— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人の会計は、税理士に頼まないといけませんか?

法律上、頼まなくてもよい範囲と、頼まなければならない範囲があります。日々の記帳と、毎年所轄庁に提出する活動計算書・貸借対照表・財産目録の作成は法人自身で行えます(特定非営利活動促進法第27条・第28条。NPO法人会計基準に沿うのが標準)。税理士でなければできないのは、法人税・消費税などの申告書の作成と税務代理です(税理士法第2条・第52条)。したがって、法人税法上の収益事業(物品販売・請負・医療保健業など34業種。障害福祉サービス事業も該当しうる)を行わず、会費・寄附金・助成金で回る法人は、税理士なしで完結できます。収益事業があれば申告は税理士に、所轄庁への事業報告書の提出(事業年度終了後3か月以内)や法人住民税の均等割の免除申請は行政書士に、給与計算・社会保険は社労士に、という分担が現実的です(2026年9月28日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • NPO法人を設立したばかりで、会計を誰に頼むか決めていない理事の方
  • 「NPOは非営利だから法人税は関係ない」と思っている方
  • 収益事業(障害福祉サービス事業など)をNPO法人で始める予定の方

NPO法人の会計は、法律上は「自分でやってよい」——税理士が必須になるのは収益事業の申告です

NPO法人の日々の記帳と、毎年所轄庁に出す活動計算書・貸借対照表・財産目録の作成は、法律上は法人が自ら行ってよく、税理士や公認会計士の関与は義務付けられていません。税理士の業務として独占されるのは、法人税などの税務申告書の作成と税務代理です(制度。特定非営利活動促進法第27条〔会計の原則〕・第28条〔事業報告書等の作成・備置き〕、税理士法第2条・第52条(2026年9月28日確認))。

この記事で分かることは、①NPO法人の会計で毎年作る書類、②自分でできる範囲と税理士の範囲、③収益事業の有無で分かれる判断、④行政書士(当事務所)が担う範囲、⑤頼むときの見積りの取り方です。「NPOは非営利だから会計は簡単」でも「税理士に丸投げしないと危ない」でもない、線の引き方を書きます。

やること誰ができるか根拠
日々の記帳(現金出納・仕訳・証憑の保存)法人自身(理事・事務局)NPO法第27条(正規の簿記の原則)
活動計算書・貸借対照表・財産目録の作成法人自身。NPO法人会計基準に従うのが標準NPO法第28条、NPO法人会計基準(民間の基準)
事業報告書等の所轄庁への提出・閲覧法人自身。行政書士が作成・提出代理できるNPO法第29条・第30条、行政書士法第1条の2
法人住民税の均等割の免除申請法人自身。行政書士が書類作成できる(税務書類に当たらない範囲)各自治体の条例・規則
法人税・消費税の申告書の作成、税務署への申告代理税理士(または法人自身)税理士法第2条・第52条
源泉徴収・年末調整(職員を雇う場合)法人自身または税理士。給与計算は社労士も可所得税法、税理士法

毎年作る書類は3つ——活動計算書・貸借対照表・財産目録

NPO法人が毎事業年度に作成し、所轄庁へ提出(事業年度終了後3か月以内)し、事務所に備え置くのは、事業報告書・活動計算書・貸借対照表・財産目録・年間役員名簿・社員のうち10人以上の者の名簿です(制度。NPO法第28条・第29条(2026年9月28日確認))。会計書類は活動計算書・貸借対照表・財産目録の3つで、多くの所轄庁がNPO法人会計基準(NPO法人会計基準協議会が策定した民間の基準)に沿った様式を示しています。

  • 活動計算書:1年間の収益(会費・寄附金・助成金・事業収益)と費用(事業費・管理費)を並べ、当期正味財産増減額を出す。企業の損益計算書に当たる。
  • 貸借対照表:年度末の資産・負債・正味財産。
  • 財産目録:貸借対照表の内訳を科目ごとに具体的に書いたもの。

NPO法人会計基準の特徴は、事業費と管理費を分けること、ボランティアによる役務の提供や無償の施設利用を注記で示せること、使途が制約された寄附金を区分できることです(制度。同基準)。会計ソフトはNPO法人会計基準に対応したものを選ぶと、様式への転記が減ります(実務の目安)。

