— 30秒でわかる結論 —
Q. NPO法人の設立には、いくらかかりますか?
法定費用はかかりません。所轄庁への設立認証の申請手数料は無料で、設立登記の登録免許税も非課税です。ただしゼロなのはこの2つで、実費は発生します。法務省が公表している手数料では、登記事項証明書が書面請求で1通600円(オンライン請求・送付520円、オンライン請求・窓口交付490円)、印鑑証明書が書面請求で1件500円(同450円、420円)です(令和7年4月1日から)。登記事項証明書は設立登記完了届出書、税務・労務の届出、口座開設、契約名義の変更などで複数通必要になります。このほか法人実印の作成費用、役員の住民票等の取得費用、郵送料・交通費がかかりますが、金額は市区町村や店舗により異なるため要確認です。期間は申請から成立まで2か月程度、準備を含めると3〜4か月が目安です(2026年9月21日確認)。
こんな方に読んでいただきたい記事です
- NPO法人にするか、他の法人格にするか迷っている方
- 設立の予算を立てたい方
- 行政書士への依頼を検討していて、見積もりの見方を知りたい方
ゼロなのは、2つです
NPO法人の設立で「費用がかからない」と言われるのは、次の2つを指しています。
- 所轄庁への設立認証申請の手数料——かかりません。
- 設立登記の登録免許税——かかりません。新潟県も、NPO法人の設立登記について登録免許税は必要ないと案内しています(制度。2026年9月21日確認)。
株式会社や一般社団法人では、設立の登記に登録免許税がかかります。NPO法人はそこが非課税なので、法人を作るための「税金」は発生しません。ただし、ゼロなのはこの2つだけです。
実際にかかるのは、証明書と印鑑と手間です
手続きの過程で必ず出てくる実費が、証明書の取得手数料です。法務省が公表している主な登記手数料は次のとおりです(令和7年4月1日から。2026年9月21日確認)。
| 証明書 | 書面請求 | オンライン請求・送付 | オンライン請求・窓口交付 |
|---|---|---|---|
| 登記事項証明書(謄抄本) | 1通600円 | 1通520円 | 1通490円 |
| 印鑑証明書 | 1件500円 | 1件450円 | 1件420円 |
登記事項証明書は、設立後に何通も使います。所轄庁への設立登記完了届出書、税務署・県税事務所・市町村への法人設立の届出、金融機関の口座開設、事務所や電話・リースの契約名義。数通ではなく、5通から10通というオーダーで必要になる場面があります。1通600円なら、それだけで数千円です。
このほかに、法人の実印(代表者印)の作成費用、役員の住民票や本人確認書類の取得費用、郵送料や法務局・所轄庁への交通費がかかります。金額は市区町村やお店によって違うので、ここは見積もりの段階で「要確認」としておくのが正確です。
— この段階でご相談いただく理由 —
法定費用がゼロだからこそ、見落とされやすいのが時間のコストです。設立総会の準備、10人以上の社員集め、定款の設計、縦覧2週間、審査2か月。申請してから法人成立まで2か月程度、準備を含めれば3〜4か月が目安です。この間、契約も口座開設も法人名ではできません。
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「ゼロ円で作れる」の落とし穴
法定費用がかからないことは事実ですが、それがNPO法人を選ぶ理由になるかは別の話です。NPO法人は、株式会社や一般社団法人と比べて、次の点で継続的なコストが違います。
- 毎年、所轄庁へ事業報告書等を提出する義務がある(事業年度初めの3か月以内)。
- 役員の変更のたびに、所轄庁への届出と法務局での登記が必要になる。
- 社員10人以上を維持する必要があり、総会の開催と議事録の作成が毎年発生する。
- 定款の変更には、内容によって所轄庁の認証が必要になる。
設立時の数万円を節約しても、毎年の事務にかかる時間のほうが大きいことは珍しくありません。逆に、寄付や助成金を集めたい、行政と組みたいという目的があるなら、この手間は信用の裏返しとして機能します。費用の話は、法人格を選ぶ判断材料のひとつに過ぎません。
📗 法人格の選び方はNPO法人が株式会社より有利になる事業活動に、設立の全体像はNPO法人設立の完全ガイドにまとめています。
専門家に頼む場合の費用の見方
行政書士に依頼する場合、報酬は事務所によって異なります。見積もりを見るときは、金額そのものより「どこまで含まれているか」を確認してください。具体的には次の5点です。
- 定款の設計まで含むのか、決まった内容を書類にするだけなのか
- 設立総会の資料(議事次第・議事録・事業計画書・活動予算書)を作るのか
- 所轄庁との事前相談・補正対応を含むのか
- 登記の手配(司法書士との連携)を含むのか、別料金か
- 設立後の届出(設立登記完了届出書、税務・労務の届出)まで見てくれるのか
NPO法人の設立でいちばん時間がかかるのは、書類を書くことではなく定款の目的と事業を決めることです。ここを一緒に考えてくれるかどうかで、実際の負担は大きく変わります。
まとめ——お金より先に決めるもの
費用の整理をすると、次のようになります。
| 項目 | NPO法人 |
|---|---|
| 設立認証申請の手数料 | なし |
| 設立登記の登録免許税 | なし |
| 登記事項証明書 | 1通600円(書面請求)。設立後に複数通必要 |
| 印鑑証明書(法務局) | 1件500円(書面請求) |
| 法人実印の作成、住民票等、郵送・交通費 | 実費(金額は要確認) |
| 専門家報酬 | 依頼する場合。含まれる範囲を確認 |
| 期間 | 申請から成立まで2か月程度、準備を含め3〜4か月が目安 |
お金の心配より先に決めていただきたいのは、誰と、何を、どこまでやるかです。社員10人をどう集めるか、定款の目的に何を書くか。そこが固まれば、費用の話はこの表のとおり、驚くような金額にはなりません。
参考にした一次資料
- 法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日から)(2026年9月21日確認)
- 新潟県「[設立]NPO法人設立認証後の手続き(設立登記と登記完了届)」登録免許税は不要(2026年9月21日確認)
- 群馬県「設立申請の手続き」申請から成立までの期間(2026年9月21日確認)
※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。
📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内で設立する場合の窓口
設立認証の申請先は所轄庁です。事務所が1つの都道府県内にのみある場合はその都道府県知事、事務所が1つの政令指定都市の区域内にのみある場合はその市長が所轄庁になります。千葉県内であれば、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市長、松戸市・市川市・柏市・船橋市など千葉市以外に事務所がある法人は千葉県知事です。登記は法務局で、松戸市に事務所を置くなら千葉地方法務局松戸支局になります。証明書の手数料は法務局(全国共通)、住民票等は市区町村(自治体ごとに異なる)と、費用の出どころも分かれます。予算を立てるときは、認証・登記・証明書の3か所を分けて見積もると漏れません(2026年9月21日確認)。
※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。
💬 目加多のひとこと
「お金がないので法人化は無理でしょうか」というご相談をいただくことがあります。NPO法人については、少なくとも法定費用の心配は要りません。むしろ難所は、10人の社員を集めることと、目的の条文を書き切ることです。私自身がゼロから経験した部分なので、そこを一緒に考えるのが役目だと思っています。

執筆・監修
目加多 龍めかた りょう
行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)
行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。
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