— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人にも税金はかかりますか?

かかります。ただし範囲が限られます。法人税は、法人税法で定められた収益事業(34種類)から生じた所得にだけ課され、会費や寄附のように対価を伴わない収入は対象になりません。収益事業がなければ、法人事業税や法人住民税の法人税割もかかりません。一方で法人住民税の均等割は、収益事業がなくても原則として納税義務があります。多くの自治体が条例で免除・減免の制度を設けていますが、期限までに申請しないと受けられないのが実務上の注意点です(東京都は申告書と免除申請書の提出、鳥取県は毎年4月30日まで、京都府は設立3年以内の赤字事業年度を免除、群馬県は収益事業なしで年額21,400円)。千葉市は収益事業を行わないNPO法人の均等割を課税免除(申請・申告不要。設立時の届出は必要)としています。千葉県・松戸市の扱いは公表情報で確認できませんでした(要確認)。収益事業を始める場合は税務署に収益事業開始の届出を出し、区分経理を行います。具体的な判断は税理士にご確認ください(2026年9月25日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • NPO法人を設立して、税金がどうなるか知りたい方
  • 均等割の免除申請を知らずに納めていた法人の方
  • 会費や寄附以外の収入を始めようとしている法人の方

法人税がかかるのは「収益事業」の所得だけです

NPO法人は非営利の法人ですが、税金がまったくかからないわけではありません。法人税は、法人税法で定められた収益事業(34種類)から生じた所得にだけ課されます。会費や寄附は対価を伴わない収入なので、課税の対象ではありません(制度。税理士監修の解説・日本公認会計士協会近畿会のQ&A(2026年9月25日確認))。

税目収益事業なし収益事業あり
法人税かからない収益事業の所得に課税
法人事業税かからない(群馬県の案内)収益事業の所得に課税
法人住民税(法人税割)かからない法人税額をもとに課税
法人住民税(均等割)原則かかる。ただし条例で免除・減免する自治体が多いかかる(赤字年度の免除を設ける自治体もある)

均等割は「申請しないと免除されない」自治体が多い

いちばん気をつけたいのが法人住民税の均等割です。収益事業をしていなくても原則として納税義務があり、条例による免除を受けるには期限までの申請が必要な自治体が多くあります。

  • 東京都——収益事業を行わないNPO法人が期日までに申告書と免除申請書を提出すれば免除。提出がなければ免除されない。
  • 鳥取県——収益事業を行っていない法人は、毎年4月30日までに必要書類を提出すれば減免。期限までに提出がなければ受けられない。
  • 京都府——収益事業を行う法人でも、設立から3年以内の赤字事業年度は均等割(20,000円)を免除する制度がある。
  • 群馬県——収益事業を行わない場合、県民税の均等割は年額21,400円。

つまり「収益事業がないから何もしなくてよい」ではなく、「免除の申請を毎年出す」のが実務です。ただし自治体によって仕組みが違い、千葉市は市税条例の改正により、収益事業を行わないNPO法人の法人市民税均等割を「課税免除」とし、申請も申告書の提出も不要としています(令和元年度分以後。ただし事務所の新設時の法人設立・設置届出書と、収益事業の開始・廃止の届出は必要)。千葉県の県民税均等割と、松戸市など千葉市以外の市町村の扱いは、本記事の作成時点で公表情報を確認できませんでした(県税事務所・市の税務課に要確認)。

— この段階でご相談いただく理由 —

設立のご相談で税金の話が出ると、「うちは非営利だから関係ない」とおっしゃる方が多いです。けれど均等割の免除申請の期限を逃して数万円払ったという話は珍しくありません。設立後の年間予定表に、税の申請の期限も入れておく必要があります。

<ご相談時にお持ちいただくもの>行う事業の内容(会費・寄附・物販・受託など)/事業年度/設立予定の市町村。60分無料相談はこちら

収益事業に当たるかどうかが分かれ目

バザーや物品販売、対価を受け取る介護・福祉サービスなどは収益事業に当たりえます。収益事業を始める場合は、税務署に収益事業開始の届出を提出し、収益事業と非収益事業を区分して経理します。逆に、収益事業がない場合は税務署への法人設立の届出は不要とされています(日本公認会計士協会近畿会のQ&A)。一方で、都道府県・市町村への法人設立の届出は必要です(東京都は設立の日から15日以内)。

ただし、どの活動が収益事業に当たるかの判断は、税理士の領域です。「会費だから非課税」と決め込まず、対価性のある収入があれば税理士に確認してください。

📗 設立費用はNPO法人の設立費用は「法定費用ゼロ」、毎年の手続きはNPO法人の「続けるコスト」一覧にまとめています。

設立後の税務の届出(整理)

届出先内容
都道府県税事務所・市町村法人設立の届出(自治体により期限あり)。均等割の免除・減免の申請(毎年・期限あり)
税務署収益事業を始める場合の収益事業開始の届出、青色申告の承認申請。職員を雇う場合は給与支払事務所等の開設届

本記事は制度の概要です。具体的な税額や課税の判断は、税理士にご確認ください。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の法人が確認しておくこと

均等割の免除・減免は自治体ごとの条例で決まるため、千葉県(県税事務所)と、事務所のある市町村(松戸市・市川市・柏市など)の両方で確認が必要です。千葉市は課税免除(申請不要)と確認できましたが、千葉県・松戸市の制度の有無と期限は公表情報で確認できませんでした(要確認)。設立の届出は都道府県と市町村の両方に必要で、松戸市は設立登記後60日以内に法人設立等届出書を提出します(松戸市の案内)。当事務所では設立後の年間予定表に「税の申請の期限」を入れてお渡ししていますが、税額の計算や申告は税理士の業務なので、必要に応じて提携の税理士をご紹介します(2026年9月25日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「非営利だから税金はない」と思って設立された方が、翌年に均等割の通知を見て驚く、という場面を何度か見ました。免除の制度はあっても、申請しないと効かない。この一点だけは、設立のときに必ずお伝えしています。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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