— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人は、設立したあと毎年どんな手続きがありますか?
主なものは5つです。①事業報告書等の提出(毎事業年度初めの3か月以内、所轄庁へ。法第28条・第29条)、②貸借対照表の公告(作成後遅滞なく、定款で定めた方法で。法第28条の2)、③役員の変更等の届出(変更があれば遅滞なく所轄庁へ。法第23条)、④代表権のある理事の変更登記(変更から2週間以内に法務局へ。再任の場合も必要。組合等登記令第3条)、⑤定款の変更(事項により所轄庁の認証または届出。法第25条)です。役員の任期は2年以内なので、2年ごとの改選のたびに③④が発生します。なお、役員全員が再任(重任)した場合の届出の要否は所轄庁で扱いが分かれているため、自分の所轄庁の案内で確認してください(2026年9月22日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- NPO法人の理事・事務局を引き継いだ方
- これからNPO法人を設立し、続ける手間を知っておきたい方
- 手続きを専門家に頼むか迷っている方
設立費用はゼロでも、続ける手間は毎年かかります
NPO法人は、設立認証の申請手数料も設立登記の登録免許税もかかりません。一方で、設立後に毎年・定期的に発生する手続きがあります。費用というより時間のコストです。長野県が公表している「NPO法上の義務」の一覧などをもとに、主なものを並べると次のとおりです(制度。2026年9月22日確認)。
| 手続き | いつ | どこへ | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 事業報告書等の提出と備置き | 毎事業年度初めの3か月以内 | 所轄庁(事務所にも備置き) | 法第28条・第29条 |
| 貸借対照表の公告 | 貸借対照表の作成後遅滞なく | 定款で定めた方法(官報・新聞・電子公告・掲示) | 法第28条の2 |
| 役員の変更等の届出 | 変更があったら遅滞なく | 所轄庁 | 法第23条 |
| 代表権のある理事の変更登記 | 変更から2週間以内 | 法務局 | 組合等登記令第3条 |
| 定款の変更(認証または届出) | 変更するとき | 所轄庁(登記事項なら法務局も) | 法第25条 |
このほか、社員総会の開催と議事録の作成、会計と税務の申告(収益事業を行う場合の法人税など)、職員を雇う場合の労働保険・社会保険の手続きがあります。
2年ごとの「役員の改選」は忘れやすい
NPO法人の役員の任期は法令で2年以内と定められており、2年を超えないように改選が必要です(福島県・浜松市の案内)。改選のたびに次の手続きが発生します。
- 所轄庁への役員変更等の届出——変更後の役員名簿を添えて、遅滞なく。新たに就任した役員がいれば、就任承諾及び誓約書の謄本と住所を証する書面も(法第23条)。
- 法務局での変更登記——代表権のある理事に変更があった場合や、代表権のある理事が再任された場合も、2週間以内に登記(福島県・佐賀県の案内)。
注意したいのは、全員が再任(重任)した場合の届出の扱いが所轄庁で分かれていることです。広島県や浜松市は「全員再任でも届出が必要」とし、新潟県は「役員全員が任期満了と同時に再任(いわゆる重任)された場合は届出不要」としています。自分の所轄庁の案内で確認してください。一方、代表権のある理事の再任による変更登記は、各県の案内とも必要としています。
— この段階でご相談いただく理由 —
毎年の手続きは、ひとつひとつは難しくありません。問題は「いつ何をするか」を覚えている人が法人の中にいなくなることです。理事の交代で担当者が変わると、事業報告書や役員の改選が止まりがちです。年間の予定表を1枚にして、理事会で共有しておくのが一番の対策です。
<ご相談時にお持ちいただくもの>定款/役員名簿(任期)/直近の事業報告書/登記事項証明書。60分無料相談はこちら
誰に頼めるか——手続きごとの分担
| 手続き | 担い手 |
|---|---|
| 事業報告書等の作成・提出、役員変更等の届出、定款変更の認証申請・届出 | 法人自身、または行政書士(書類作成・提出代行) |
| 変更登記(代表者の変更・再任、定款変更に伴う登記) | 法人自身、または司法書士(登記申請の代理) |
| 法人税の申告(収益事業)・決算 | 法人自身、または税理士 |
| 労働保険・社会保険の手続き | 法人自身、または社会保険労務士 |
自分たちで回すことも十分にできます。専門家に頼むかどうかは、理事や事務局が使える時間と、手続きが止まったときのリスクを比べて決めるのが現実的です。とくに事業報告書を出さない状態が続くと、過料や認証取消しの対象になりえます。
📗 事業報告書の期限と7つの書類はNPO法人の事業報告書はいつまでに出す?、貸借対照表の公告はNPO法人は毎年「貸借対照表の公告」が必要です、設立時の費用はNPO法人の設立費用は「法定費用ゼロ」にまとめています。
年間の予定表にすると、こうなります(3月決算の例)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4〜5月 | 決算、事業報告書・活動計算書・貸借対照表・財産目録の作成、理事会 |
| 5〜6月 | 通常総会(事業報告・決算の承認、改選年は役員の選任) |
| 6月末まで | 所轄庁へ事業報告書等を提出(事業年度初めの3か月以内)。貸借対照表の公告 |
| 改選年の総会後 | 役員変更等の届出(遅滞なく)、代表権のある理事の変更・再任の登記(2週間以内) |
| 通年 | 会計帳簿の記帳、寄附の記録、閲覧書類の備置き |
事業年度が3月決算以外の法人は、決算月から3か月を数えて置き換えてください。「決算から3か月」と「改選の年」の2つだけ覚えておけば、年間の流れはほぼ決まります。
参考にした一次資料
- 長野県「NPO法上の義務一覧」(事業報告書等・役員変更・定款変更など)(2026年9月22日確認)
- 福島県「NPO法人の管理・運営に関すること【役員の変更】」(任期2年・再任時の登記)(2026年9月22日確認)
- 広島県「役員の変更」(全員再任でも届出が必要)(2026年9月22日確認)
- 新潟県「NPO法人の役員変更届」(全員重任は届出不要)(2026年9月22日確認)
- 浜松市「様式集(役員変更届等)」(任期2年・全員再任も届出)(2026年9月22日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の法人が確認しておくこと
手続きの窓口は、所轄庁(千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市長、松戸市・市川市・柏市・船橋市など千葉市以外に事務所がある法人は千葉県知事)と、法務局(松戸市に主たる事務所があれば千葉地方法務局松戸支局)の2つです。役員全員が重任した場合の届出の要否は所轄庁で扱いが分かれているため、千葉県・千葉市それぞれの最新の手引きで確認してください。本記事の作成時点で、千葉県・千葉市の扱いは確認できていません(要確認)(2026年9月22日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
NPO法人の手続きでいちばん多いつまずきは、難しさではなく「引き継ぎ」です。立ち上げた理事が抜けると、事業報告書の期限を知っている人がいなくなります。私は設立のときに、年間の予定表を1枚お渡しするようにしています。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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