— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人の貸借対照表の公告は、何をすればいいのですか?
NPO法人は、前事業年度の貸借対照表の作成後遅滞なく、定款で定めた方法によって公告しなければなりません(特定非営利活動促進法第28条の2。平成30年10月1日施行)。方法は、①官報に掲載、②日刊新聞紙に掲載、③電子公告(法人のホームページや内閣府NPO法人ポータルサイトなど)、④主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示の4つです。①②は1度掲載すれば公告となり、貸借対照表の要旨で足ります。③は貸借対照表の作成の日から起算して5年が経過した日を含む事業年度の末日まで、④は公告の開始後1年を経過する日まで公告を続けます。定款で官報と定めている場合は毎年掲載費用がかかるため、公告方法の変更(法第25条第6項の届出事項・認証不要)を検討する価値があります(2026年9月22日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- NPO法人の理事・事務局の方
- 定款の公告の方法を「官報」にしたまま運営している法人の方
- これからNPO法人を設立し、定款を設計する方
毎年、貸借対照表を「公告」する義務があります
NPO法人は、前事業年度の貸借対照表の作成後遅滞なく、定款で定めた方法により公告しなければなりません(特定非営利活動促進法第28条の2)。平成28年の法改正で、登記事項から「資産の総額」が削除され、その代わりに設けられた義務です。施行は平成30年10月1日です。
岡山市は、この公告のねらいを法人の透明性を高めることと、債権者を保護し、取引の安全と円滑を図ることと説明しています(制度。2026年9月22日確認)。所轄庁に出す事業報告書とは別に、法人自身が世の中に向けて公表する手続きです。
公告の方法は4つ、期間はそれぞれ違います
| 方法 | 公告の期間 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 官報に掲載 | 1度掲載すれば公告になる | 貸借対照表の「要旨」で足りる。掲載は有料 |
| ② 日刊新聞紙に掲載 | 1度掲載すれば公告になる | 「要旨」で足りる。掲載費用がかかる |
| ③ 電子公告(法人のホームページ、内閣府NPO法人ポータルサイトなど) | 貸借対照表の作成の日から起算して5年が経過した日を含む事業年度の末日まで | 中断が生じたときの手当ても定められている |
| ④ 主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示 | 公告の開始後1年を経過する日まで | 事務所の掲示場を使う |
(制度。法第28条の2、同法施行規則第3条の2。岡山市・郡山市・京都府の案内。2026年9月22日確認)
定款が「官報」のままだと、毎年費用がかかります
ここが、設立時の定款で見落とされやすいところです。郡山市は、現行の定款で公告の方法を「この法人の掲示場に掲示すると共に、官報に掲載して行う」と定めている場合、毎年、貸借対照表を官報に掲載することになり、掲載費用が必要になると注意を促しています。
設立時に「公告は官報で」と深く考えずに書いてしまうと、毎年の固定費になります。貸借対照表の公告だけ別の方法にすることができ、京都府や高槻市は、そのための定款の記載例を公表しています。
| 定めたい方法 | 定款の記載例(ただし書き) |
|---|---|
| 法人のホームページ | 「ただし、法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については、この法人のホームページに掲載して行う。」 |
| 内閣府NPO法人ポータルサイト | 「ただし、法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については、内閣府NPO法人ポータルサイト(……)に掲載して行う。」※括弧内の書き方は所轄庁の記載例で確認 |
| 事務所の掲示場 | 「ただし、法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については、この法人の主たる事務所の掲示場に掲示して行う。」 |
— この段階でご相談いただく理由 —
公告の方法は、設立時の定款で決めておけば、あとで手間も費用もかからない項目です。逆に、官報のまま何年も放置していると、公告していない状態が続いているかもしれません。定款と毎年の運営を一緒に点検しておくと安心です。
<ご相談時にお持ちいただくもの>現在の定款(公告の方法の条文)/直近の貸借対照表/事業年度。60分無料相談はこちら
公告の方法を変えるのは「届出」で足ります
公告の方法の変更は、法第25条第6項に規定される届出事項です。所轄庁の認証は要りません(郡山市の案内)。手続きは次の順番です。
- 社員総会で定款の変更(公告の方法)を議決する。
- 定款変更届出書、総会の議事録の写し、変更後の定款を所轄庁へ提出する(部数や新旧対照表の要否は所轄庁の案内で確認)。
内閣府NPO法人ポータルサイトを使って電子公告をする場合は、ポータルサイトへのユーザ登録が必要で、内閣府から書類が郵送される流れが案内されています(大阪府の説明資料)。書類はポータルサイトに記載されている主たる事務所あてに届くため、事務所を移転しているのに所轄庁へ連絡していないと届きません。
📗 毎年の事業報告書の期限はNPO法人の事業報告書はいつまでに出す?に、定款の変更で認証が要る事項はNPO法人の定款は「あとで直す」が効きませんにまとめています。
毎年のカレンダーに入れておく
貸借対照表の公告は、事業報告書の提出と同じ時期に回すのが実務的です。事業年度が終わって貸借対照表ができたら、所轄庁への事業報告書等の提出(事業年度初めの3か月以内)と、貸借対照表の公告を同じ週に行うと決めておくと、漏れません。電子公告なら公告期間は約5年に及ぶので、過去分の掲載を消さないことも運用のルールに入れておいてください。
参考にした一次資料
- 岡山市「特定非営利活動法人の手引き」貸借対照表の公告(法28条の2・施行規則3条の2)(2026年9月22日確認)
- 郡山市「貸借対照表の公告について」官報のままの定款と掲載費・届出事項(2026年9月22日確認)
- 京都府「貸借対照表の公告及びその方法」(施行日 平成30年10月1日)(2026年9月22日確認)
- 高槻市「貸借対照表の公告が必要です」定款の記載例(2026年9月22日確認)
- 大阪府「NPO法改正の説明」公告の方法と内閣府NPO法人ポータルサイトの利用(2026年9月22日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の法人が確認しておくこと
公告の方法を変える届出の提出先は所轄庁です。事務所が1つの政令指定都市の区域内にのみある場合はその市長、それ以外は都道府県知事が所轄庁で、千葉県内なら千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市長、松戸市・市川市・柏市・船橋市など千葉市以外に事務所がある法人は千葉県知事です。届出の様式・部数・新旧対照表の要否は所轄庁ごとに違うため、最新の案内で確認してください。設立を検討している方は、定款の段階で貸借対照表の公告方法を決めておくと、設立後の固定費と手間を抑えられます(2026年9月22日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
設立のご相談で定款を一緒に作るとき、公告の方法は目立たない条文なので、つい雛形のままになりがちです。けれど毎年必ず回ってくる手続きで、選び方ひとつで費用が変わります。私は、事務所の掲示かポータルサイトか、どちらが続けやすいかを必ず聞くようにしています。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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