自分でできる法人、税理士に頼むべき法人——分かれ目は「収益事業」と「取引の量」

収益事業(法人税法上の34業種に当たる事業)を行わず、会費・寄附金・助成金で回る小さな法人は、記帳から所轄庁への提出まで自分で完結できます。収益事業があれば法人税の申告が必要になり、申告書の作成と申告代理は税理士の業務です(制度。法人税法第2条第13号・法人税法施行令第5条、税理士法第2条(2026年9月28日確認))。

法人の状態会計の進め方(当事務所の見解)税理士の要否
収益事業なし・年間の取引が少ない(月数十件)会計ソフトで自分で記帳→活動計算書等を作成→行政書士が所轄庁提出原則不要。均等割の免除申請を忘れない
収益事業なし・職員を雇っている記帳は自分で。給与計算と源泉徴収は税理士か社労士に相談年末調整と法定調書の範囲で相談
収益事業あり(物品販売・請負・障害福祉サービス事業など)記帳は自分でも可。法人税・消費税の申告は税理士へ。区分経理(収益事業と非収益事業)を初年度から必要(申告代理)
認定NPO法人を目指す区分経理・帳簿の備付け・寄附者名簿を認定基準に合わせる。税理士と行政書士で分担事実上必要

障害福祉サービス事業(放デイ・グループホームなど)をNPO法人で行う場合、その事業は法人税法上の収益事業(医療保健業など)に当たりうるため、税理士の判断が要ります(制度。個別の該当性は税理士の領域)。「NPOだから法人税はかからない」は誤解です。

— この段階でご相談いただく理由 —

「会計は誰に頼めばいいか分からない」相談の多くは、税理士に頼む範囲(申告)と、自分でできる範囲(記帳・活動計算書)と、行政書士の範囲(所轄庁提出・均等割免除申請)が混ざっています。当事務所はNPO法人設立サポート(200,000円・税込)で、設立時に会計の区分(事業費/管理費、収益事業/非収益事業)と、誰が何をやるかを決めておきます。

準備物:予定する事業の内容(収益事業に当たりそうか)、年間の取引の見込み、職員を雇うか、認定を目指すか。60分の無料相談 →

行政書士(当事務所)が担う範囲と、頼むときの見積りの取り方

当事務所は、所轄庁への事業報告書等の提出(毎年)、役員変更・定款変更の届出、法人住民税の均等割の免除申請の書類作成、認定申請を担います。税務申告は提携税理士へ、給与計算・社会保険は提携社労士へつなぎます(当事務所の運用)。

  1. 収益事業の有無を先に確定する。ここが決まらないと、税理士の要否も見積りも出ない。
  2. 年間の取引件数と職員数を伝える。記帳を頼む場合、料金は件数で決まることが多い(実務の目安。金額は事務所により異なり、本記事では書かない)。
  3. 「所轄庁への提出」が含まれるかを確認する。税理士は税務署への申告が本業で、所轄庁への事業報告書提出は業務外のことがある。
  4. 均等割の免除申請を誰がやるかを決める。出し忘れると年7万円前後(自治体による)を払うことになる(税金の基本)。

NPO法人の会計は「規模が小さいうちは自分で、収益事業を始めたら税理士と分担」が現実的な線です。ただし記帳を後回しにして年度末にまとめてやると、活動計算書が間に合わず事業報告書の提出(3か月以内)を落とします。月1回の記帳を習慣にできるかどうかが、自分でやれるかどうかの分かれ目です(当事務所の見解)。

📗 毎年の義務の一覧はNPO法人の「続けるコスト」一覧、税金はNPO法人の税金の基本、当事務所の依頼範囲は「一式20万円」に含むもの・含まないものにまとめています。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|当事務所の分担

当事務所(行政書士)は、所轄庁への事業報告書等の提出、役員変更・定款変更の届出、法人住民税の均等割の免除申請の書類作成、認定申請を担います。記帳代行は受けず、税務申告は提携税理士、給与計算・社会保険は提携社労士につなぎます。千葉県内のNPO法人の所轄庁は、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市、松戸市・市川市・柏市・船橋市などは千葉県です。均等割の免除申請の様式と期限は自治体ごとに違うため、各市・県税事務所で確認してください(2026年9月28日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

自分でNPO法人を運営したとき、いちばん助かったのは「月1回、領収書を貼って入力する」習慣でした。会計は難しくない。溜めると難しくなる。税理士に頼むかどうかより先に、この習慣が続くかを考えてください。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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