— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人が信用金庫から融資を受けるときに払った出資金は、会計でどう扱えばよいですか?

信用金庫で融資の前に出資を求められ、会計の扱いに迷っている方へ。その出資金は融資を受けるに当たって必要な経費とされ、仕訳は「(借)出資金/(貸)現金」で貸借対照表の資産に計上します。正味財産の増減に影響しないため、活動計算書には表示されません(内閣府NPO法Q&A 2-4-7、信用金庫法 第11条・第53条(2026年10月13日確認))。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • 信用金庫に融資を相談したら、先に出資して会員になるよう言われたNPO法人の方
  • 払った出資金を、決算書のどこにどう書けばよいか迷っている会計担当の方
  • 出資金がいつ戻ってくるのか、理事会や会員に説明できるようにしておきたい方

ご相談いただくと、こう進みます

  1. 最初の60分の無料相談で、融資の目的と信用金庫から言われた条件を伺い、定款と決算書のどこに関係するかを一緒に整理します
  2. ご依頼後は、借入れを決める理事会・総会の議事録の書き方と、事業報告書での説明の仕方を整えます
  3. その後は、毎年の事業報告書・計算書類で出資金と借入金の表示がそろっているかを見直します

「信用金庫で借りるのに、まず出資して会員になってくださいと言われた。払った出資金は、NPO法人の会計でどう扱えばいい?」と迷っている方へ。融資を受けるに当たって必要な経費で、貸借対照表の資産に計上し、活動計算書には表示されません

NPO法人で、事業所の改修や運転資金のために地元の信用金庫に融資を相談した。すると、融資の前に出資金を払って会員になってほしいと言われた。会費や寄付で集めたお金を出資に回してよいのか、決算書のどこに書くのか。会計担当の方がそう迷う場面です。内閣府のNPO法Q&Aにも、この質問がそのまま載っています。「信用金庫から融資を受ける際に「出資金」を支払いましたが、これは適切なものとして取り扱ってよいですか。」

答えはこうです。信用金庫は、信用金庫法第53条により「会員に対する資金の貸付け」ができ、この会員とは同法第11条により「出資一口以上を有し」ているものを指していることから、当該出資金は融資を受けるに当たって必要な経費であるといえます、とされています(制度。内閣府NPO法Q&A 2-4-7(2026年10月13日確認))。

同じ答えの中で、会計の扱いも示されています。仕訳は「(借)出資金/(貸)現金」とし、貸借対照表における資産として計上します。正味財産の増減に影響を及ぼすものではないため、活動計算書には表示されません(同)。

なぜ出資が求められるのか——信用金庫法の「会員」と「出資一口以上」

ひとことで言うと、信用金庫は会員のための金融機関として法律で組み立てられているからです。信用金庫法は、信用金庫が行うことができる業務として「会員に対する資金の貸付け」を挙げています(第53条第1項第2号)。そして会員は「出資一口以上を有し」なければならない、と定めています(第11条第1項)。

出資の額は、政令で定める金額以上で信用金庫の定款で定めるところによる、とされ、その政令の金額は、信用金庫の会員にあっては「五千円」を下回ってはならない、とされています(第11条第1項・第2項)。実際にいくら出資するかは信用金庫ごとの定款で決まるので、融資の相談の段階で確認してください(要確認)。

一方で、信用金庫は、政令で定めるところにより、会員に対する資金の貸付けなどの業務の遂行を妨げない限度で、会員以外の者に対して資金の貸付けをすることもできます(第53条第2項)。どの融資で出資が必要になるかは、借りる金額や種類によって変わり得ます。出資が必要と言われたら、その理由を一度聞いておくと、理事会での説明がしやすくなります(当事務所の見解)。

会員になれる人の範囲も法律に書かれています。信用金庫の地区内に住所又は居所を有する者、地区内に事業所を有する者、地区内において勤労に従事する者などで、信用金庫の定款で定めるもの、とされています(第10条第1項)。NPO法人の事務所が、その信用金庫の地区の中にあるかも確かめておきましょう。

仕訳と書類の表示——記入例

結論として、出資金は「使ってなくなったお金」ではなく、法人が持っている資産として扱います。Q&A 2-4-7 の内容を、記入例の形に並べました。

場面書き方根拠
出資金を払ったとき(仕訳)(借)出資金/(貸)現金内閣府Q&A 2-4-7
貸借対照表資産として計上する内閣府Q&A 2-4-7
活動計算書正味財産の増減に影響を及ぼすものではないため、表示されない内閣府Q&A 2-4-7
借りたお金(融資の本体)出資金とは別の取引として、借入金の記帳を行う(勘定科目や返済の記帳は、法人の会計担当・税理士と確認)当事務所の見解

(制度。内閣府NPO法Q&A 2-4-7、特定非営利活動促進法 第27条(2026年10月13日確認))

Q&Aの仕訳は貸方が「現金」ですが、預金口座から払ったときは、実際に払った口座の科目になると考えるのが自然です(当事務所の見解)。法律は、会計簿は正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること、計算書類(活動計算書及び貸借対照表)及び財産目録は、事業の実績及び財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすることを求めています(第27条)。科目の付け方で迷うときは、法人の会計を見ている税理士に確認してください。

