやSNSで広く呼びかける形を考えているなら、募る前に金融庁に確認してください(要確認)。

作った当事者の目で見ると

自分で社員を集めてNPO法人の認証を取った立場から言うと、会員から借りる話は「応援したい気持ち」から始まるので、条件をあいまいにしがちなんです。でも、何年後に、いくら、どうやって返すかを紙にしないまま借りると、返す時期に理事が入れ替わっていて、誰も約束の中身を知らない、ということが起こり得ます。一人ひとりと契約書を交わし、理事会で決めた理由と返済の見通しを議事録に残す。応援してくれた会員を守るのも、その2枚の紙だと思っています(当事務所の見解)。

借りる前に確かめる順番

結論として、「決め方」→「相手」→「募り方」→「利息」→「書面」→「会計」の順に確かめると、あとで説明に困りにくくなります(当事務所の見解)。

確かめる順番中身根拠
1 決め方借入れを理事会と総会のどちらで決めるか。自分の法人の定款の規定を見る自法人の定款(要確認)
2 相手貸してくれるのが会員か、理事(特に代表権のある理事)か。理事なら利益相反にあたるかを確認NPO法 第17条の4・内閣府Q&A 2-3-12
3 募り方一対一で個別に頼むのか、複数口に分けて広く募るのか。広く募るなら金融庁に確認内閣府Q&A 2-4-9・出資法 第2条
4 利息市場のローン利率と比べて高くないか。その利率にした理由を説明できるか内閣府Q&A 2-4-9
5 書面金銭消費貸借契約書(金額・利息・返済の時期と方法)を一人ずつ交わし、理事会・総会の議事録に理由と返済の見通しを残す当事務所の見解
6 会計借りたお金と利息の記帳の科目を、会計担当・税理士と確認する当事務所の見解

(制度。内閣府NPO法Q&A 2-4-9・2-3-12、特定非営利活動促進法 第2条・第17条の4、出資法 第2条(2026年10月14日確認))

金融機関から借りる場合の出資金の扱いは信用金庫の融資で払った出資金の扱いに、法人がお金を出す側に回る場合の考え方はNPO法人は株主になれるかにまとめています。

今日やること——3つだけ

まず、借りたい金額と、誰に何人くらい頼むつもりかを書き出します。で、自分の法人の定款で、借入れを理事会と総会のどちらで決めるかを見ます。最後に、利息と返済の時期を決めた理由を一文で書いてみます。この3つで、「会員から借りても大丈夫?」という不安を、理事会で説明できる形に置き換えられます。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の所轄庁

千葉市にのみ事務所を置く法人は千葉市長、それ以外で千葉県内に主たる事務所を置く法人は千葉県知事が所轄庁です。会員からの借入れが利益相反や非営利性にかかわるか迷うときは所轄庁に、広く募集する形が出資法にかかわるかは金融庁に確認します(2026年10月14日確認)。

※2026年10月14日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

会員から借りたいという相談は、活動が応援されている証拠でもあります。Q&Aを読むと、適正な利息で一人ひとりと契約するなら、NPO法人の非営利とぶつかるものではないと分かります。気をつけたいのは、善意で集まったお金だからこそ、条件を紙にせずに進めてしまうこと。契約書と議事録の2枚を先に作る。それが、貸してくれた人との関係を長く守る近道だと思っています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。あわせて現在、地域の市民活動の人材育成講座を受講しており、講義と実地体験(2026年9月時点で3団体)を通じて、子育て支援・居場所づくり・福祉・環境など市民活動の現場の運営を学んでいます。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

プロフィールを見る →