— 30秒でわかる結論 —

Q. NPO法人の事業報告書は、事務所に置いておく義務がありますか?

あります。NPO法人は、所轄庁への提出とは別に、事業報告書等(事業報告書、活動計算書、貸借対照表、財産目録、計算書類の注記、年間役員名簿、社員のうち10人以上の者の名簿)を、作成の日から起算して5年が経過した日を含む事業年度の末日まで、すべての事務所に備え置かなければなりません(法第28条第1項)。役員名簿と定款等(定款、認証書・登記事項証明書の写し)は常時備え置きます(第2項)。そして、社員その他の利害関係人から閲覧の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて閲覧させなければなりません(第3項)。所轄庁も提出された書類を閲覧・謄写に供し(個人の住所等は除く)、内閣府NPO法人ポータルサイトでも情報が公開されます。事業報告書等を3年以上提出しないと、所轄庁は設立の認証を取り消すことができます(法第43条第1項)(2026年9月24日確認)。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • NPO法人の事務局を担当している方
  • 閲覧の請求を受けて対応に迷っている方
  • 設立したばかりで、毎年の義務を整理したい方

事務所に「置いておく」義務と、「見せる」義務

NPO法人には、所轄庁へ書類を提出する義務とは別に、事務所に書類を備え置き、求められたら閲覧させる義務があります(法第28条)。所轄庁も、提出された書類を閲覧・謄写に供します(法第29条・第30条)。法人の運営を市民が確かめられるようにする、NPO法の根幹の仕組みです(制度。高知県・島根県・京都府・広島市の案内(2026年9月24日確認))。

備え置く書類期間根拠
事業報告書等(事業報告書、活動計算書、貸借対照表、財産目録、計算書類の注記、年間役員名簿、社員のうち10人以上の者の名簿)作成の日から起算して5年が経過した日を含む事業年度の末日まで法第28条第1項
役員名簿、定款等(定款、認証書・登記事項証明書の写し)常時(最新のもの)法第28条第2項

備え置く場所は「その法人のすべての事務所」です。主たる事務所だけでなく、従たる事務所があればそこにも要ります。

誰に見せるか、断れるか

これらの書類は、社員その他の利害関係人から閲覧の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて閲覧させなければなりません(法第28条第3項)。「うちの内部資料だから」という理由では断れません。

一方で、閲覧の対象は法律で決まった書類です。会計帳簿の原本や個別の領収書まで見せる義務があるわけではありません。何が対象で何が対象でないかを、あらかじめ担当者が把握しておくと、請求があったときに慌てません。

— この段階でご相談いただく理由 —

閲覧の請求は、めったにありません。だからこそ、来たときに「書類がそろっていない」「どこにあるか分からない」が起きます。年間役員名簿と10人以上の社員名簿は、毎年作り直す書類です。事業報告書の提出と同じ週に、事務所の備置きファイルも更新する運用にしておくと、抜けません。

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所轄庁とポータルサイトでも公開されます

所轄庁は、提出を受けた事業報告書等、最新の役員名簿、定款等を閲覧・謄写に供します。広島市の案内では謄写は1枚10円です。ただし個人の住所等に係る記載は除かれます(令和2年改正)。内閣府NPO法人ポータルサイトでも、所轄庁の行政入力情報が公開され、法人自身が基本情報を掲載することもできます。

つまり、NPO法人の事業報告書と役員名簿は、誰でも見られる前提で作る書類です。寄付者や委託元、金融機関が確認することもあります。公開される書類として恥ずかしくない水準で作ることが、そのまま法人の信用になります。

出さないとどうなるか

事業報告書等を3年以上にわたって提出しないと、所轄庁は設立の認証を取り消すことができます(法第43条第1項)。備置きと閲覧の義務も、法律上の義務です。期限内に提出し、事務所に備え置き、求めに応じて見せる。この3つはセットで運用してください。

📗 提出の期限と7つの書類はNPO法人の事業報告書はいつまでに出す?、公告は貸借対照表の公告にまとめています。

備置きファイルの作り方(例)

  • 常設の綴り——最新の定款、役員名簿、認証書の写し、登記事項証明書の写し。
  • 年度ごとの綴り——事業報告書等7点を年度別に。5年分を保管。
  • 閲覧の記録——請求があった日、請求者、見せた書類。断った場合はその理由。

紙でも電子でもかまいませんが、請求があったときにすぐ出せる形にしておくことが要点です。

参考にした一次資料

※制度・要件・金額は改正や自治体の運用で変わります。上記は確認時点のものであり、実際の手続きの前には必ず最新の告示・要領および指定権者の案内をご確認ください。

📍 千葉県ローカルメモ|千葉県内の法人が確認しておくこと

所轄庁での閲覧・謄写は、千葉市内のみに事務所がある法人は千葉市、松戸市・市川市・柏市・船橋市など千葉市以外に事務所がある法人は千葉県の窓口で行われます。謄写の費用や閲覧の場所は所轄庁ごとに異なるため、最新の案内で確認してください。事業報告書等の提出期限は毎事業年度初めの3か月以内で、提出と同時に事務所の備置きファイルを更新する運用にしておくと、閲覧の請求があっても慌てません。認定を目指す法人は、5年分の書類がそろっていること自体が申請の前提になります(2026年9月24日確認)。

※2026年7月23日時点の一般的な整理です。個別の管轄・最新の運用は各窓口にご確認ください。

💬 目加多のひとこと

「事業報告書は出したから終わり」と思われがちですが、法律は「置いておく」「見せる」までを求めています。私は設立のときに、常設の綴りと年度ごとの綴りの2冊を最初に作っていただくようにしています。中身は毎年入れ替えるだけです。

行政書士 目加多龍

執筆・監修

目加多 龍めかた りょう

行政書士 × 財務・キャリアコンサルタント(目加多龍行政書士事務所 代表)

行政書士/国家資格キャリアコンサルタント/2級FP技能士(AFP)。ブリヂストン系列企業とNEC系列企業で人事・労務の現場15年を経て2026年に独立。個人向けキャリア相談はココナラで約70件・全件★5.0(プラチナランク・2026年7月時点)。障害福祉・障害児支援の指定申請を軸に、資金調達から人材の定着まで、中小企業の「手続き」「資金」「人材」を一体で支援しています。

NPO法人については、明治大学経営学部公共経営学科でNPO・非営利組織の経営を専攻し、自らゼロから社員10人を集めて定款作成・設立総会を経て所轄庁の設立認証を取得した当事者でもあります。手続きだけでなく、人の集め方・目的の書き方・設立後2年目の重任まで、経験にもとづいてお伝えしています。

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