会計を誰が担うかはNPO法人の会計は誰がやるかに、法人が株を持つ場合の考え方はNPO法人は株主になれるかにまとめています。銀行・信用金庫・日本政策金融公庫の違いは、会社向けですが銀行・信金・公庫の使い分けが参考になります。

— この段階でご相談いただく理由 —

融資と出資は、理事会・総会の決め方、会計、毎年の事業報告書まで一続きの話です。定款の借入れの規定と、議事録・決算書の書き方を並べて、融資の前に一緒に整理します。

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出資金は戻ってくるのか——脱退と持分の払戻し

ひとことで言うと、出資金は、会員をやめる(脱退する)ときに、持分を譲り渡すか、法律で決まった事由で脱退したときに払戻しを請求する、という形で戻ってくるお金です。融資を返し終えたら自動で戻る、という仕組みは、法律の条文には書かれていません(当事務所の読み方)。

信用金庫法は、会員は何時でも、その持分の全部の譲渡によって脱退することができ、譲渡を受ける者がないときは、信用金庫に対し、定款で定めるところによりその持分を譲り受けるべきことを請求できる、としています(第16条第1項)。また、会員たる資格の喪失や解散などの事由によって脱退し(第17条第1項)、その場合は定款の定めるところにより、持分の全部又は一部の払戻を請求することができます。持分は、脱退した事業年度の終における金庫の財産によって定めるとされています(第18条)。

いつ・いくら戻るかは、信用金庫の定款と、出資のときに受け取る書類で確かめてください(要確認)。戻ってきたときの仕訳も、出資金の資産を減らす形になるので、払ったときと同じく活動計算書の収益にはならないと考えられます(当事務所の見解。科目は税理士に確認)。

作った当事者の目で見ると

自分で社員を集めてNPO法人の認証を取った立場から言うと、融資の話が出たときに大事なのは、会計の仕訳よりも「誰が、いつ、何を決めたか」を残すことだと思うんです。借入れも出資も、法人のお金の使い方として会員から見られます。理事会や総会で、なぜ借りるのか、出資はいくらで何のためか、返済の見通しはどうかを議事録に書いておく。決算書に出資金が載ったとき、閲覧した人に聞かれても、その議事録を見せれば落ち着いて答えられます(当事務所の見解)。

融資を受ける前に確かめる順番

結論として、「決め方」→「会員資格」→「出資額」→「会計」→「公開」→「やめるとき」の順に確かめると、あとで説明に困りにくくなります(当事務所の見解)。

確かめる順番中身根拠
1 決め方借入れや資産の扱いを、理事会と総会のどちらで決めるか。自分の法人の定款の規定を見る自法人の定款(要確認)
2 会員資格法人の事務所が、その信用金庫の地区内にあるか。会員資格は信用金庫の定款で定められる信用金庫法 第10条第1項
3 出資額出資は一口以上。金額は信用金庫の定款で決まるので、融資の相談の段階で確認する信用金庫法 第11条
4 会計出資金は資産として計上し、活動計算書には表示しない内閣府Q&A 2-4-7・NPO法 第27条
5 公開計算書類と財産目録は事業報告書等として事務所に備え置き、閲覧の請求があれば閲覧させるNPO法 第28条
6 やめるとき脱退と持分の払戻しは信用金庫の定款の定めによる。いつ・いくら戻るかを書類で確かめる信用金庫法 第16条〜第18条(要確認)

(制度。内閣府NPO法Q&A 2-4-7、信用金庫法 第10条・第11条・第16条〜第18条・第53条、特定非営利活動促進法 第27条・第28条(2026年10月13日確認))

事業報告書等の備え置きと閲覧の決まりは事業報告書の備え置きと閲覧にまとめています。法律は、事業報告書等を毎事業年度初めの3月以内に作成し、作成の日から起算して5年が経過した日を含む事業年度の末日まで事務所に備え置くことを求めています(第28条第1項)。

今日やること——3つだけ

まず、自分の法人の定款で、借入れを理事会と総会のどちらで決めることになっているかを見ます。で、相談している信用金庫に、出資が必要な理由と出資額、やめるときの払戻しの決まりを聞き、書類をもらいます。最後に、会計担当と、出資金を資産として記帳し活動計算書には出さないことを確認します。この3つで、「出資金って払って大丈夫?」という不安を、説明できる形に置き換えられます。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の所轄庁

千葉市にのみ事務所を置く法人は千葉市長、それ以外で千葉県内に主たる事務所を置く法人は千葉県知事が所轄庁です。信用金庫の会員資格は、信用金庫ごとの地区と定款で決まるため、事務所の所在地が地区内かを融資の相談の前に確かめてください(2026年10月13日確認)。

※2026年10月13日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「出資」という言葉を聞くと、NPO法人なのに出資していいのかと身構える方が多いのですが、Q&Aを読むと、信用金庫の会員になるための出資は融資に必要な経費として整理されています。気をつけたいのは、会計の処理よりも、決め方と説明です。なぜ借りるのか、出資はいくらで、やめるときどうなるのか。理事会で話して議事録に残しておけば、会員や寄付者に聞かれても落ち着いて答えられます。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。あわせて現在、地域の市民活動の人材育成講座を受講しており、講義と実地体験(2026年9月時点で3団体)を通じて、子育て支援・居場所づくり・福祉・環境など市民活動の現場の運営を学んでいます。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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